つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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鈴木みそ『ナナのリテラシー 1』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本    文中敬称略


                               Kindle版

KDP(Kindle Direct Publishing)の世界に先鞭をつけ、2013年だけで1000万円の利益(売上ではない)を上げた、漫画家鈴木みそ。この春3巻が出て、完結したばかりの『ナナのリテラシー』(KADOKAWA)は、そこでつかんだ電子書籍の作り方、売り方のノウハウを盛り込んだ、ストーリー漫画にまとめた話題作である。

【前半のあらすじ】
許斐七海(このみななみ)は、私立の中高一貫校暁学園に通う女子高生。新宿にある企業を職場体験で訪れるが、そこで目にしたのは全裸で床に横たわる中年男の姿。この男こそ、コンサル会社「プロテクト」代表取締役、山田仁五郎だった。もとは職場体験に薬局を希望していた七海だったが、PC部顧問立花大輔の勧めにしたがい「世にも珍しいろくでなしの天才」仁五郎の元を訪れたのだった。

ふだんはだらしなくぐでたまやたれぱんだのように伸び切った仁五郎だが、いったん頭のスイッチが入り再起動し始めると豹変。颯爽とクライアントの前に現れ、オーバーなジェスチャーとともにまことしやかにプレゼンを始める。この男は本物の天才なのか、それともいかがわしい詐欺師なのか。

不審な目で仁五郎を見る七海だったが、学校では並ぶもののない才能の持ち主と言われ、のんだくれた自分の姿を見ても動じない七海の能力と冷静な判断力に目をつけた仁五郎は、持ち込まれた二つの案件の解決策を彼女に出すよう求めるのだった。

一つは、電子書籍の一縷の望みを託する右肩下がりの出版社永正社の救済であり、もう一つはやはり時代から遅れ、発行部数が伸び悩む漫画家鈴木みそ吉の再起への道を示すことである。

出版社の売り上げは1996年に最高の2兆6500億円を記録したのをピークに、以後十数年下がりっぱなしで、豆腐業界にも追い抜かれるレベル。電子書籍は最初の七年間は右肩上がりであったものの、その後は頭打ちで、売上の中心もエロ漫画。毎年7、8%売り上げが落ちている出版業界を、全体の4%しかない電子書籍でカバーするなど、土台無理な相談と断じながらも、その解決策を出すよう仁五郎は七海に求めるのだった。

さらに、駅前の飲み屋でいるみそ吉をつかまえた仁五郎は、七海のアシストを得ながら、言葉巧みに話しかけ、自作の電子書籍により一山当てる話を持ちかける。

上位100人くらいが大儲けし、中堅作家はそこから弾かれ、貧富が二極化する漫画家の世界をみそ吉ともども分析する中で、仁五郎は出版社の庇護の元から抜け出し、広い世界へと飛び出すことを提案する。

食指は動くものの、データを自分で作るという技術的な壁と出版社から自作の権利を取り戻す権利の壁の前に尻込みするみそ吉の尻を叩きながら、そのサポートを七海に命じる仁五郎だった。

果たして、七海は出版社を苦境から救い、落ち目の漫画家を電子書籍化によって復活させることができるのか?

『ナナのリテラシー』は、自らの実体験をベースに、それまでの自分をビジュアルも作品名も名前まで酷似した鈴木みそ吉という漫画家へと、そして新しく切り拓いた知恵を仁五郎と七海に二分化させながら、両者の対話の中で、電子書籍で作家が稼ぐ方法を、提示するという仕掛けになっているのである。

『ナナのリテラシー』は第一巻を読むだけで、出版社の置かれた厳しい状況も、そして漫画家が個人で電子書籍を出す上でぶつかる技術的、権利的な壁に関しても大体つかむことができる。

まず原稿を既定の大きさのJPEGにそろえます。

大きさに決まりはないみたいですが
縦1200ピクセル横800ピクセル
前後とネットユーザーは言っています


あるいは

原稿は「page001」から連番で保存
表紙は「cover.jpg」
まとめて「images」フォルダにいれます

といった原稿の作り方や、電書の基本フォーマットであるe-Pubに作り方など、漫画以外で、自作の電書化を考えている著者にとっても、重要な情報が集約されている。

ツンデレ系のクールな女子高生が水先案内を務める『ナナのリテラシー』は萌えと実益を両立させたいオタクを自認する方々にも勧めたい傑作漫画である。

関連リンク:
ASCII.jp:セルフパブリッシングの未来(2)アマゾンで年間利益1000万円の衝撃――鈴木みそさんの場合 

鈴木みそオフィシャルブログ:CHINGE
『ナナのリテラシー』は何冊売れて、いくら稼げたのかまで、重要な情報てんこ盛りのブログ。『ナナのリテラシー』でも、その位置づけや重要性が語られている。

PS こちらは活字だけで同じノウハウをまとめた本。情報だけあればよいという人に


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