JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略
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森本梢子『高台家の人々』もこの第6巻をもって完結となります。過去一巻の中でこれほど笑った漫画はあったでしょうか。この十年を振り返っても、おそらくなかったと思います。そして、第6巻は『高台家の人々』の中でも、もっとも笑える出来となっています。
なぜでしょうか?
6巻ではめでたく光正と結婚した木絵は、英国風の大邸宅である高台家で生活を始めます。そこには、光正の妹の茂子も弟の和正もいます。そして、光正同様、二人とも人の心が読めてしまうテレパスなのです。
つまり光正に加えて、茂子、和正の三人のテレパスと同居生活を送るわけです。
『高台家の人々』の最大の売りは、木絵の暴走する妄想に対する高台家のテレパスたちのリアクションの面白さにあります。天然ボケである木絵の妄想にツッコミながらも、癒されてしまう掛け合い漫才の魅力です。
そんなわけで、木絵の高台家での生活では、木絵の妄想に対し、三人がそれぞれのペースでツッコミを入れ、それを平然と受け入れた木絵との会話が進むことになります。
つまり、おいしさが×3となるわけです。
ところで、6巻の最大のテーマは、浩平と付き合う茂子、そして純と付き合う和正のテレパスゆえの悩みです。
茂子は、はたして、浩平にテレパスであることを打ち明けるべきかどうか、悶々と悩むのです。
そして、和正もまた、純がはたして自分がテレパスであることを受け入れるかどうか、いぶかしく思い、一生結婚しないでおこうかと思い悩むのでした。
誰もが、木絵のようであれば、茂子も和正も思い悩まなくて済むのですが、そうそう「新しいお姉さまみたいに能天気でアホな子はめったにいない」のです。
はたして、どんな結論を彼らは出すのでしょうか。
ラストでは、木絵が風邪で寝込んでしまうのですが、実は風邪ではなさそうです。当然予想されるある展開があるわけですが、そこで浮上する問題を一刀両断にしてしまうラストシーンの木絵と光正の言葉は泣けること間違いなしです。
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