つぶやきコミューン

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勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略 ver.1.01


人はかつてほどーたとえばバブルの時ほど―モノは買わなくなった。とは言え、やはり多すぎるモノは私たちの居住空間にとどまり続け、いつしか生活を圧迫し、仕事をスムーズに進まなくさせる元凶である。特に、他人を家の中へあげたりしにくくなり、それが対人関係全般に響いてしまう。つねに生活や仕事、対人関係をアクティブに保つには、家をすっきりとキレイに片づいた状態にしておくことが必要不可欠なのである。体重のコントロールを指標とし健康でスタイリッシュなボディを維持する身体のダイエットと並んで、モノのダイエットである部屋の片づけは、現代人のリテラシーの一つとなりつつある。

勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』(文藝春秋)は、そうしたニーズに応えた一冊だ。本文中でも言及されている近藤麻理恵の『人生がときめく片づけの魔法』のやましたひでこの『断捨離』など、部屋の片づけや整理についての本は多いが、本書の特徴は大きくわけて三つある。

1)一般論ではなく、著者の個人的な経験に基づいていること(私小説性)
2)法則の認識と方法に関して、ロジカルに話が進められ、概念化と定式化が明確である(論理性)
3)20世紀までの標準的な家庭のイメージではなく、21世紀の最先端の技術まで視野に入れた片付け本であること(未来性)

順に説明してゆこう。
1)一般論ではなく、著者の個人的な経験に基づいていること(私小説性)
片付けの大家というのは、どうしても格好をつけたくなるので、自分個人の恥部の公開は最小にとどめ、一般論へと走りがちである。えらくなるとAさん、Bさん、Cさんと知り合いや弟子の話を例としてあげる場合が多い。しかし、読者にとってはそうした第三者の用例は顔も見えず、興味が高まることもない。しかし、本書では一切他人の例はなく、著者本人の経験に基づいている。したがって、すべてが身近な例として感じられるし、片付け自体が必要もない人でも、ハッピーエンディングな私小説として楽しむことができるのである。

2)法則の認識と方法に関して、ロジカルに話が進められ、概念化と定式化が明確である(論理性)
とは言え、本文そのものは一つの感情に訴える物語ではなく、いくつもの概念やルール化の力によって、進んでゆく。そうして試験的に導入し、検証に耐えたもののみが残ってゆくのである。

たとえば「収納破産ポイント」という言葉がある。
 
収納は、本来7〜8割に抑えておかないと、ものが出せなくなるのですが、それが105%から110パーセントほどになった瞬間に、収納の役割を果たさなくなり、完全に「収納破産」します。
「収納破産ポイント」を超えると、家は、加速度的に汚くなっていきます。

このキーワードは誰もが経験しながら、ちょうどよい言葉を見つけることができなかった空白地帯の秀逸なネーミングである。

そうした傾向をさけるための日常的な方法として、フィットネス器具の無限増殖のような「ものぐさコスト」を支払わない、一気にまとめて一括処理する「パッチ処理」ではなく「逐次処理」を導入する、サンクコスト(埋没コスト)に縛られないといった原則が導き出されるのである。

本書にまとめられた方法は、論理的な因果関係の分析から引き出されたものである。したがって、全体を揃えなくても、読者の置かれた状況にしたがって、分割しながら導入することが可能である。

部屋の片づけは大きく分けて二つの方法がある。引っ越しながら片付ける方法と引っ越さないで片付ける方法である。著者の場合、引っ越すとなると駐車場がルーズに転用できる現在のマンション並に自転車やバイクを置くことができるマンションが見つかりそうにないので、引っ越さないで片付けるやり方しかなかった。そして、その片付けは三つのStepに分解できる。
 
Step1 バスルーム&洗面所・玄関・寝室・キッチン
Step2 クローゼット・デスク周り(書類)・居間
Step3 物置

このうちの最も時間がかかるのが第三のステップであり、それぞれの項目ごとに指標となる片付けの具体的方針に落とし込んでゆく。衣類は、靴は、食器は、文房具は何を残し、何を処分すべきなのか。なぜそうすべきなのか明示されている。

そうしていったんモノを減らした後は、モノのIn とOutだけを管理することで、リバウンドを防ぐことができるのだ。
 
ものの収支は、絶対にプラスにしてはいけません。常に、マイナスか、フラットにすべきです。

「急性期対策」として、まず不用品を一日数時間断捨離する必要があるが、その後はこの仕組みを維持するだけで十分なのだ。

3)20世紀までの標準的な家庭のイメージではなく、21世紀の最先端の技術まで視野に入れた片付け本であること(未来性)
他の片付け本の多くは、家電の三種の神器であるテレビ、冷蔵庫、洗濯機といったもの止まりで、せいぜいパソコンが家電にあるにすぎない。藤子不二雄の『ドラえもん』に見られるような20世紀の家庭のイメージをベースにした片付けなのだ。だが、この本ではすでにドラえもんが未来から持ち込んだ道具が実用化され、家事の主役として登場する。勝間和代は、無類の新しいもの好きとして知られ、これまで気になる新しいガジェットが出たらすぐ購入し、テストしてきた。それゆえ、その成果がふんだんに活かされた本書は、住まいを21世紀に合わせてアップデートさせる方法でもあるだろう。

勝間邸で多くの雑用を並行処理する必要がある家事を効率的に処理するために活躍しているのが、AI付の家電である。
 
 実際、私が、なぜ家事の逐次処理をマルチタスクできるのかといえば、うちの家事の大半をAIつきの電化製品が担ってくれているからです。
たとえば、
・掃除は、ルンバとブラーバ
・選択は、ミーレで、洗うのも乾燥するのも、コンピュータ制御
・調理は、ヘルシオかビストロか、マイコン電気鍋
・皿洗いは、パナソニックの食洗機

といった具合です。

ルンバは知っていたが、ブラーバは知らなかった。しかし、話を読むなりこれは使えると思った。
 
 ブラーバは、同じくアイロボット社から出ている床拭きロボットで、平たくいうと、雑巾がけをしてくれるルンバです。フローリングの場合は、ブラーバが最強です。
 どこがすごいかというと、
 ・圧倒的にうるさくない(ブラシが回転しないから)
 ・電池が持つので、何時間でも掃除してくれる
 ・水拭きができる

 ということです。

雑巾がけロボットなんて、まるでドラえもんのポケットからでてきたアイテムみたいではないか。新旧交代の意味からも、家の中のモノを見直すべき時代が来ているのかもしれない。

どこかしらスピリチュアルで、魔法じみた世界に入った片付け本の世界だが、この一冊でかなり科学に近い世界へと引き戻されたようである。本来物事が時間とともに無秩序へと近づくのは自然界の法則である。この無秩序量をエントロピーと呼び、エントロピーの法則は、熱力学の第二法則として、定式化されている。しかし、エントロピーを逆転させるものが世界には存在する。生命活動がそれである。生物の活動、生命活動は、エントロピーを逆転させるネガエントロピーであり、世界の混沌を再秩序化することが可能である。そのような生命の営為の延長に、私たちの住む活動も属している。したがって、断捨離を経ることによって、単に自宅での衣食住が効率的で快適に送ることができるだけでなく、仕事や対人関係全般がスムーズに進むようになるのは当然だろう。

最終的には、どの本を参照しようと、片付けの主体は自分であり、やるかやらないかしかない。しかし、片付け本が毎度売れるのは、引っ越しを余儀なくされる場合を除いて、人はなかなか自分からは片付けに着手できないためである。それゆえ、話題の本は他律的なスタート地点になる。しかし、勝間和代のように、ツイッターやブログなど、ソーシャルでつながれる著者の場合には、一層のインセンティブがはたらき、成功する確率も高まる。というのも、「断捨離は伝染する」からである。この本を通じて、著者や他の読者にソーシャルにつながることで新たな知恵や情報、適切なアドバイスも得られ、それが成功の確率を高めることになるだろう。

PS Kindle版は800円と紙の本よりも安く、紙のように品切れで待たされることもないのでお勧めです。



映像による解説もあります。
勝間和代 汚部屋ビフォーアフター、断捨離で人生が変わる

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