つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
@kamiyamasahiko
MOBILE
qrcode
PROFILE
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
二ノ宮知子『七つ屋しのぶの宝石匣 2』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本   文中敬称略



二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣』は、色々な面を持ったコミックである。主人公で質屋の娘倉田しのぶが宝石の気を見抜き、その宝石の因縁の良しあしを見抜くという意味では、それはオカルトである。そして、それぞれの物語ごとに宝石にちなんだ謎、因縁が解き明かされるという意味ではミステリーである。そして、このしのぶの不思議な能力を評価し活用しようとする宝石デザイナー鷹臣に対し、それをなるべく秘めたままにしておこうとする志のぶのいいなづけ北上顕正の三者関係を描くという意味ではラブコメである。さらに、宝石の受け渡しや売買をめぐって倉田家のみならず複数の家族の内部の事情が浮かび上がり、ドラマが生まれるという意味では家族の物語であるとも言える。多面的な要素が複雑に絡み合い、人間模様のタペストリーを紡ぎ出すのが、この作品の魅力なのである。

『七つ屋志のぶの宝石匣 2』では、大まかにわけて四つの物語からなっている。一つは有馬家の宝石をめぐる物語。長女の富子より不運続きの有馬家の宝石を任された顕正だが、その真珠を志のぶは売らない方がいいと言う。顕正は密かに赤い宝石を追っていた。有馬家に伝わる幸運の赤いルビーは、家出した長男の一征が持っているらしい。実は、一征はかつて鷹臣のスヌーカー仲間だったのだ。おりしも鷹臣のもとを一臣が訪れ、スヌーカー勝負となる。勝敗の行方は?そして、有馬家の宝石の運命は?

第二の物語は、浜口マリカが持ち込んだアクアマリンの指輪。志のぶが買い取りたいというが、彼女はかたくなに拒絶する。実は彼女は顕正の同級生だった。離婚寸前の夫とのいきさつを聞いた志のぶは、顕正に色目を使う彼女の本音を知り、一計を案じるのだった。

第三の物語は、平場で志のぶが出会った同業者の男金井の話。その信長的なビジュアルと根付愛好者としての共通点に惹かれた志のぶだったが、客の依頼で質流れした同じエメラルドを争うことになる。果たして、石の行方は?

第四の物語は、伊崎家の信子おばあちゃんが残した宝石をめぐる争いである。彼女は、長女の愛子には赤いトルマリン、次女のつぐ美にはバイカラ―のトルマリン、そして長男の智之の嫁である明子にはバライバトルマリンを遺言で残したのであった。しかし、明子のトルマリンだけが大きくて高価であることから、そこで宝石をめぐる争いが勃発。初めからこうなることが見えていたのにわざわざ宝石を残した信子の真意を志のぶは知ろうとする。

一体どのような特殊能力なのか?二ノ宮知子は、質屋の物件をめぐる騒動とそれにまつわる人々の心の綾を、次々に紡いでゆく。2001年に編集者に新しい連載を聞かれ、「質屋のはなし」と「音大のはなし」の二つを候補に挙げ、音大のはなしを担当が選んだために、それが『のだめカンタービレ』となった。15年ぶりにようやく実現した連載だけに、とにかく気合の入った力作である。

関連ページ:
二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣 1』 
二ノ宮知子『87CLOCKERS 7』
二ノ宮知子『87CLOCKERS 5』
二ノ宮知子『87CLOCKERS 3』

コメント
コメントする









 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://mkamiya.jugem.jp/trackback/526
 

(C) 2017 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.