つぶやきコミューン

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谷本真由美×ポール・ロブソン『添削!日本人英語』
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英語を話せてもバカはバカ、英語を教えても素人は素人

英語の専門家に関しては、多くの迷信がある。英語の日常会話をこなすだけでなく、どんな類の英文も読み書きが自在にできるスーパーマンのような能力を求めてしまうのだ。しかし、予備校や塾、中学・高校の英語教師、英文学や英語学を教える大学の教官に至るまで、そのようなオールマイティな能力を持った人は、皆無ではないにしても、ほんの一握りにすぎない。

英語のネイティブに関しても同様である。しかし、留学生のアルバイトに毛の生えたレベルの街中の英会話学校の教師に、まともな英語の文章が書けるだろうか、英米の文化に関するまっとうな教養や知識を彼らは持っているだろうか。

私たちは日本語ネイティブであるが、では会社の契約に関する文章が書けるか、科学論文が書けるかというとまるでそんなことはない。専門以外の文章は日本語でも書けないのだ。

どんな言語であろうと、餅は餅屋である。だが、こと外国語、とりわけ英語となると、英語に堪能だの、流ちょうな英語を話すだのの言葉が、オールマイティなオーラを放ってしまう。

しかし、英語を教えていても、英語を話せてもバカはバカであり、素人は素人である。

素人にプロの文章が書けるわけはないし、自国であれ他国であれ、文化を日本語で語れない人間に英語で文化が語れるわけがない。流ちょうな英語を話すバカがプロフェッショナルな英文を書けるわけがないのだ。

しかし、いったん英語が母国語として、あるいは最大の共通語として話される国に居住し、働き、生計を営むようになれば、あるいは国内であっても常時英語でのコミュニケーションが求められるな職場で働くようになったなら、そんなことは言ってはいられない。とりあえず、見よう見まねで英文を読み書きしてゆかねばならない。この見よう見まねということが大事なのだ。間違っても、自分が今まで身につけた英語を総動員して四苦八苦して日本語を忠実に英語に移し替える努力などしてはいけないのである。その多くは日本人的、日本語的発想に基づいた英語の知識であり、シェイクスピア時代のイギリス英語と、明治以降文明開化と西洋化の歴史の中で発展してきた英語の和訳術と、日本独自の大衆文化である受験英語の例文と、ビートルズの歌詞と、ハリウッド映画やオバマの演説などの現代アメリカ英語といった古今東西のカルチャーとサブカルチャーが混然一体となって入り混じった、キマイラのような英語もどきなのである。

なまじ学校の英語の成績がよかったりして、英語圏での実務を一切積むことなしに、そのまま大学、大学院まで進み、自信をつけると、今度は持ち前の才能と努力を発揮して、ぐるぐるととぐろを巻いたアンモナイトのように複雑怪奇な日本人英語を量産し、企業や官庁のホームページを通じて害毒をまき散らすことになる。さすが、**大を出た秀才、難しい単語と複雑な構文を駆使して立派な英文を書くことだなあ、到底我々の理解の及ぶ代物ではないと、巷の人が感心して眺め、決して読み通すことのない英文の正体とはそのようなものである。

めいろまこと谷本真由美氏と、その家人であり、ロンドン大学で教鞭をとるポール・ロブソン氏の『添削!日本人英語 世界で通用する英文スタイルへ』(朝日出版社)は、アンモナイトのような日本人的英語から脱却し、プロとして仕事で通用する英文を書くための唯一無二の入門書である。

もちろん、実用英文の書き方のような本は、これまで多く出版されてきた。しかし、それらの大半は英語での実務を経ることのない英語の専門家であるアカデミックな人の手によるもので、古びた情報をベースに、挨拶や決まり文句のフォーマットを集めただけで、当たり障りのない入り口付近をうろうろしているものばかりであった。本当のビジネスの修羅場を知らない人たちによる、ディープなコミュニケーションにまで踏み込むことのない、お花畑の実用英語本だったのである。

『添削!日本人英語』は、単なる表現集ではない。従来の英文作成の発想を根底から覆し、これまで権威あるものとして通用してきた日本人の手による英文のサンプルを、徹底的に書き換える中で、私たち日本人が書く英文の共通の欠点に気づかせ、そのソリューションを示してくれる画期的な本なのである。

『添削!日本人英語』こそ、グローバルを謳う官庁や企業がスタッフ一人一冊、予算を使ってでも買い与えるべき本である。これ以上、クールジャパンだのスーパーグローバル大学だの、奇妙きてれつな英語で世界に恥をさらし、国益やビジネスチャンスを損なわないためには、安い投資ではなかろうか。特に、文科省と外務省は必読である。
PART2へ続く)

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