つぶやきコミューン

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羽海野チカ『3月のライオン 12』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

 

いよいよ2016年10月8日よりはテレビアニメ放映もスタートし、さらに実写映画も公開される羽海野チカ『3月のライオン』。それは、交通事故で家族も居場所も失った少年棋士桐山零の戦いと交流の物語である。

 

桐山零の零は文字通りに何にもない存在を意味する。自分に残された唯一の世界で、棋士として勝って、勝って、勝ち抜くことで、そこに自分の居場所をつくりあげようとする。けれども、戦いのみによって、家族を失った零の心は癒されることがない。

 

その傷を癒してくれるのが、東京は海辺の下町、三月町の川本家の三姉妹、あかりひなたモモだった。川本姉妹も、父親が外に愛人をつくり家出して、子どもさえいることがわかる。それぞれに壊れた二つの家族が寄り添って生きるときに、奇跡のような物語が立ち上がるのである。

 

だが、そうした零と川本姉妹の関係性は、極めてこわれやすい基盤の上に成り立っている。というのも、幼いモモに、零と同じ高校生のひなた、銀座のバーで働いているひなたとあまりに齢の離れすぎているのである。零は、あかりたちの実の父親の前で、ひなたと婚約しているとさえ口にした。周囲からは笑ってスルーされた話だが、零は本気だった。しかし、零とひなたが結ばれると、あかりは幼いモモを抱え後に取り残されてしまう。

 

12巻の冒頭は、何とかあかりの相手を探さねばと、将棋界や学校の知り合いの男性をリストアップし、桐山零が頭を悩ませるシーンより始まる。零にはよくある脳内暴走とも思われるが、周囲には零の担任の林田先生を始めとして、あかりに熱い視線を向ける男性たちが数多くいるのであった。藤本雷堂棋竜もその一人、とはいえ、キャバ嬢と妻子の挟撃に遭ってあえなく脱落してしまう。

 

父親との軋轢の悪夢から、あかりたちを解放すべく、藤本棋竜と土橋九段の対局で赴いた指宿へ川本姉妹を同伴した零。どうにも負けられない棋竜の穴熊に対して、土橋も悠然と穴熊で返し、勝負はいよいよわからなくなった。

 

出だし雷堂棋竜の作戦何度か上手くかわされてしまったようなシーンはありましたが

先手後手ともにしっかりと組み上がってここからが本番といったところでしょうか

 

とマイクをとって、しれっと解説する零の姿に、あかりとひなたは驚く。

 

ーレイちゃん仕事してる…

ーそうね

ー大人に見える‼私と同じ高校生なのにっっ

 

二人は零が仕事をするのを見るのは初めてだったのだ。そして、東京へと帰った零を待っているのは、生けるホラー滑川七段との対局だった。まんまとその作戦にひっかかって、ヒートアップしすぎる零。千日手に誘ったり、勝勢と錯覚させミスを狙ったり、二重三重に罠が仕掛けられる。零はこのピンチを脱することができるのか。

 

戦いの後には、三月町の夏祭り。川本家は、屋台で白玉とゼリーを出そうとするが、去年以上に忙しくなりそうだった。零だけでなく、モモのお守り用に二海堂晴信の手助けを借りるが、二海堂が他の棋士にまで誘いをかけたことで、思わぬ大所帯に膨れ上がる。

あかりに接近するのは一体?

 

そんなわけで、桐山零の棋盤上の戦いと、川本家の交流の二つの流れは、しだいに一つに溶けあい始めている。姉妹三人がそろったこの幸せな世界が、まもなく壊れるものなのか、それとまだ当分続くのかは、まだわからない。

 

PS『3月のライオン 12』特装版は、西尾維新の<物語>シリーズとのコラボで、『月物語 第交話 つばさライオン』とのセット販売。詳しくはこちらをご覧ください。

 

関連ページ:

西尾維新『月物語 第交話 つばさライオン』

羽海野チカ『3月のライオン 11』 
羽海野チカ『3月のライオン 9』

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