つぶやきコミューン

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阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略



少年たちはヒーローに憧れる。しかし、大人になった時、ヒーローになれる人間はほんのわずかである。阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』(文藝春秋)は、ヒーローになれないままに成人となり、借金でにっちもさっちもいかない状態にまで追い込まれたかつての少年たちが、大きな陰謀の中に巻き込まれ、敵に立ち向かう中で、ヒーローになり、世界を救う話である。

   【前半までのあらすじ】

少年野球の仲間であった相葉時之と井ノ原悠に とって、かつてのヒーローは連隊物の「鳴神戦隊サンダーボルト」だった。しかし、そのフィナーレを飾るべき劇場版の封切り直前に、映画はレッド役の俳優赤木駿の不祥事によって、公開中止になってしまう。宙ぶらりんのなったままのその物語には一体何が隠されていたのだろうか。

桃沢瞳
は父親が謎の死を遂げ、その真相を探ろうとしていた。蔵王の御釜で発見された連鎖球菌による村上病の脅威はかつて大きなパニックを日本中に引き起こし、その後ワクチンが発見され終息したものの、今は立ち入り禁止となっていた。調べるうちに、東京大空襲の夜、B29三機の謎の墜落事件がその周辺であったことを知る。乗組員は全員死亡。一体、何があったのか?


サンダーボルトという名前にからむもう一つの物語は、マイケル・チミノ監督映画の『サンダーボルト』であった。その中でクリント・イーストウッドとジェフ・ブリッジス扮する主人公たちが乗り回すトランザムという車の購入と後輩の女の子のAVがらみのトラブルのせいで、相葉は大きな借金を負い、実家の雑貨店がまさに取り潰されようとする窮地より脱するために、相場は水の詐欺的なビジネスをはたらく男をやりこめようと一計を図る。ところが、商談現場のホテルで、部屋の取り違えが起きたせいで、とんでもないトラブルに相場は巻き込まれてしまう。その相手は、人を殺すことに何のためらいも感じず、新旧の兵器を自在に操る銀髪の巨漢であった。間一髪、難を逃れた相葉だが、大きな儲けにつながりそうな情報を秘めたスマートフォンを手にしたため、相手に居所をつかまれてしまう。山形から仙台へと移動する中、相場はかつて少年野球の仲間であった井ノ原に協力を求め、どうやら蔵王の御釜にその謎が秘められていることをつきとめるが、恐るべき追手はすぐそこまで迫っていた。彼らに生命の危機が迫る。


一体スマートフォンの中には何が秘められているのか?村上病との関係は?映画公開中止の真相は?そしてB29墜落の謎とどのような関係があるのか?


やがて、情報を求めるうちに、相葉と井ノ原は、父の死因を追い続ける桃沢さらにはかつてのヒーローレッドとも力を合わせ、強大な悪と世界を危機に陥れる陰謀に立ち向かうことになる。


読み出したら止まらない、思わず血を熱くさせるサスペンス・ミステリーの巨編、それが『キャプテンサンダーボルト』である。

関連ページ:
伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』
伊坂幸太郎『死神の浮力』

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