JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略
甲斐谷忍『無敵の人』は、感情を失った少年「M」こと邑田瑞樹が麻雀界でその無敵伝説を続ける麻雀コミック。
ネット麻雀「雀仙」の最高段位「雀仙位」8人によるトーナメントでMの前に立ちはだかるのは、Aブロックでは「GTB」、Bブロック出場者の中では「トーカン」こと藤岡環。
かつてGTBが別の名前で雀仙に出ていたことに気づき、GTBの「癖(へき)」を見抜き優位に立ったMだが、脳科学を駆使し、相手の無意識の反応から持ち牌を見抜くというトーカンと比べると、驚異的な暗記力で相手の捨て牌から手の内を見抜くというMのやり方は、早い勝負になった場合、不利は免れなかった。
GTBとの対決によってMの支持率は一気に跳ね上がるが、前門の虎のGTBだけでなく、後門の狼のトーカンを斥け、トーナメントに優勝しない限り、Mは雀仙で麻雀をできなくなり、Mの唯一の友人園川順平も会社をクビになるとトーナメントを主催する「ブイライン」社長の北条は当初の条件にこだわり続ける。
一計を案じてトーカンのデータを取ろうとする順平だが、果たしてうまくゆくか。
そして、ついに最強を決める日がやってきた。最後に勝ち残るのは?
GTBとの対戦の後、そのブログへの書き込みからこのブログの主に会いたいと思ったMの真意とは?
失われたMの心を取り戻すためのMと順平の戦いは続く。前半のような汚いやり方の敵との戦いではなく、真の実力勝負の戦いに火花が散る。すでに、作者甲斐谷忍によって4巻で終了することが予告されており、密度の濃い短期決戦型コミックは、いよいよクライマックスに達するのである。
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