つぶやきコミューン

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荒川弘×田中芳樹『アルスラーン戦記 3』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略


            Kindle版

[肝心な部分は秘めているものの、物語の流れに関しては、紹介上不可避と考えたため、かなりのネタバレを含んでいます。ご注意ください]

 
荒川弘漫画、田中芳樹原作『アルスラーン戦記 3』(講談社)では、故郷を奪われ、放浪の身となった王子アルスラーンが、反撃に出ます。味方となるのは、かつての万騎隊長ダリューン、天才軍師ナルサスと、その従者の少年エラムのみ。わずか4人の軍勢に、裏切者であるカーラーンの追手が迫ります。

そこでアルスラーンの仲間として加わるのが、女性ながらに弓矢の技術に長けたファランギーヌと、放浪の吟遊詩人ギーヴ。ミスラの神殿の女神官であるファランギーヌはともかく、ギーヴの方はルシタニアに対する敵意こそあるものの、心の中に一物を抱えた油断ならない人物なのですが、彼らの加勢によって、アルスラーンたちは源義経を思わせる、奇想天外な戦術によってカーラーンの軍勢を蹴散らすのでした。

さらに、首都エクバターナに潜入したダリューンとナルサスは、カーラーンを陰で操って来た謎の男、銀仮面卿と遭遇。ついにその仮面の下に秘めた素顔と正体が明かされます。

囚われの身となった国王アンドラゴラス、ルシタニア国王、イノケンティス七世との結婚を迫られる王妃タハミーネの運命は?

両親の置かれた境遇を知ったアルスラーンは、首都奪還のため何とか軍勢を増やせないかと焦るのですが、そんなアルスラーンをナルサスはこう諭します。

王位の正統は
血にはよらず
政事の正しさによってのみ
保証されるのですから

容赦ない身分制度を敷いたかつてのパルスでも、神の元での平等は名ばかりで、容赦ない身分制度と文化の破壊を続けるルシタニアとも違った国のあり方をアルスラーンに求めるのでした。

一人また一人と軍勢が増加し、理想の政治を目指しながら、小が大を倒すという歴史絵巻の王道的な展開に、荒川弘のタッチが冴えわたります。

『アルスラーン戦記』は王家復興と理想の国家づくりという鉄板の物語と、今や手塚治虫や横山光輝の域に迫る完成された絵作りで、大家の風格さえ見せる荒川弘の傑作中の傑作と言っても過言ではないでしょう。

荒川弘(あらかわ ひろむ)
荒川弘・田中芳樹『アルスラーン戦記 2』
荒川弘・田中芳樹『アルスラーン戦記 1』
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