つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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甲斐谷忍『無敵の人 2』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

 Kindle版

 

甲斐谷忍『無敵の人』は、引きこもりの天才麻雀少年邑田瑞樹(むらたみずき)の無敵の活躍ぶりを、友人としてサポートしながら、瑞樹が人間らしい感情を取り戻す手助けをする園川順平の視点から描いた麻雀漫画。いかにして、様々な策略をめぐらせたり、特殊能力を持ったりする強敵を瑞樹が打ち砕くか、そしていかにして彼が失った感情を取り戻すかという二重のテーマを持っている。

 

オンライン麻雀界で無敵を誇るMこと瑞樹は、三人が結託してイカサマを行うことで、一人瑞樹を負けさせようとする策略を打ち砕く。彼らの策略がうまくゆかないことは最初から明らかだったと瑞樹は語る。誰か一人が沈むことで他の2人を勝たせることは可能だったにもかかわらず、誰も何十万人もの前で恥をかきたくなかったので、負けるしかなかったのだと。

 

他方、ブイラインの正社員になった順平。社長の北条からは唯一瑞樹に勝ち越している男トーカンこと藤岡環との戦いに瑞樹を駆り出すようにと言われる。しかし、瑞樹の才能を本物と見抜きながらも、トーカンはそれを了承しない。というのも、彼は大学医学部に籍を置く脳科学者であり、麻雀は自分の研究をアピールする手段と割り切っていたが、瑞樹の不敗伝説がイカサマであるという意見が7割以上を占める現時点では、自分に対戦のメリットはないと考えたのだった。

 

何とか瑞樹が本物であることを世に示したい順平、トーカンが瑞樹との対戦のために提示した条件は、歴代の雀仙を集めたトーナメントを行うことだった。そこで、瑞樹が勝ち抜くことができれば最後にトーカンと対決できるだろうと。瑞樹の最初の刺客となったGTBは初代の雀仙で、瑞樹が唯一癖(へき)を読めない男だった。というのも、彼は瑞樹が登場する以前に頂点を極め、消えていたからだった。他方、GTBは彼の手の内を知り尽くしている。大きなハンディを抱えて、不利な戦いを強いられる瑞樹だが。GTBのある秘密に気がついたのだった…

 

麻雀の世界も、最初の方に出てくる敵は、感情がむき出しの粗野な性格で、勝つために手段を選ばぬなど、人間性も下品で小物感が漂う。しかし、トーカンのような,すでに世間でしかるべき立場を占めていて、品位と礼節と知性を兼ね備えた人間が出てくると、真の強敵の出現の感が強く、対決の大きな盛り上がりが期待される。

 

いよいよ、佳境にさしかかる『無敵の人』だが、瑞樹は前門の虎のGTBを撃破することができるだろうか。

 

関連ページ:

甲斐谷忍『無敵の人1』

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