つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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井上雄彦『バガボンド 37』
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

飢餓の危機に陥った村を救うため、村人の先頭に立ち、水田を開墾しようとした武蔵。しかし、自然は思い通りにならず、やむなく小倉細川藩の家老、長岡佐渡守に助けを求めるところより、井上雄彦『バガボンド 37』は始まる。

天下無双の宮本武蔵が、人に頭を下げる。その変化は彼を知る人、ぶらり九州へと立ち寄った沢庵にとっても、信じられない変化であった。

届けられた食糧により、村は救われた。

ことあるごとに苦言を呈し、武蔵に冷淡であった独立不羈の農民、秀作も、怠惰な村の男たちを動員し、村を再生させようとする彼の影響力を認めざるをえなかった。奇蹟だと。だが、武蔵に、秀作は村を立ち去るように言う。

弱い者の見えておらぬ
今のうちに出てゆけ
ここにいたら闘えなくなる

田植えの春から夏へ、そして収穫の秋へー村の女子供に剣の手ほどきをしながら、それでも、武蔵は村にとどまり続ける。

土に向かい、人々の命をつなぐことで、殺し合いの螺旋という修羅地獄の毒を捨て去った武蔵は新たな剣の道を見出すことができるのか。最後の戦いを前に、別れの時は迫っていた。見上げた武蔵の目の前には、自由な大空が広がっていた。

関連ページ:
井上雄彦『バガボンド 36』
井上雄彦『バガボンド 35』
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