松井優征『暗殺教室 17』
Kindle版
松井優征『暗殺教室』も、いよいよ生徒たちの3年E組の卒業=エンディングが近づいてきました。連載の進行度からすると18巻では終わりそうもないですが、19ないし20巻で終わることはほぼ確定事項でしょう。17巻のカバーでも、作者はこう書いています。
15巻から最終巻までは、もう一週単位で何をやるかが決まっており、プロットに箇条書きされたものを毎週ネームに起こす事の繰り返しです。
16巻では、殺せんせー自らの口から、かつて殺せんせーが「死神」と呼ばれる無敵の殺し屋だったこと。しかし、愛弟子の裏切りに遭い、人体実験の材料とされ、超生物へと変化したこと。そこで出会った椚ヶ丘学園の3年E組の担任であった茅野カエデの姉雪村あぐりと心を通わせ、研究所との戦いの中で死んだ彼女との約束を守るために3年E組の教壇に立ったことなど、秘密の一切が明かされました。
先生の教師としての師は
誰であろう雪村先生です
目の前の人をちゃんと見て
対等な人間として尊敬し
一部分の弱さだけで人を判断しない
彼女から…
そういう教師の基礎を学びました
先生はそれに自らの知識を足して…
皆さんと向き合う準備をしました
自分の能力の限りを尽くし
君達に最高の成長を
プレゼントをする
そのためには
どんなやり方がベストなのか?
考えて考えて辿り着いたのが
先生自身の
残された命を使った
暗殺教室です
(『暗殺教室 16』pp152-153)
衝撃の事実を知った3年E組の生徒たちは、岐路に立たされます。
殺せんせーを救う道を選ぶべきか、それとも今まで通り殺せんせーを殺す道を選ぶのか。
殺せんせーを救う道を選ぼうという意見の持ち主は 潮田渚を中心に青組に集まり、殺せんせーを殺す道を選ぼうという意見の持ち主は、赤羽業(カルマ)中心に赤組に集まり、安全なペイントを使った暗殺バトルで決着をつけることになるのでした。
強い者が最後まで残るとは限りません。なまじ力があると知られたばかりに敵チームにマークされ、早々に姿を消す生徒たち。
一人、また一人と消えてゆく中で、最後に残る者は誰か?
3年E組の選択は?
赤組、青組合わせて27人の一人ずつの得意技や性格のプロファイリングを行いながら、一人ずつスポットを当ててゆくのは、並の漫画家にはできない離れ業です。全員野球を絵にしたようなバトルと生徒の成長ぶりに思わず胸が熱くなります。
逆説的に理想の教師像を描いた『暗殺教室』の本来の魅力が一段と輝く17巻なのです。
関連ページ:
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