つぶやきコミューン

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石田衣良『裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパーク将掘

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略

 

 

第13作目となる石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ『裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパーク将 』(文藝春秋)は、「滝野川炎上ドライバー」「上池袋ドラッグマザー」「東池袋スピリチュアル」「裏切りのホワイトカード」の四つのエピソードからなっている。

 

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズで描かれるのは、現代日本社会の縮図だ。問題全体を解決するのは、政治の仕事だが、この国の政治はなはだ心もとなく当てにはならない。解決の困難な様々なケースを、池袋一のトラブルシューターである真島誠とその仲間の力でさまざまな手段を用いて解決して見せる、そこにIWGPシリーズの醍醐味がある。

 

真島誠の仲間で一番有力なのは、キングの異名をとる池袋一帯を支配するカラーギャングGボーイズのトップ、タカシこと安藤崇だ。優れた身体能力とリーダーシップを発揮するタカシは、Gボーイズを、時に情報網として、時に武闘集団として使いながら、八面六臂の活躍を見せる。

 

真島誠の母親の力も無視できない。実家の果物屋の店主であり、誠の雇用主である彼女は、度胸の据わった人情味のある女傑であり、今回も初めの二つのエピソードで大事な役どころを果たす。特に、女子供の相談相手としては最強なのだ。

 

氷高組の若頭サルこと斎藤富士夫。誠が直接かかわることのできないヤバい方面の情報入手や工作の仕事を、貸し借りの関係で、請け負ってくれる。

 

そして、バランスをとるように、真島誠は警察方面にも顔が利く。一人は池袋署生活安全課の刑事吉岡。悪事を暴きたい相手の情報を密かにリークする。そして、もっと大きな山の場合には、池袋署長、礼兄と呼ばれる横山礼一郎警視正が頼りになる。但し、顔が利くのはあくまで池袋という条件つきだ。

 

今はコンピューターの時代、インターネットの時代だ。サイバーな空間の情報や工作に関しては、ゼロワンが一番頼りになる。今回も三番目のケースで大事な役回りを演じる。

 

IWGP二十周年ということもあって、この第13作では、これらのキャラクターが総動員されてストーリーを盛り上げるのである。

 

「滝野川炎上ドライバー」離婚後母親が子供を引き取り週一回の面会日誠の店を訪れる順次の父子。だが、誠は透のある異変に気がつく。いったい誰が?厄介な家庭の問題を誠は解決することができるのか。

 

「上池袋ドラッグマザー」雨に濡れた美少女がいきなり誠が店番する店頭に現れた。中高一貫校の女子高生であるらしい。誠を紹介したのも、誠を慕う同じ高校の生徒会長というからわからない。どうやら彼女の母親がヤバい世界にはまりかけているようだ。そして、彼女の身にも危険が迫りつつあった。

 

「東池袋スピリチュアル」ゼロワンからの突然の依頼は、謎めいた夢の正体を知るために、関連のありそうな三件の霊能関係の人物や会社を調べてほしいというものだ。はたして、その中に本物はいるのか。ついにIWGPもホラーの世界に足を踏み入れてしまうのか。

 

「裏切りのホワイトカード」日当10万円という高額報酬で、池袋一帯で三千人規模のアルバイトの募集が、闇の掲示板で行われていた。タカシ率いるGボーイズも、それに手を出すべきかどうか、迷っていた。余りに情報が不足していたのだ。他方、巨大企業からも誠に接触がある。その掲示板の運営に会社の御曹司が関わっていたというのである。二つの相談を引き受ける中で、誠が打った手は?

 

身近な小さな事件から、ついには社会全体を騒がせる大きな事件へ。後半ほど盛り上がるIWGP第13作は、とりわけクライマックスの「裏切りのホワイトカード」で最高潮に達する。ことIWGPシリーズに関する限り、石田衣良は今も絶好調だ。

 

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