つぶやきコミューン

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一色まこと『ピアノの森 25』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略



一色まこと『ピアノの森 25』(講談社)は、いよいよ最後の大詰め。最後のファイナリスト、ポーランド期待の星、レフ・シマノフスキの演奏の後、ショパンコンクールの最終審査結果が発表されます。

滑り出しこそスムーズであったシマノフスキのコンチェルト第1番の演奏ですが、第二楽章に入ると、かつて自分の身代わりになるように事故にあって今も昏睡状態が続いている姉のエミリアのことを思い出し、涙で演奏が乱れます。やがて、オーケストラの音の聞こえないトンネル状態に入り込み、演奏を続けることに。聴いて、レフ!!私たちの音を!!オーケストラのメンバーたちの心は叫びます。彼の演奏は再びその輝きを取り戻すことができるのか?第三楽章のクラコヴィアックを弾き終えたのちに彼を待っていたものとは?

巷のコンクールの下馬評では、余りに「規格外」であり、しかも最年少の17歳ということで、一ノ瀬海(いちのせ  かい)の演奏を、別格扱いして、特別賞などを与えることで、入賞からは外されるのではないかとささやかれることしきり。そんな中、審査委員長のアダム・ヤシンスキは、投票結果を公表することで、選考過程から政治性を払拭しようとします。自分の応援するコンテスタントに有利になるように、ライバルとなるコンテスタントに低い評価をつけたことが明らかになるなら、それはその評者に対する不信となってふりかかるというシステムです。

頭を抱える審査員たちに対して、ヤシンスキは、「余計なことは考えず自分が一番良かったと思うピアノを1位とすること」と言うのでした。

いくら素晴らしい演奏をしても、そこに人間の評価が入り込む限り、ボクシングにおけるKO試合のように、最高の演奏に対して最高の評価が与えられるとは限りません。作者が、この作品の中で実現したかった音楽の夢は、単に一ノ瀬海に音楽の頂点へ近づく道を示すだけでなく、そうした人間界の嫌らしい部分を除去した評価システムの実現にもあるようです。

かくして、ポロネーズ賞、マズルカ賞、コンチェルト賞、ソナタ賞の発表に続き、本選の入賞者六人の名前が呼ばれることになります。

果たして、そこに一ノ瀬海の名前はあるのでしょうか。

リアルなストーリーなのか、それとも夢のあるストーリーなのか。作者がどのようなドラマをこの作品で実現しようとしていたのかも明らかになります。

そして、一ノ瀬海の名前にずっと秘めてきた作者のメッセージもこの巻でようやく明らかになるのです。

そう、「ピアニスト 一ノ瀬海」の名前を並べ替えるなら・・・

関連ページ:
一色まこと『ピアノの森  24』 
一色まこと『ピアノの森  23』
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