つぶやきコミューン

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Jay.『SHERLOCK ピンク色の研究』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本   文中敬称略



スティーブン・モファットマーク・ゲイティス脚本、Jay.漫画による『SHERLOCK ピンク色の研究』(角川書店)は、2010年にBBCによって放映され、その後世界的なヒットとなったテレビシリーズのコミカライズ第一作である。原作は、もちろんコナン・ドイル『緋色の研究』を下敷きにしている。

本作では、時代は21世紀のロンドンへと置き換わっている。21世紀のシャーロック・ホームズは、インターネットを駆使し、スマートフォンを操るコンサルティング探偵という設定である。その他の人物設定に関しては、ほぼ原作に沿ったものとなっている。というのも、ホームズのホームズたるゆえんまで手をつけてしまうと、世のシャーロキアンが承知しないであろうから。とはいえ、時代の変化に合わせて、警察への協力の謝礼さえ拒絶する推理オタクのエキセントリックな面が強調されている。何しろ、事件が飛び込んできたときの反応が、「連続殺人とはうれしいなっ 楽しみができたぞ」なのだから。パートナーのワトソンも、それにふさわしいキャラクターになっている。冒頭では、ワトソンはアフガニスタンでの戦闘でトラウマをかかえ、片足が不自由で杖をついている設定となっているのだが、実はそうでないことがストーリーの展開とともに明らかにされる。
 
【あらすじ】
物語は、アフガニスタンで軍医として従軍し、帰還したジョン・ワトソンがルームシェアの相手として、ある男を紹介されるところから始まる。ちょうど世間は、三人の連続自殺事件が世間を騒がせていたところだった。紹介されたその男は、ワトソンと顔を合わせた瞬間、ワトソンに向かい「アフガニスタン?イラク?」と切り出し、その根拠の推理をまくしたてワトソンを唖然とさせる。その男こそシャーロック・ホームズだった。即座にルームシェアの話は決まった。ちょうど4人目の自殺者が出たばかりだった。今度は、別の死に方で、遺書もある。さらに謎が増え小躍りするホームズ。そして、いつの間にかワトソンもそのペースに巻き込まれるのだった。

現場にかけつけたホームズは、残されたRacheというダイイングメッセージと指輪その他の状況証拠から、ただちに「地方から出てきてロンドンで一泊してカーディフに帰るつもりだった」と推理し、さらにあるはずのスーツケースがないことを指摘する。この犯人は手ごわい、ミスを犯すのを待たないと言うホームズ。そして、ミスとは何か?と聞いたホームズに対し、一言「ピンク!!!」と謎めいた言葉を返すホームズだった。

果たして、ピンクの謎とは何か、そしてRacheというダイイングメッセージの意味は。さらに謎解きが進み、犯人像が浮かび上がった時、ホームズにピンチが迫る。それは・・・

コナン・ドイルの原作の『緋色の研究』は、長い第二部を持っているが、その部分は割愛され、『SHERLOCK ピンク色の研究』はコンパクトにまとめられ、小気味よいペースで展開する。ほとんどの読者はストレートに、そのショートカットぶりを受け入れ楽しむことができるのではなかろうか。

Jay.の絵は、洋物を描くのに適した繊細なタッチで、登場人物と現代のロンドンを描き出すが、その中でも、ホームズの推理シーンを描く場面では、表情に崩しをかけて、自称「高機能社会不適合者」のエキセントリックぶりを強調している。やはり、どの社会もナードには住みにくい時代になっていて、そのはみ出し者ぶりが視聴者や読者の共感を買うのであろう。
 


安いUK版の長所(英語字幕がある)と短所(再生できない機器がある)の詳細についてはカスタマーレビュー参照。




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