つぶやきコミューン

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松井優征『暗殺教室 11』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本   文中敬称略
 
親がくれた
立派な名前に
正直大した
意味は無い

意味があるのは
その名の人が
実際の人生で
何をしたか

名前は人を
造らない


人が歩いた
足跡の中に
そっと名前が
残るだけです

(『暗殺教室 11』「名前の時間」)


相変わらず絶好調の松井優征『暗殺教室 11』(集英社)。この作者の場合、ほとんど休載がなくコンスタントなペースで連載を続けているので、単行本化も早いですね。ストーリー展開もキャラクター設定も、芸が細かくなる一方で衰えを見せないし、絵のディテールも手抜きがなく安定しています。

11巻のメインを飾るのが「体育祭の時間」を中心とした5話構成のストーリー。E組一のイケメンで、リーダー格の磯貝悠馬。彼は単にルックスだけでなく、成績面も、性格面もツッコミどころのないイケメンでした。友達には優しく、目上の人には礼儀正しく、E組に落ちた理由も母子家庭なので、家計の足しにとアルバイトをやったのが、学校に発覚したため。ところが、今度も喫茶店でのアルバイトをやっているところをA組の連中に見つかってしまいます。再度、校則違反が発覚すれば、もはや彼は学校にはいられない。これをチャンスと考えた理事長の息子浅野学秀に体育祭の棒倒しで、E組がA組に勝てば不問に付してやると言われ、その挑戦を受けるしかなくなります。一学期の期末試験での雪辱を、浅野は晴らそうと企てていたのでした。

しかし、これはフェアな勝負ではなかったのです。というのも棒倒しに出場できるメンバーはE組は15人にしかいないのに、A組は28人とほぼ倍の人数。さらに、中学生離れした体格の強力な四人の外国人の助っ人が加わっていたのでした。果たして、この劣勢を跳ね返し、E組はA組に勝利をおさめることができるのか?

後半を飾るのが、「間違うの時間」に続く3話構成のストーリー。E組の生徒たちは、ふだんのトレーニングの成果で、『進撃の巨人』の調査兵団よろしく、屋根伝いを跳びながら集団下校しようとするのですが、着地の際、自転車に乗っていたおじいさんを転倒させ、大けがをさせてしまいます。そのおじいさんが、幼稚園の園長だったからさあ大変。一人で幼稚園を支えていた園長の代わりに、E組全員が中間試験の直前二週間働く羽目になってしまうのでした。いたずらざかりの幼稚園児たちの相手をE組の生徒が果たしてできるのか?彼らが園長にしかけたサプライズとは?

11巻での見ものは、初めて殺せんせーが生徒に対して激怒するシーン、そして、生徒たちが学校の外でふだん身につけた力を活かして、人のためにはたらくシーンです。非常に感動的で、教育的でもあるのです。『暗殺教室』は、フィクションの中にエンタメの毒と教育の理想という薬を絶妙にブレンドしたコミックなのです。

関連ページ:
松井優征『暗殺教室 9』 
松井優征『暗殺教室 8』
松井優征『暗殺教室 6』
松井優征『暗殺教室 5』

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