つぶやきコミューン

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荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

 

荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』は、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する天才漫画家岸辺露伴を主人公としたスピンオフ作品の第二弾である。

 

『岸辺露伴は動かない 2』は、「望月家のお月見」「月曜日 天気・雨」「D・N・A」「ザ・ラン」の四作からなっている。岸部伴は、「ヘブンズ・ドア」というスタンド能力を持ち、人や生物の情報を本のように読み取ったり、新たに書き込んだりして、その行動に制限や変更を加えることができるのだ。この能力は『デスノート』に登場する死神の目や、デスノートに加えた記述で相手の死の直前の行動を操る能力に似ている。但し、岸辺露伴がヘブンズ・ドアの能力を使うのは、自分や周辺の人間の窮地から救ったり、依頼に応えたりするために限られる。

 

『ジョジョの奇妙な冒険』本編と比べての大きな長所は、超大作であるため複雑に入り組んだ人間関係を理解したり、ときに冗長な流れになることに付き合わないで済むこと。そしてに荒木飛呂彦自身の漫画家としての生活や、意識が多分に反映された作品であるということだ。たとえば、『岸辺露伴は動かない 1』の「富豪村」では、ムカつきながら描いたという女性編集者泉京香が登場する。そしてこんな追記を付け加えている。

 

名誉のために言っておきますが、モデルはぼくのまわりの編集部にはどこにも存在しません。本当です。怖くて言い訳しているのではありません。

 

『岸辺露伴は動かない 2』は、『岸辺露伴は動かない 1』にあった前振りの長さが少なく、どの物語もストレートにスタートする。そして、ゴールへと向けてどんどんと加速して、まっしぐらに進むスリリングな展開が特徴的だ。

 

「望月家のお月見」では、先祖代々全員が「中秋の名月」が命日であるという一家の一夜の物語である。家の主人は、この日の外出を禁じようとするが、予定のある子どもたちはその警告を無視しようとする。だが、小さなな出来事がピタゴラスイッチのような連鎖によって、重大な危機をつくりだす描写に、読者はただごとない雰囲気を感じ取ってしまうのだ。

 

「月曜日 天気・雨」では、駅でスマホを持った人が次々に露伴に向かって突進してくる。ハメルーンの笛吹き的な怖さがある。そしてプラットフォームが近づく。列車が迫り、五体がばらばらに…という『GANTZ』的な展開になるのだろうか。

 

「D・N・A」は、公園で出会った女性の娘の不可解な行動の謎がテーマ。三歳になる娘は、露伴に向かい「はちにんこ」と言った。

 

「ザ・ラン」では、トレーニングの鬼と化した俳優の卵と露伴が、ランニングマシーンで恐るべき競争を繰り広げることになる。

 

いずれの作品も、荒木ワールド全開しながら、短いページ数で、謎を解き明かしながら、エントロピーが最大化するところまで一気にバタフライ効果的な因果律にしたがって突っ走る。ジェットコースター感覚で楽しめる傑作揃いなのである。

 

 

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