[2014/03/31] 夜桜@上野
2014.03.31 Monday
2014.03.31 Monday
赤羽雄二『ゼロ秒思考』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略
私たちは考えているようで、実は深く考えていない。同じ所を堂々めぐりして、表面的な考えのレベルにとどまっている。それを変えるにはどうすればいいのか。きわめて簡単なソリューションはメモをすることにあった。
心のなか中のわだかまりも、ひらめいたアイディアも瞬時にメモの上に書き出してしまえばよい。それだけで、日ごろの心配事、悩みから脳が解放され、コミュニケーションも潤滑になる、スピーディに考えられるようになるというのが赤羽雄二『ゼロ秒思考 頭がよくなるシンプルなトレーニング』(ダイアモンド社)の基本的な主張である。
やることはきわめて簡単だ。そして、実行し続ければ確実に効果がある。
本書の内容は、この「はじめに」の中でほとんど語られ尽くされている。後は、なぜそうするのか、なぜこの形がいいのかといった理由づけであったり、具体的に何を書くのかという、何を書いていいかわからない人のためのヒントであったりする。いわば薬の効能書きみたいなものである。これだけだと、あまりにシンプル過ぎて、誰も実行しそうにないから文章を書き連ねているだけだ。
A4の紙は、使い古した裏紙でよい。それだけで気が楽になるし、上手な文章やきれいに書こうとする配慮も不要である。ただ、自分が読みやすければいい。
目安としては4〜6行、各行20字〜30字程度がよいと言う。個人差もあるが、それがぎりぎり1分で書き出せる分量である。左上にタイトルを入れ下線を引く。右上に2014-3-31のようにシンプルな形で日付を入れる。それだけだ。
ノートやパソコンではなぜ駄目なのか。
ノートでは、後で分類したり整理したりするのに不便だからだ。
パソコンでは、アイデアが思いついた時に間に合わないことも多い。それだけでなく、図を描いたりするにも時間がかかりすぎる。パソコンに合わせると文字しか打てなくなり、本末転倒の結果となる。
フォルダは、市販のクリアファイルを使えばいい。それをテーマごとに7から10用意し、そのままほうりこんでゆくだけでよい。
メモ書きの技術の本はこの本だけではないが、それらはアイディアのみにとらわれすぎていた。素晴らしい考えばかり追おうとしても思うように浮かばないのは、日ごろのわだかまり、心のゴミの部分を吐き出すことを回避しているためである。本書のオリジナリティは、実はこの心理的効果の側面を重視していることである。
人は同時に二つのことを考えられない。だから心を占めている心配事をまず吐き出してしまえ。それと素晴らしいアイディアの間に区別はない。
情報収集に時間をかけすぎないことも大事だ。情報収集をやっているうちに機会を失う可能性の方がむしろ高い。
最初にこの方法はやり続ければ間違いなく効果があると述べた。実はやり続けるのが難しい。それは最初にずらりすべて書き出してしまうと、同じことを繰り返し考えていたつもりが実はそれ以上考えていなかったことに気づく。気負って20ページでも30ページも書こうとする人がいるが長続きはしない。
しかし、同じ考えが出てくればそれもさらに書き出した方がいいと言う。
以前書き出したものを探そうとすると、1分以上時間がかかってしまう。メモをすべて携帯しているわけでもない。それなら新たに書きだした方がいい。たいていは最初のものよりベターな内容になっているはずだ。
いろいろと自分なりの工夫を加え、かえってダメにする人がいる。フォーマットの工夫よりも内容を一定期間吐き出し続けることの方がずっと重要だ。まずは数百ページ書き出してみて効果を実感してほしい、フォーマットの工夫などその後で自然にできることだ。
大事なのは思いついた瞬間に書くことだ。夜にまとめ書きをしようとしてはいけない。アイデアとは一期一会。まとめ書きでは、おぼろげな記憶で内容も曖昧になる。
さらに、一つのテーマを堀り下げて書く方法や、メモを企画書やプレゼンにまとめる方法が後半に書かれているが、そこまでやる必要がある人は限られている。本書の内容はエッセンスは、以上のことの繰り返しである。このまとめだけで十分な効果があるはずだが、少し試みて自分に合っていて効果がありそうと感じた人は本書を開いてみるとよいだろう。
Kindle版
私たちは考えているようで、実は深く考えていない。同じ所を堂々めぐりして、表面的な考えのレベルにとどまっている。それを変えるにはどうすればいいのか。きわめて簡単なソリューションはメモをすることにあった。
心のなか中のわだかまりも、ひらめいたアイディアも瞬時にメモの上に書き出してしまえばよい。それだけで、日ごろの心配事、悩みから脳が解放され、コミュニケーションも潤滑になる、スピーディに考えられるようになるというのが赤羽雄二『ゼロ秒思考 頭がよくなるシンプルなトレーニング』(ダイアモンド社)の基本的な主張である。
やることはきわめて簡単だ。そして、実行し続ければ確実に効果がある。
それは、頭に思い浮かぶことを次々とメモに書くだけだ。ただノートやパソコン上ではなく、A4の紙に1件1ページで書く。ゆっくり時間をかけるのではなく、1ページを1分以内にさっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに投げ込んで瞬時に整理する。それだけで、マッキンゼーのプログラムでも十分に教えていない、最も基本的な考える力を鍛えられる。深く考えることができるだけでなく、「ゼロ秒思考」といえる究極のレベルに近づける。心のコントロールの達人にもなり、ストレスや不安、恐怖が軽減される。前向きに明るく考えることができるようになる。しかも、お金はほとんどかからず、わずか3週間ほどでかなりの効果を体感できるはずだ。
本書の内容は、この「はじめに」の中でほとんど語られ尽くされている。後は、なぜそうするのか、なぜこの形がいいのかといった理由づけであったり、具体的に何を書くのかという、何を書いていいかわからない人のためのヒントであったりする。いわば薬の効能書きみたいなものである。これだけだと、あまりにシンプル過ぎて、誰も実行しそうにないから文章を書き連ねているだけだ。
A4の紙は、使い古した裏紙でよい。それだけで気が楽になるし、上手な文章やきれいに書こうとする配慮も不要である。ただ、自分が読みやすければいい。
目安としては4〜6行、各行20字〜30字程度がよいと言う。個人差もあるが、それがぎりぎり1分で書き出せる分量である。左上にタイトルを入れ下線を引く。右上に2014-3-31のようにシンプルな形で日付を入れる。それだけだ。
ノートやパソコンではなぜ駄目なのか。
ノートでは、後で分類したり整理したりするのに不便だからだ。
パソコンでは、アイデアが思いついた時に間に合わないことも多い。それだけでなく、図を描いたりするにも時間がかかりすぎる。パソコンに合わせると文字しか打てなくなり、本末転倒の結果となる。
フォルダは、市販のクリアファイルを使えばいい。それをテーマごとに7から10用意し、そのままほうりこんでゆくだけでよい。
メモ書きの技術の本はこの本だけではないが、それらはアイディアのみにとらわれすぎていた。素晴らしい考えばかり追おうとしても思うように浮かばないのは、日ごろのわだかまり、心のゴミの部分を吐き出すことを回避しているためである。本書のオリジナリティは、実はこの心理的効果の側面を重視していることである。
(…)過度の自意識を取り払い、がんじがらめでこわばっている頭をほぐすことができれば、誰でも元々持っている高い能力を発揮できるはずだ。p52
メモに書くことで、もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。頭がすっきりする。もやっとした思いを言葉に直し、手書きし、目で確認することで、メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きがよくなる。そう、人間の頭はそれほどキャパがあるわけではないので、何かに気をとられるとうまく動かないのだ。p64
人は同時に二つのことを考えられない。だから心を占めている心配事をまず吐き出してしまえ。それと素晴らしいアイディアの間に区別はない。
情報収集に時間をかけすぎないことも大事だ。情報収集をやっているうちに機会を失う可能性の方がむしろ高い。
「もっと情報がほしい、今のままだと不完全だ」と言いたい気持ちをこらえて、大胆に仮説を出す癖をつけることだ。p57
最初にこの方法はやり続ければ間違いなく効果があると述べた。実はやり続けるのが難しい。それは最初にずらりすべて書き出してしまうと、同じことを繰り返し考えていたつもりが実はそれ以上考えていなかったことに気づく。気負って20ページでも30ページも書こうとする人がいるが長続きはしない。
だが、実際やってみると、それほど続かないだろう。1日10ページ、つまり10のテーマで書くことはやってみると結構大変なことなのだ。2、3日はよいが、ほとんどの人は毎日10ページすら1週間も続かない。
なぜか。おそらく、普段いろいろなことを考えているとは言え、堂々巡りや繰り返し、逡巡が大半なのだ。p109
しかし、同じ考えが出てくればそれもさらに書き出した方がいいと言う。
以前書き出したものを探そうとすると、1分以上時間がかかってしまう。メモをすべて携帯しているわけでもない。それなら新たに書きだした方がいい。たいていは最初のものよりベターな内容になっているはずだ。
どうせ1分で書き終えることなので、前に書いたものを見ずに、空で新たに書き下ろすほうがよほど効率的だ。p87
いろいろと自分なりの工夫を加え、かえってダメにする人がいる。フォーマットの工夫よりも内容を一定期間吐き出し続けることの方がずっと重要だ。まずは数百ページ書き出してみて効果を実感してほしい、フォーマットの工夫などその後で自然にできることだ。
大事なのは思いついた瞬間に書くことだ。夜にまとめ書きをしようとしてはいけない。アイデアとは一期一会。まとめ書きでは、おぼろげな記憶で内容も曖昧になる。
さらに、一つのテーマを堀り下げて書く方法や、メモを企画書やプレゼンにまとめる方法が後半に書かれているが、そこまでやる必要がある人は限られている。本書の内容はエッセンスは、以上のことの繰り返しである。このまとめだけで十分な効果があるはずだが、少し試みて自分に合っていて効果がありそうと感じた人は本書を開いてみるとよいだろう。
Kindle版
2014.03.29 Saturday
水樹奈々『深愛』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略
『深愛』(幻冬舎)は、人気アニメ声優であり、紅白出場経験も持つ歌手でもある水樹奈々の自伝的エッセイである。本名は近藤奈々。90年代に活躍したシンガー、近藤名奈とまぎらわしいため本名は使えなかったとしている。
元々の夢は、声優ではなく、演歌歌手であり、それは歯科技工士である父親の悲願でもあった。そのために両親は、カラオケ講師の資格までとり、自宅にカラオケ教室を開業するという熱の入れよう。自宅で猛レッスンを受けながら、五歳のころから地域のステージに上り、コンテストでも勝ち抜く。中学一年のころには、地元新居浜の観光用の歌のレコーディングも行う。コンクールで勝ち抜き、グランドチャンピオンに。それがきっかけでスカウトされ、事務所に所属し、ボイストレーナー宅に下宿することになった。
堀越学園芸能コースに通いながら、レッスンを積むものの、周囲の友達が仕事で欠席する中、皆勤の日が続く。成績では学年1位になったこともあるが、生活は貧しかった。衣服費はゼロ、昼食も学食で男子生徒の中に混じって食事もできず、パンやおにぎりを食べる毎日だった。
何とか奨学金を得ることができたものの、所属していた芸能事務所が破産する。芸能コースに在籍するためには、事務所に所属していなくてはならないが、それがなくなったのだ。結局、そのままボイストレーナーが開いた新しい事務所に所属することになるが、仕事の取り方やセクハラの問題もあり、徐々に軋轢が生じていった。
もう一つの夢である声優の最初の仕事が決まる。ゲームのキャラクターに抜擢されたのだ。しかし、早々に声優としての壁にぶつかる。習ったことがまるでできない。訛りの問題にも気がついた。他方、その抜群の歌唱力をスタッフから賞賛されたりもした。
デビューはしたものの相変わらずお金はなかった。交通費に加え、頭を悩ませたのが衣服代の問題だった。ファンから使い回しを指摘されるのは辛いことだ。仕方なく事務所の電話番、テープ起こしから、エステサロンの受付のバイトまでやった。
キングレコードの三嶋章夫との出会いがすべてを変えた。契約金にこだわる社長とプロモーションが先という自分との意見の対立、セクハラの問題もあって、結局事務所を離れることになる。上京して五年半後のことだった。
声優としての活躍が軌道に乗り始めたころ、父親が病で倒れた。脳梗塞だった。一年ほどたったある日、危篤の知らせが母から届く。ぎっしり詰まっ仕事のスケジュールをどうしたらいいのか、意を決して帰郷の途に向かった彼女を待っていたものは…
5の父との別れ〜パパとママのこと〜に至るまで、堰を切ったように、文章がよどみなく流れ続ける。そして、ある場面で読者は涙を流すことになるだろう。それは悲しみと同時に、歓喜の涙でもある。一体、何が起こったのか。
今ほとんどのタレント本は、聞き書きによるゴーストライティングであると言われるが、この本の情報密度の高い情報を考えると、本人が書いたのではないかと七割方思う。当たり障りのないよもやま話なら、他人任せでも大丈夫だが、微妙な対人関係のデリケートな表現に関して細心の注意を払って書かれた痕跡が認められる。他人に丸投げすると、ちょっとしたニュアンスの違いで、炎上したり、訴訟になったりする部分が含まれるからだ。
本書を読むことで、読者は声優水樹奈々の原点と、この世界では抜群のの歌唱力の秘密を知ることになるだろう。
声優を目指す人にとって大事なことは、6の心と声〜わたしの仕事〜中心にまとめられている。
「出会ったキャラクターの数だけ声が出せます」
いつもそう答えている。
(『深愛』p111)
『深愛』(幻冬舎)は、人気アニメ声優であり、紅白出場経験も持つ歌手でもある水樹奈々の自伝的エッセイである。本名は近藤奈々。90年代に活躍したシンガー、近藤名奈とまぎらわしいため本名は使えなかったとしている。
元々の夢は、声優ではなく、演歌歌手であり、それは歯科技工士である父親の悲願でもあった。そのために両親は、カラオケ講師の資格までとり、自宅にカラオケ教室を開業するという熱の入れよう。自宅で猛レッスンを受けながら、五歳のころから地域のステージに上り、コンテストでも勝ち抜く。中学一年のころには、地元新居浜の観光用の歌のレコーディングも行う。コンクールで勝ち抜き、グランドチャンピオンに。それがきっかけでスカウトされ、事務所に所属し、ボイストレーナー宅に下宿することになった。
堀越学園芸能コースに通いながら、レッスンを積むものの、周囲の友達が仕事で欠席する中、皆勤の日が続く。成績では学年1位になったこともあるが、生活は貧しかった。衣服費はゼロ、昼食も学食で男子生徒の中に混じって食事もできず、パンやおにぎりを食べる毎日だった。
何とか奨学金を得ることができたものの、所属していた芸能事務所が破産する。芸能コースに在籍するためには、事務所に所属していなくてはならないが、それがなくなったのだ。結局、そのままボイストレーナーが開いた新しい事務所に所属することになるが、仕事の取り方やセクハラの問題もあり、徐々に軋轢が生じていった。
もう一つの夢である声優の最初の仕事が決まる。ゲームのキャラクターに抜擢されたのだ。しかし、早々に声優としての壁にぶつかる。習ったことがまるでできない。訛りの問題にも気がついた。他方、その抜群の歌唱力をスタッフから賞賛されたりもした。
デビューはしたものの相変わらずお金はなかった。交通費に加え、頭を悩ませたのが衣服代の問題だった。ファンから使い回しを指摘されるのは辛いことだ。仕方なく事務所の電話番、テープ起こしから、エステサロンの受付のバイトまでやった。
キングレコードの三嶋章夫との出会いがすべてを変えた。契約金にこだわる社長とプロモーションが先という自分との意見の対立、セクハラの問題もあって、結局事務所を離れることになる。上京して五年半後のことだった。
声優としての活躍が軌道に乗り始めたころ、父親が病で倒れた。脳梗塞だった。一年ほどたったある日、危篤の知らせが母から届く。ぎっしり詰まっ仕事のスケジュールをどうしたらいいのか、意を決して帰郷の途に向かった彼女を待っていたものは…
5の父との別れ〜パパとママのこと〜に至るまで、堰を切ったように、文章がよどみなく流れ続ける。そして、ある場面で読者は涙を流すことになるだろう。それは悲しみと同時に、歓喜の涙でもある。一体、何が起こったのか。
今ほとんどのタレント本は、聞き書きによるゴーストライティングであると言われるが、この本の情報密度の高い情報を考えると、本人が書いたのではないかと七割方思う。当たり障りのないよもやま話なら、他人任せでも大丈夫だが、微妙な対人関係のデリケートな表現に関して細心の注意を払って書かれた痕跡が認められる。他人に丸投げすると、ちょっとしたニュアンスの違いで、炎上したり、訴訟になったりする部分が含まれるからだ。
本書を読むことで、読者は声優水樹奈々の原点と、この世界では抜群のの歌唱力の秘密を知ることになるだろう。
声優を目指す人にとって大事なことは、6の心と声〜わたしの仕事〜中心にまとめられている。
声優の専門学校や養成所でも「声を作ってはいけない」と指導される。
なぜなら、アニメーションの主役は声優ではなく、あくまでもキャラクターだから。
例えば、喉をしぼってハイトーンで声を作り、自分の声はコレと決めてしまうと、その声にキャラを無理にあてはめることになりかねない。それでは本末転倒だ。フラットな気持ちで作品と向き合い、演技をする中でキャラクターに自然にマッチする声を出していくというのが、私がこれまでの現場で学んできたことでもあり、声優としてもっとも大切にしていることでもある。p186
「水樹さんはいったい何種類の声が出せるんですか?」
デビュー以来、取材などでよく聞かれることだが、私はその答えを持ちあわせていない。私にできるのはキャラクターを生かすこと。新しい作品に出会うたび、私の演じるキャラクターに似合う声がどんなものなのか、じっくり向き合い考えていく。そのキャラクターと自分の共通点を探し出して、気持ちを重ねていく。常にそれを心がけている。
「出会ったキャラクターの数だけ、声を出せます」
いつもそう答えている。pp110-111
Youtube:水樹奈々『深愛』
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