つぶやきコミューン

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三部けい『夢で見たあの子のために 1』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略

 

 

『夢で見たあの子のために』は、大ヒット作『僕だけがいない街』の三部けいの新作コミック。両親と兄を惨殺された若者の復讐を描くミステリーサスペンスである。

 

『僕だけがいない街』では、少し前(1988年〜2006年)の北海道が舞台となっていたが、この『夢で見たあの子のために』は、完成形の東京スカイツリーがあることより、現代の(少なくとも2011年以降の)東京、立石周辺が舞台となっている。この第1巻には京成立石駅や、かつての青線の名残りである呑んべ横丁も登場する。とりわけ、川越しにシルエット的に見えるスカイツリーの光景は、美しく印象的だ。

 

[一巻前半のあらすじ]

 

中條千里(なかじょう せんり)は、高校生。13年前の5歳の頃、何者かに両親を殺され、今は祖父母のもとで暮らしている。双子の兄の一登(かずと)はその後行方不明だが、千里は一登が殺されたと確信していた。というのも、殺された兄の一登と彼の間には、他にはないような強い絆があった。

 

双子の俺達は本当に仲が良かった

 

玩具に服 靴 帽子

一緒に行動する事が多かったから

喜怒哀楽まで

あらゆるモノを共有していた

「痛み」や「視覚」まで

 

一方が身体に激しい痛みを感じると

同時にもう一方にも痛みが生じる

 

そしてその直後

痛みの当事者でない側にも

その時何が起きたのか

頭の中で当事者側が見た映像が再生される

 

互いの記憶や、感覚も共有してしまうという特異な能力を二人は持っていたのだ。そして、事件後もしばらくの間伝わって来た一登の記憶や感情が、ある日突然激しい衝撃、痛みとともに消えてしまう。

 

一登の記憶をたよりに犯人探しを行う千里だが、彼の生活は荒んでいた。ホワイトナイトを気取りながら、実はカツアゲの共犯となって、友人より金をせしめる毎日。そんな生活をやめるように忠告する幼なじみの同級生、恵南(えなん)。彼女もまた、家庭での凄惨な事件を経験し、施設に預けられたことがあった。

 

ある日、千里はテレビに放映された映像に、犯人の特徴を見つけ、追い詰めようとするが、逆に彼の身辺で恐ろしい事件が起こり始める…

 

はたして千里は犯人を見つけ、復讐を遂げることができるのか?それとも…

 

『僕だけがいない街』同様、主人公千里の持つ不思議な能力が、事件を解決する手がかりとなる。事件の迷宮は、そのまま心の中の迷宮となる構造も同じだが、手がかりがたった一つの事件の記憶という点では、シンプルであるし、過去に遡って出来事を改変できるわけでもない。立ち上がりから読者を巻き込む緊迫感はさすがだが、どこまで、この構造を複雑にすることができるかが、傑作への鍵となることだろう。

 

関連ページ:

三部けい『僕だけがいない街 9』
三部けい『僕だけがいない街 8』
三部けい『僕だけがいない街 7』
三部けい『僕だけがいない街 6』
三部けい『僕だけがいない街 5』
三部けい『僕だけがいない街 4』
三部けい『僕だけがいない街 3』
三部けい『僕だけがいない街 2』
三部けい『僕だけがいない街 1』

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