つぶやきコミューン

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新川直司『さよなら私のクラマ― 4』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

 

新川直司『さよなら私のクラマ―』は埼玉の高校の女子サッカー部の活躍を描いたコミック。

 

この第4巻では、曽志崎緑周防すみれらの蕨青南高校はインターハイの埼玉予選を勝ち上がり、埼玉の絶対王者浦和邦成高校と決勝リーグの初戦で対決する。浦和邦成には、曽志崎の先輩で、中学時代コンビを組んでいたチカこと桐島千花がいた。浦和邦成への誘いを断って、周防すみれとともに蕨青南を選んだ曽志崎のことを根に持つ桐島は、異様なまでの敵愾心を燃やす。おまけに昨年度、全国の覇者久乃木高校に破れ、自分が足を引っ張ったと考える桐島は、その雪辱を晴らすため、果敢に攻め続け、蕨青南は猛攻にさらされる。。

 

けれども、蕨青南には、恩田希(おんだのぞみ)がいた。前の試合では、興奮のあまり一睡もできずに試合に出場し、ノーマークだった恩田の本来の動きに、浦和邦成の選手たちも翻弄される。流れが蕨青南へと変わり始める。もちろん、手をこまねいて見ている浦和邦成ではなかった。はたして勝敗の行方は?

 

というわけで、この第四巻では、『さよならフットボール』の主人公であった恩田希の活躍巻である。『さよならフットボール』と異なり、『さよなら私のクラマ―』は群像劇で、誰が主人公というのはあまり意味がないが、この巻での恩田は主人公的な活躍を見せる。中学時代、男子チームの中で練習し続けるものの、公式試合には出場できず、弟になりすますしかなかった恩田が、そこで養ったフィジカルの強さを発揮するーーー『さよならフットボール』のファンには、たまらない展開になっている。

 

両チームの接戦を描く新川直司のコマ割りによるドラマトゥルギーも冴えわたっている。複数の選手の顔、目のクローズアップ、足元のクローズアップなどを効果的に組み合わせながら、複数の人間の動きや感情のからみ合いを、瞬間瞬間の中で表現している。

 

とりわけ、キメのシーンでは迫りくるボールや、キックするスパイクがクローズアップされる。

 

けれども、それだけにとどまらない。試合の動きのみで終始することなく、回想シーンが挿入される。桐島千花の場合には、久乃木との試合だが、恩田希の場合も、友情を結んだばかりの久乃木の選手、井藤や佃との別れのシーン。そこで、三つ巴となったチームの間のライバル心と絆を、試合の時間の中で表現するという高度な技術を使われるのである。

 

アスリートは孤独だよ

でもひとりぼっちじゃない

競い合う見方がいて

支え合う敵がいる

日本中に 

世界中に

 

もちろん、勝負の世界は非情だ。勝利の女神が微笑むのは、久乃木との対戦へと勝ち進むのは、蕨青南か、浦和邦成か。選手たちの一挙手一投足から目が離せない。

 Kindle版

 

関連ページ:

新川直司『さよなら私のクラマ―』1〜3

 

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