つぶやきコミューン

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前田裕二『メモの魔力 The Magic of Memos』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略                              ver.1.01

 

 

『メモの魔力 The Magic of Memos』(幻冬舎)は、SHOWROOM社長で、『人生の勝算』の著者前田裕二によるメモの活用術をまとめた本だ。

 

それが発行早々四刷で十七万部突破と驚異的な売れ行きを示している。

 

メモの活用術に関する本は、今までに何十と出版されてきた。その中で、『メモの魔力』は、どこが凄いのか。

 

ひと言で言えば、それは考えるメモ、より正確に言えば考えることを仕組み化したメモであるということだ。

 

それを本人の言葉でいうと、人間にしかできない「知的生産のためのメモ」ということになる。

 

 メモランダム、備忘録、つまり忘れないためにとっておくものがメモ、これが一般常識だと思います。「メモをとりなさい」と学校や職業で言われたりして、まず人が体験するメモが、こちらだからでしょう。ゆえに、一般的にメモと言われたら、記録のための備忘録を想起する方が多いと思います。しかし、僕がこの本で強調したいのは、メモの底力は別のところにある、ということ。

 

それが、二つ目のメモ、すなわち、「知的生産のためのメモ」です。pp24-25

  人間にしかできないこととは、独自の発想やセンス、視点で、アイデアを創出することです。決して、情報をそのまま書き写すなどといった、機械的なオペレーションではありません。そんなことは、これからもう、なるべくなら、機械に任せていきましょう。p26

 

前田裕二のメモの基本フォーマットは、おおまかに言えば、ノートの見開きを使い、左側のページには日付と小見出しとともにファクト(事実)を書き、二列に分けた右ページの左側では、まず抽象化を行い、右ページの右側ではそれを具体例へと落とし込んだ転用を書いてゆくスタイルだ。

 

 左側は、「抽象化」した要素を書きます。左ページの「ファクト」を見つめて、そこで書かれている具体的な内容を「抽象化」します(※抽象化については次章を参照)。左ページに書いた内容から、抽象化すべき要素を見つけたら、そこから適宜右ページに矢印を引っぱって、対応する抽象命題を書いていきます。

 

 そこで終わりではありません。次に、抽象化した気づきを別の何かに適応して実際に行動を変えるため、右ページの右側には、「転用」の要素を書いていくのです。「〇〇という真理・命題を受けて、これをこう変えてみよう」という、実際のアクションにつながる粒度まで落として書くことが重要です。p43

 

つまり単発のメモではなく、ホップ(ファクト)ーステップ(抽象化)ージャンプ(転用)というメモの三段跳びであるということだ。

 

この作業は、はじめのうちは、脳に相当な負荷がかかるが、それを習慣化することで、偶然出会った事実、情報から法則を抽出し、さらに他の現実的な場での実例まで進めることで、メモはアイデアに変わり、そしてビジネスや作品というアウトプットに直結する動線ができるのである。

 

前田裕二が「メモで夢をかなえる」というのは、決して大げさではないのである。

 

その確率を高めるために、◎(ファクト)⦿(抽象化された気づき)★(転用としての次なるアクション)のような印も使い分ける。デジタルメモの場合には、これらの記号は検索でも役に立つ。

 

★がついていると、「動かなきゃ」というマインドが引き起こされるように、つまり、★が自分のマインドにダイレクトに届いて焦りを引き起こすように、自分の脳をコントロールしています。p66

 

メモで、色を使い分けることは多くの人がやっていることだが、前田裕二は四色ボールペンの使用を選択する。

 

前田の場合、黒はファクト、青はやや重要なこと、赤は最重要なことで、緑は主観的な発想ということだ。この色分けの最大のポイントは、緑の使用である。

 

 ファクトに対して自分が思ったこと、つまり主観的な発想は、緑色で書きます。ファクトを書きながら同時に緑色で主観を書き込む癖をつけると、自分の意見をスピーディに構築・発信する力が急速に増します。だんだんと、メモを俯瞰したときに緑色が少ないとちょっと気持ち悪いくらいの感覚にすらなってきます。p62

 

メモの三段跳びによって、一つの情報を転がし、実装可能なものに落とし込むとしても、それが自分のやりたいこと、やるべきことと結びついていなければ、いたずらに労力をかけるだけの結果に終わってしまう。

 

前田裕二のいう「人生の勝算」につなげなければ意味はないのである。

 

もう一つの柱は、メモの活用による「自己分析」である。自分自身がどのような人間なのか、何をやりたいのか。どのような人生を望むのか。それを知るために、本書の後ろには1000にわたる質問項目が用意されている。1000題が厳しいという人には100題の簡略なバージョンから始めてもよい。

 

100題の場合、幼少期、小学校、中学校、高校、大学、社会人といった段階ごとに、将来の夢、職業、理想の人、理想の食生活、理想の住まい、理想の年収、理想のパートナーといった質問に答えてゆく。

 

さらに、その答えにWhy?を加えて抽象化することで、本質にたどりつこうとするのである。

 

とはいえ、自分の得意や不得意、成功や失敗など、人生の転機となる出来事を枚挙し、その意味づけを行う、この種の自己分析、プロファイリングは、のちにカタルシスによって快感や解放感に変わるとは言え、初めは多かれ少なかれ苦痛をともなう。

 

だから、人生の曲線を描いてみるという別の選択肢も前田裕二は用意してある。

 

ファクトから抽象化、具体化の三段階のステップ。質問表に対し答える中での自己分析により、自分のパーソナリティや夢の輪郭を明確にすることで自分の軸を見つけ、夢を実現することが前田裕二のメモの目標である。

 

覚えていないことは、重要でないことと考えてあえてメモを取らないという人もいる。

 

それに関して、前田裕二は次のように答えている。

 

「メモをとらないと忘れてしまうことは重要ではないから、覚えておく必要はない」「記憶のスクリーニングにかけたほうがいい」という説があります。

 僕は、現時点では、その説には懐疑的です。

 完全に創造性だけが問われるような右脳に寄った仕事をされている方は、この限りではなく、むしろ忘却によって自分の感性が研ぎ澄まされる、ということもあると思います。「自分が覚えていることこそが表現すべき概念であって、忘却スクリーニングでろ過をして表現に昇華する」という方向性です。

 しかし、左脳と右脳を両方駆使して、問題解決や知的生産に向き合い続ける仕事をしている場合、メモは避けて通るべきではない。必要不可欠な魔法のツールだというのが僕の考えです。p182

 

前田裕二は、単なるクリエイターであるだけでなく、多くの従業員を抱える会社の社長起だ。だから、クリエイティブなひらめきのままに突っ走るということは許されない。

 

「創造の機会喪失」を避けるために、気になることはすべて書きとめ、それを次なるアイデア、そして行動につなげてゆく必要があるのだ。

 

メモは夢を具体的にし、それへと近づけるはたらきをする。だが、ある臨界点を超えないとその真価は発揮できない。

 

そのために必要なものを「熱」と前田裕二は言う。

 

 それは「熱」です。

 ふつふつと煮え滾って今にも爆発してしまいそうな、マグマのような熱です。これを根源に持っていれば、ただノウハウを知るだけではなくて、自ら生み出していくことができるようになります。ノウハウ本を読んだだけでは終わらず、抽象化したり、自分ごとにして、再生産できるようになります。その源にあるのは、やはり圧倒的な熱量です。「絶対この試験に受かりたい」「満点をとりたい」「この仕事につきたい」「この企画を、事業を立ち上げたい」といった、誰にも止められないような、内から湧き出てくる強い願望です。その意味で、やはり大切なのは、表層的なテクニックではなく、「なぜやるのか」「何のためにやるのか」といった根っこの部分だと思っています。

 自分は根底で何を願っているか、この自己理解が進むと、日々をただ漫然と過ごすのではなく、目の前の取るに足らない何かをアイデアに変えたり、夢の実現に前のめりに生きることができます。受け身で生きるのではなく、楽しみながら、自分からとりに行く、そういうスタンスを持つと人生は一気に楽しくなります。p196

 

前田裕二のメモ術は、考える力、夢見る力を最大限に引き出し、人生に対する態度を受動的なものから、能動的なものに変えるはたらきをする。メモを単なる情報処理や情報整理のツールとして使うのでは、十分に能動的とは言えない。自分自身のパーソナリティや夢の輪郭をクリアにし、人生に対する前向きな推進力、ベクトルをつくりだすことがメモの魔力の正体である。

 

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