つぶやきコミューン

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堀江貴文&テリヤキ編集部『ばかウマ』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本  Ver.1.01


 
日本というのは、減点法の総合評価の国である。人気のグルメサイトやグルメアプリもいくつかあるが、食べログにしてもRettyにしても、雰囲気や接客までを含めてしまうと、雰囲気や接客はそこそこで本当に旨い店と、味はそこそこだが雰囲気と接客は好感度の高い店が同じ評価で並んで何がなんだかわからなくなる。食べログを見ると大体自分がよく使う気に入った店でも3.0くらい、あちこちで評判になっている有名店でも3.5くらいが普通なのである。

ホテルのような建物やインテリア、サービスに金をかけて雰囲気がいい店は、当然その分値段にも反映される。すべて兼ね揃えたような店は、値段もバカ高くて庶民の手の届かない存在になってしまう。リースナブルな値段で、とびきり旨い店は、店の雰囲気だの接客だののノイズによって埋もれてしまうのである。

こうした減点法と総合評価の不満を解消すべく、堀江貴文氏の呼びかけで精鋭を集めてつくられたのが、グルメアプリの「テリヤキ」であり、堀江貴文&テリヤキ編集部による『ばかウマ』(小学館)はその最初の書籍化である。ここには、知られざる旨い名店が北は北海道から南は沖縄まで、200店が紹介されている。店の種類も多種多様、イタリアンに、中華、タイ料理、ベトナム料理、日本料理も寿司に天ぷら、うなぎに、フグ料理、鯨料理、米料理、焼き鳥、豚丼、おでん、カレーうどん、ラーメン、かき氷に至るまで、並べるだけでよだれの出そうなほどバリエーションに富んでいる。

平均予算は1000円程度だが、下は1000円程度から、上は二万円を越える店まで価格帯も広い。二万円を越える店と言っても、素材にこだわり、手が込んでいて、創意工夫をこらしたバラエティ豊かで味のバランスがよい名店揃い。格式や知名度のある店で食べれば、その二、三倍はするようなコストパフォーマンス抜群の店揃いである。

味にとことんこだわり抜くテリヤキメンバーが選んだ店には、世界一の、日本一の称号さえ冠される。ネタバレになるので、店の名前は避けるが、日本一の酒亭、世界一の天ぷら、東京一のカルビ、世界最高峰のかき氷に、日本一有名なかき氷といった具合だ。

素晴らしい店が並んでいるのはわかるが、ハードルが高いという人も楽しめる本である。夕方の時間なら3千円、4千円はする店でも、ランチなら千円程度の予算で楽しめるという店がすらり並んでいるし、まずはランチで試して、気に入れば懐の豊かな時に夜訪れるというやり方がお勧めだ。さらに、ラーメンや麺類、かき氷といったメニューなら、最高峰でも千円程度の予算で十分楽しめる店がいくつもある。

個人的には、最近佐々木俊尚氏の『家めしこそ、最高のごちそうである。』や土屋敦氏の『男のパスタ道』の影響もあって、朝夕は自炊することが増えてきたが、自炊するにしても、やはり多くの旨い料理、旨い店に接してこそ、レパートリーも増えるし、味つけや調理法の多様性の追求も可能なのだと痛感している。やはりインプットあってこそのアウトプット。カラー写真は「テリヤキ」本体を見てくれと収録されていないが、多くのイラストと高田サンコ氏によるルポマンガに飾られたこの本を読んでいるだけでも、いくつもの未体験な料理のレシピが浮かんでくるほどだ。

全ての食は自分の文化度を高めてくれる。(マッキー牧元)

日本ほど多くの世界中の料理が居ながらにして味わえる国はなく、ときにそのレベルは本場もしのぐことがある。『ばかウマ』に掲載された店は、そのレベルの名店ぞろいである。伝統的な日本料理が世界遺産というよりも、日本における和食を含めた世界料理の多様性こそ、世界遺産と言うべきなのだ。

旨い店のレビューの間で楽しませてくれるのが、堀江氏とグルメ漫画家の久住昌之氏、うえやまとち氏とのばかウマ対談だ。ドラマ版の『孤独のグルメ』が韓国や中国で放映されるとすぐに東南アジアからの観光客が店に殺到するとか、堀江氏が『クッキングパパ』のレシピコンテストに大学時代応募したことがあるとか、漫画とグルメとめぐる思いがけないこぼれ話が満載である。

巻末の索引を見ると、圧倒的に東京の店が多く、その一方で全く採録されていない県の数も少なくないのがわかるが、おそらくそれは単に時間の問題であろう。そのうち地域別のテリヤキ本が出てきて、未開拓の地域を開拓されてゆくにちがいないが、地元の知られざる旨い店がどんどん紹介されてしまうことがいいのかわるいのかは、すべてのグルメファンにとって共通の悩みであるにちがいない。

グルメアプリは便利だが、地理的・予算的な守備範囲内の気になる店に付箋を入れて、一軒ずつ訪ねてゆくという形での活用では紙媒体のメリットも捨てがたい。『ばかウマ』は、間違いなく、新しい食の冒険へと読者を誘い、味覚の新世界へと読者を連れて行ってくれる本である。

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