つぶやきコミューン

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那須川天心『覚醒』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略  ver.1.01

 

 

キックボクシングで、そしてMMA(総合格闘技)で、プロデビュー以来連戦連勝、圧倒的な強さを見せる高校生ファイター那須川天心『覚醒』(クラーケン)は那須川が物心つくかつかぬかのころからスタートした格闘技人生を語った初の著書である。

 

『覚醒』は、三種類のコンテンツで構成されている。第一は、那須川自身の手記、第二は両親や友人、ジムの会長やトレーナーなど周囲の人物の証言、そして第三は2017年10月15日の藤田大和との対戦に至るまでのリング上の戦いの那須川自身による解説である。なぜ十代にして、ムエタイ最高峰のルンピニースタジアム現役王者ワンチャローンら錚々たるチャンピオンクラスの対戦相手を1、2ラウンドKOできるのか、信じられなかった人も、納得できる材料が並んでいる。

 

第一は、那須川が5歳のころから格闘技漬けの毎日だったことだ。幼いころから姉妹ともども父親に空手を叩きこまれ、小学校のころから極真空手の試合に出場し、ついには世界大会でも優勝している。キックボクシングに転向後アマチュアでの戦績は、なんと105戦99勝5敗1分。つまり、リングに上がる以前に豊富な試合経験と実績を積み上げてきたということなのだ。

 

だから、那須川は、自分の自分の呼称である「神童」や「天才」を否定する。投げ出さずに継続してきたゆえに、現在の自分があることを誰よりもよく知っているのだ。

 

 今の僕はキックボクサーとして「神童」「天才」などと呼ばれることがあるが、自分では全くそう思っていない(そもそも神童の意味がよくわかっていなかった)。現実は、小さい頃から毎日練習をしているだけだ。空手やキックボクシングに限らず、どんなスポーツや仕事でも、正しい方法で何年も休まず努力をしていたら、いつか結果はついてくるのではないだろうか。

 もし僕にすごいと言ってもらえるところがあるとしたら、14年間練習をずっと継続していることだろう。p16

 

第二に、空手の修業を通じて、豊富な技のバリエーションを身につけていることである。那須川の蹴り技は、キックボクシングの蹴りに加えて、三日月蹴りやバックスピンキック、胴回し回転蹴りなど空手の蹴りが加わって、変幻自在である。オーソドックスなキックのハイ、ミドル、ローの回し蹴りや膝蹴りとボクシングでも通用するパンチに加えて、それらの蹴りが加味されるので、予測不可能な怖さがあるのだ。

 

そして、これら二つの要素が混然一体となって融合され、那須川独自のスタイルを生み出している。

 

さらに小学5年よりキックの練習をスタートしたことも大きい。一発に力を込める空手とスピード重視のキックとでは、パンチも蹴りもまるで異なるからだ。

 

 今から分析すると、キックボクシングに転向したのが早かったのが良かったのかもしれない。中学・高校と空手に専念した上で18歳から転向していたとしたら、クセを直すのが大変だっただろう。p28

 

第三は、プロに転じて以降、徹底してピンポイントで急所を狙った攻撃へと転じたことである。もともと空手をやっていたころより急所狙いの習慣があり、父親からも「ずる賢い」と言われていたが、さらにプロに入ってからは、ポイントを稼ぐためダメージは少ないが優勢に見える手数の多い攻撃でなく、一発で相手が倒れるパンチやキックに磨きをかけるスタイルを築き上げてきたのである。

 

 僕は最初から「プロでやるなら、倒せる技がないといけない」と思っていた。

 アマチュアの大会でも相手をKOすることはあったけど、「効かせた」というよりは、タイミングで倒したものが多かった。

 だから、トレーニングで「倒す技」を磨くことが、目下のテーマだった。

 

 プロ練では、伊藤会長がプロのパンチの打ち方を教えてくれた。殺傷能力の高い打ち方だ。

 アマチュアでは、相手の額にジャブを当てると顔が跳ね上がり、ポイントになる。だけど、プロでは急所のアゴにナックル(拳の先端。人差し指と中指の付け根)を打ち込み、ダメージを与えなければ倒せる選手にはなれない。pp37-38

 

第四は、格闘技だけでなく、より広い動きをカバーするフィジカルトレーニングを積んでいることである。驚異的なジャンプ力や、柔軟無比な動きが常に可能である。

 

 プロになってから、自分の意思でフィジカルトレーニングに通い始めたが(特に外国人選手が相手だと、フィジカル負けしてしまう日本人選手は少なくない)、ボディアクシスの千田真矢さんも、まさに僕にぴったりのトレーナーだ。p39

 

そして、第五は意外にも那須川がお化け屋敷も大の苦手であるなど、ビビり屋であることだ。、不用意に相手のパンチやキックを受けたら倒れるのではないか、つねに恐れるがゆえに、徹底して攻撃を受けず、早いラウンドで勝負を賭けるスタイルが身についているのである。

 

 だけど、格闘技をやっていると「ビビり屋で良かった」と思うこともある。相手の攻撃はもらいたくないので避けるしい、先に当てるようになる。

 もちろん、時にはリスクを負って相打ち覚悟で行くべきだが、当てさせないで当てるのが僕の理想形だ。

 実際、格闘技にはビビり屋のほうが向いているという説があるらしい。ビビり屋だからこそ自分の弱点を把握して、克服しようと本気で練習するからだろう。殴り合うからといって、怖いもの知らずに向いているスポーツというわけではないのだ。p185

 

以上5つの要素、特に最初の三つは那須川の驚異的な強さの秘密の根源である。だが、それらは必要条件であっても、十分条件ではない。

 

強豪のファイターともなれば、誰もが強くなるために努力する。しかし、那須川は努力の人だけでなく、理解の人でもある。

 

 僕は、技術の習得が早いとよく言われる。それはたぶん、僕は人から何かを教わると、まずは自分の頭でその意味を理解しようとするからだ。そして、少しでも疑問点があれば、すぐに質問するようにしている。p38

 

様々な技のバリエーションや、卓越した基礎体力があっても、惰性でトレーニングする限り、頭打ちになる。同じ程度のトレーニングを積み、体力のある相手とは五分五分の戦いとなり、群を抜くことができない。最後に決め手となるのは、格闘技的知性の存在だ。相手によって攻撃のパターンを使い分ける柔軟性。これらは空手時代に、より大きな相手と戦うために、身についたものだ。

 

フルコンタクト空手ではハンディとなる身体が小ささが、逆にオールラウンドな攻撃スタイルを生み出したのである。その核にあるのは、優れた格闘技的知性であり、ロジックである。

 

若くして周囲からはその格闘技のセンスを高く評価されながらも、那須川は中卒で格闘技界入りすることなく、高校進学の道を選んだ。試合やトレーニングとぶつからないようにと、四年制の定時制高校を選び、試合やトレーニングの傍ら通い続けたのである。

 

 高校に通いながらプロ練に参加する方法を調べているうちに、今、通っている松戸南高校を見つけた。

 松戸南高校は3部制。いわゆる定時制高校だが、通う時間が午前・午後・夜間で選べるようになっていた。家から自転車で30分の距離で、午前部なら昼前に授業が終わるから、プロ練にも間に合う。

 ただ、午前中のみで通う場合は4年制だった。つまり、同級生たちより1年多く、高校に通わなくてはならない。僕にとっては大きな決断だった。p34

 

どれほど強力なパンチやキックがあっても、どれほど技が豊富であっても、その時々の相手に合わせてそれらを組み立てるのは身体の動きと一体になったインテリジェンスであり、ロジックである。

 

キックボクシングの動きに関しては、ほとんど死角のない那須川だが、MMAでのグラウンドの動きに関してはまだ上がいることは確かだ。しかしこの身体のインテリジェンスがある限り、どのようなルールの試合であろうと、那須川天心は進化し強くなり続けるこ

とだろう。

 

 だから、僕は自分でもまだまだ強くなれるのがわかっている。体は未完成だし、取り入れてみたい技術は山ほどあるので、理論上も伸びしろがあるのは間違いない。

 この本のタイトルになぞらえて言うなら、僕はまだ、覚醒していないということだ。p40

 

来たるべき格闘王、那須川天心の「覚醒」はまだこれからなのだ。

 

今月買った本(2018年1月)1月22日更新

文中敬称略

 

1月21日

 

花村ヤソ『アニメタ!』2〜4 Kindle版

これも期間限定無料の1巻を読み出したらはまった漫画です。『映像研には手を出すな!』とは対照的なリアル志向の丁寧なタッチによるアニメ制作現場のストーリーで、『エンピツ戦記』で舘野野仁美が描いたようなアニメーターの原画と動画の間の製作手順が細かく描かれます。ただ主人公の女の子が絵は未熟だが柔道2段で動体視力に優れ、その空間把握能力を評価されという設定はスポ根そのものだし、『重版出来!』の影響も感じられますね。『コネクト』もそうですが、そのうち無料でゲットした1巻は消えてしまうのです。

 

1月20日

 

清水潔『「南京事件」を調査せよ』Kindle版

文春の40%ポイント還元セールで買ってないタイトルの中で一番目を引いたのがこの作品。『殺人犯はそこにいる』で定評のあるノンフィクション作家清水潔が南京事件の真相に迫ります。『殺人犯はそこにいる』同様、生半可な覚悟では読んだり、レビューを書いたりできない作品です。

 

鈴木マナツ『コネクト』2〜4 Kindle版

コネクトはゲームやアニメの音楽をつくるティーンエージャーを描いた音楽漫画。音楽系のマンガは見つけると大体チェックするようにしています。作曲家の少年に、インスピレーションを与えた少女漫画家、ネットで有名となった女性歌手がみな近くの高校生という設定。無料の1巻でそこそこきれいな絵とDreams come true的なストーリー展開にはまって最新の4巻まで一気に買いました。

 

1月18日

 

高山真『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』(集英社新書)18/1/17

言葉にしづらいフィギュアスケートの世界を、羽生ら現在のトップスケーターを中心にわかりやすく解説した話題の書です。アクセル、ルッツ、フリップ、トウループ、サルコーって一体どこが違うの?フライイングキャメルスピンって何がフライングなの?といった誰もが抱く素朴な疑問から、演技構成点の複雑なスコアの世界まで、目から鱗が落ちまくりの一冊です。

 

恩田陸、瀬名秀明、小路幸也、宗田理、坂口恭平ほか『2030年の旅』(中公文庫)17/10/25

8人の人気作家が十数年後の未来を描いたアンソロジーです。坂口恭平をカバーするために買いました。坂口恭平は小説ではなく、エッセイを寄せています。収録作品は以下のとおり。

・恩田陸「逍遥」・瀬名秀明「144C」・小路幸也「里帰りはUFOで」・支倉凍砂「AI情表現」・山内マリコ「五十歳」・宗田理「神さまがやってきた」・喜多喜久「革命のメソッドーーー2030年のMr.キュリー」・坂口恭平「自殺者ゼロの国」(エッセイ)

 

ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン『青色本』(ちくま学芸文庫)Kindle版

スラヴォイ・ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』(河出文庫)Kindle版

ふだんあまりセール対象にならない哲学・思想書を、この日までの【20%ポイント還元】第四回 チチカカコヘ 6社編集長が本気で推す「教養はチカラだ!」フェア(1/18まで)チチカカコヘで購入。ウィトゲンシュタインの『青色本』は、青い表紙で綴じられていたためにこう呼ばれていますが、『論理哲学論考』以降のターニングポイントとなった講義録。「語の意味とは何か」という根源的な問いから始まります。スラヴォイ・ジジェクは、耽読したドゥルーズやデリダとは異なり、学生時代に読まなかったせいか、独自の書き方になじめないでいたので、最初の主著であるラカン論から攻略することにしました。解説に映画や小説を多用するのは、この頃からの傾向ですね。

 

1月16日

 

大童澄瞳(おおわらすみと)『映像研には手を出すな! 1』Kindle版 17/1/12

大童澄瞳『映像研には手を出すな! 2』Kindle版 17/9/12

『映像研には手を出すな!』は絶賛の噂が広がり、品切れの紙バージョンはプレミアムがつくまでの人気作(まもなく補充されるのであわてることはなさそう)。読んであっと驚く天才ぶりです。アニメーションの志向の漫画家であるために、ダンジョン的な空間造形には卓越したセンスを持っています。キャラ立ちする登場人物たち、毎回学園祭のノリの楽しいストーリー展開も魅力的ですが、これまでのアニメ作成物とは異なり、現物サイズのロボットや乗り物を乗り回すぶっとんだ想像力の爆発ぶりは、リアルさを追う余り生真面目になりすぎた漫画界に、漫画本来のカオス的な面白さを回復させてくれそう予感がします。2018年一押しの漫画と言ってもよいでしょう。

 

1月15日

 

狩撫麻礼、たなか亜希夫『迷走王ボーダー』1(上)、1(下)Kindle版

2018年1月5日に亡くなった狩撫麻礼(ひじかた憂峰、土屋ガロン)の代表作の一つ(1巻は上下各99円となっていました)。ツイッターのTLが狩撫麻礼のネタで盛り上がっていたので、購入してみました。大陸放浪時に出会い、同じアパートで生活する蜂須賀と久保田、それに浪人生の木村を中心に、金にも、暴力にも、権力にも屈することのない破天荒な男たちの活躍を描く痛快作です。服装にも無頓着なこういう無頼派が活躍するドラマは、バブル崩壊前の80年代までが限度でしたね。

 

1月14日

 

桐木憲一『金沢シャッターガール』(竹書房)18/1/11

『東京シャッターガール』が話題の桐木憲一の新作。この『金沢シャッターガール』も映画化され同時公開。将来に悩む金沢在住の女子高生夏目花菜が、金沢城や兼六園、茶屋街や尾山神社、近江市場、21世紀美術館といった定番スポットを撮りながら、自分探しを行うという設定。これに、日本人を母に持つドイツ系ハーフの男の撮影旅行がクロスオーバー。ホラーをからめたり、ディープな金沢案内になっています。

 

谷本真由美『バカ格差』(ワニブックス)18/1/11

年々深刻になる日本における格差の実態を、最新のデータをもとに海外と比較しながら鋭い切り口で切り込むめいろま本最新刊です。地域や住宅の格差、年収と学歴の格差、男女の格差、正規非正規の格差など、日本の病根を取り出しながら、そこから抜け出すための打開策をさぐります。

 

1月12日

 

二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣 6』(講談社)18/1/12

『七つ屋志のぶの宝石匣』は宝石の気がわかる質屋の娘志のぶと、志のぶの家に質草として預けられ、今は宝石商として働く顕定を中心とした宝石物語。ラブコメにミステリー要素がからみながら、物語がどこへ向かうのかいまだに不明だけど、つい引き込まれる面白さ。質屋の内部事情や宝石の知識も自然に身につきます。6巻では、酷使しすぎたせいか志のぶの超能力に陰りが出て…

 

羽賀翔一『今日のコルク(1)〜新人マンガ家のスケッチブック〜』(コルク)14/9/5

羽賀翔一『ケシゴムライフ』(コルク)14/11/7

羽賀翔一『昼間のパパは光ってる』(コルク)16/10/1

『漫画 君たちはどう生きるか』が100万部突破記念ということで、期間限定全点100円セールに釣られました。この人の絵は、どこか野暮ったい感じがして、苦手だったのですが、それが逆に『君たちはどう生きるか』ではプラスに働いている気がします。何にせよ先入観だけで判断するのはよくないので、これを機会に押さえることにしました。『今日のコルク』は羽賀翔一がFacebookに更新の絵日記、『ケシゴムライフ』は短編集、『昼間のパパは光ってる』はダムづくりの技師と家族の物語です。

 

1月9日

 

レーモン・ルーセル×坂口恭平 國分俊宏訳『(抄訳)アフリカの印象』(伽鹿舎)

本来2016年に出版されたものの、九州限定販売だったため、版元から取り寄せないと手に入りませんでしたが、このほどAmazonでも取り扱うようになったということでさっそく注文。この日到着しました。訳者によると、坂口恭平がルーセルの『アフリカの印象』にインスパイアされて描いたドローイングをもとに、その場面の抜粋の訳をつけて出版したいと企画だったようです。ドローイング以外に、ページの下にフランス語の原文が横書きで添えられています。ルーセル自身、アフリカへ行かずに、言葉遊びでこの本を書いたので(フーコーのいう「文学機械」)、それに坂口恭平が本を読んだだけでドローイングを描き加えたわけですから、原著以上にシュールな世紀の奇書になっています。塗り絵するのも楽しそうなので、ついもう一冊ほしくなります。

 

1月8日

 

安富歩『超訳論語』 Kindle版

安富歩『老子の教え あるがままに生きる』Kindle版

ともにディスカヴァー・トゥエンティワン書籍キャンペーンで50%OFFになり値ごろ感が出てきたので購入。『超訳論語』は支配階級に好都合なイデオロギーとしての『論語』を学問を学ぶ者の倫理に読みかえながら大胆な価値観の転換をはかっています。『老子の教え』は、言語による思考の支配の彼方をめざす自然主義哲学として、これまでの老子観を一歩進めたものです。いずれも1、2時間もあれば読めるものですが、既成概念に縛られた考えから解放され、すっきりとした気分になれる本です。

 

1月6日

 

手塚治虫『手塚治虫のマンガの描き方』Kindle版

1月のKindle月替わりセールの中に99円で入っていたので、購入。以前、紙の本を購入した記憶があるけれど、あの本はいったいどこへ行ったんでしょう。内容もまるで思い出すことができません。

 

1月5日

 

田中圭一『ヤング田中K一』Kindle版

ギャグマンガフェア(〜1/18)の中に270円で入っていたので、購入。おもちゃメーカーに入社し、日々おもちゃの販売に奮闘する若き日の田中圭一の姿を、手塚タッチで描いた作品です。紙の本が出てから12年になるので、今とは若干キャラクターの絵柄も違いますね。

 

1月4日

 

ONE,村田雄介『ワンパンマン 15』Kindle版 

この日ようやく配信となった電子版。12巻あたりまで一気読みできた勢いが、ここにきてひねりを入れようとしてやや停滞気味です。『ワンパンマン』の面白さって、強そうなヒーローの登場、それが強い悪役の出現の前に玉砕、その悪党をワンパンマンがワンパンチで粉砕という単純さにあるんですよね。

 

以下3冊は紙の書籍

 

那須川天心『覚醒』(クラーケン)17/12/06

キックボクシングで、そしてMMA(総合格闘技)で、圧倒的な強さを見せる十代のファイター、「神童」那須川天心の初の著書です。那須川自らが語るこれまでの格闘技人生と、プロデビューしてから過去の戦いすべて、さらに両親や友人、指導者たちが見た那須川像を立体的に構成した一冊となっています。那須川の強さの秘密がクリアに見えてきます。

 

はらぺこグリズリー『世界一美味しい煮卵の作り方 〜家メシ食堂 ひとりぶん100レシピ〜』(光文社新書)17/02/05

入手困難な食材も、面倒なステップも省いて、どこまで美味しい料理を作れるかというコンセプトの手抜き料理本。100の料理がそれぞれ1、2pに収められて、数分でできるものも多いです。すぐにでも料理のバリエーションが増えそうです。

 

中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』(講談社)17/12/26

『東京アースダイバー』『大阪アースダイバー』につぐ第三作は、現実に焦点を合わせ、築地市場と明治神宮という二つの場所がつくり上げられた経緯からその現代的意義を掘り下げます。

 

以下は、セール対象の駆け込み購入です。

 

(光文社キャンペーン)

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』1〜4(光文社古典新訳文庫)

古典新訳文庫80タイトルが50%OFFとなっていたので、以前からほしかった『カラマーゾフの兄弟』を揃えることに。『カラマーゾフの兄弟』は実は5巻あるのですが、5巻目はエピローグ別巻となっているので、4まで読めたら後でもいいかという感じです。

 

フローベール『感情教育』上、下(光文社古典新訳文庫)

『感情教育』は、学生時代に岩波文庫版で読みましたが、美しい文体の恋愛小説です。大事なことは何も起こらないと言われますが、もう一度別の訳で読みたくなりました。

 

サン=テグジュペリ『夜間飛行』(光文社古典新訳文庫)

『人間の大地』も『夜間飛行』も好きな作品です。『夜間飛行』の方が短く、その分安かったのでという単純な理由です。

 

遠藤秀紀『人体 失敗の進化史』(光文社新書)2006/06/20

読んでないセール対象本の中では、レビューの評価も高く、なんとなく名著の予感がしたので購入しました。

 

(ビジネス本フェア)

読書猿『アイデア大全』(フォレスト出版)2017/02/01

これもKindle版が半額になっていたので、駆け込みで購入。『勉強の哲学』の千葉雅也さんも執筆時に参考にしたとか。いろいろとアイデアの出し方がカタログ的に並んでいて、重宝しそうな本です。

荒木健太郎『雲を愛する技術』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略


 

春の霞、五月晴れの青空に浮かぶ白い雲、夏の入道雲、台風の訪れを告げる黒い雲、秋空に映えるひつじ雲。雪を降らす分厚い灰色の雲、ピンク色に染まった夕空に浮かぶちぎれ雲。山の頂上や飛行機から見下ろす一面の雲海。雲ほど、多種多様で、変化に富んだ現象も存在しません。

 

けれども、不思議な雲の姿や色を見つけていざ言葉にしようとしても、多くの言葉が思い浮かばないのが実情でしょう。

 

木健太郎『雲を愛する技術』(光文社新書)は、そんな多種多様な姿を持った雲についての膨大な知識を、何の予備知識のない人にも教えてくれる雲の入門書です。

 

まず、驚くのは採録された雲の写真の数です。小学校や中学校の理科の時間、高校の地学の時間で習った雲の種類は、十種類ほどだったと思いますが、この本の中には何百枚という写真が使われながら、何十何百という雲の名前が紹介されています。

 

たとえば、巻積雲一つとっても、層状巻積雲、レンズ状巻積雲、塔状巻積雲、房状巻積雲、波状巻積雲、蜂の巣状巻積雲の6つが写真と共に紹介され、その中には同じ雲とは思えないものも混じっています。

 

その写真にうつる雲の色の美しさ、姿かたちの多様さに時間を忘れて見入ってしまいます。そして、こんな名前が与えられていたのかを再確認させられます。

 

さらに、それぞれの雲の説明も、どのようにしてでき、どんな時に見られるのか、細かく説明されています。

 

多くの写真についで、目を引くのが、パーセル君というキャラクターを中心にした、イラストの数々で、雲がいかにしてできるのかや、天気の変化がいかにして生じるかがわかりやすく描かれています。雪のコーナーでは、お相撲さんのイラストで、どれだけの重さが家の上に降り積もっているかなども説明されます。

 

他の科学書によくあるように、ある程度基本を説明した後は、同じようなものに関しては説明を省略するというやり方ではなく、すべての雲や気象現象について、丁寧な説明を心がけて書かれています。

 

つまり、体裁は、初心者向けですが、内容的にはプロをもうならせる最も詳しい雲についての本になっているのです。

 

本書の中で扱われるのは、雲だけではありません。虹や蜃気楼、雷や雪、オーロラも、天使の階段のような空に見られる現象もすべて、どのような条件で、どのようにできるのかが、同じようなやり方で説明されています。

 

虹一つについても、ダブルレインボー、赤虹、モノクロ虹、過剰虹、反射虹、霧虹、雲虹などが紹介されますし、虹のように見える空の色彩現象についても、光輪や彩雲、アークなどの名前が与えられていることを知ります。また、月の見え方の変化に関しても、月齢以外に、月光環や月暈などが紹介されています。

 

また、どうしたら本書の中の写真のようなものが撮れるかのガイドも、随所で盛り込まれています。本書の写真は、スマホやコンデジと100円ショップで売っているようなマクロレンズを組み合わせて撮られたものがほとんどなのです。

 

『雲を愛する技術』は、このように多面的な魅力を持っているので、学校の勉強に役立てたい小中学生にも、毎日船で海に出て漁をしたり、田畑で作物を収穫したりする人にも、インスタ映えのする空の写真を撮りたい人、絵や漫画を描く人、短歌や俳句、詩や小説をつくる人など、いろいろな読者に開かれている本です。勉強にも、仕事にも、趣味にも使えるオールラウンドな本です。

 

雲だけでなく、気象現象に関して、これほど多くの言葉が、ポケットに入る一冊に収められた本も他にないと思います。

 

『雲を愛する技術』は、雲と気象に関する写真の宝庫、知識の宝庫であるだけでなく、それらを表現する言葉の宝庫でもあるのです。

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