JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略
海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』も第9巻、ついに待望の完結編となります。
引き続き、就職活動を続ける森山みくりですが、毎度面接で突かれるのは「正社員」に一度もなったことがない職歴の弱さです。
あえてとりえと言えば職務経歴書の面白さを評価されたことです。はたして、それが白星につながるかどうか。
津村平匡との関係も、それまでの雇い主と従業員の関係を清算し、対等のCEO(最高経営責任者)として、一つずつ話し合いながら決めてゆこうとそれまでの習慣の見直しをはかります。はたして、ハグは、そしてキスはどのような扱いを受けるのでしょうか。
他方、煮え切らない土屋百合の態度に、百合一筋の風見涼太の心も乱れます。
そんなおり、二人の間に割り込もうとしたポジティブモンスター、五十嵐杏奈は百合の弱点を攻撃しようとするのですが、そこで手痛い反撃をくらってしまいます。
若さを唯一の武器とし、ライバルの年齢を攻撃しようとするそのやり方は呪いであると、百合は断言します。
あなたが価値がないと思っているのはこの先自分が向かっていく未来よ
それって絶望しかないんじゃない?
自分が馬鹿にしていたものに自分がなるのはつらいわよ
「かつての自分みたいに今周りは自分を馬鹿にしている」と思いながら生きていくわけでしょ
そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまうことね
これ、『逃げ恥』の中でも一、二を争う名言じゃないですか。
みくりと平匡のそれからは果たしてハッピーエンドに終わるのか、それとも破局して終止符を打つのか、その結末に加えて、百合と涼太のそれからも明らかになります。
最後の「番外編」で、高齢処女喪失の問題に思い悩む百合は、医師に相談にゆきます。いろいろ言われて怯えた百合は、涼太とのセックスにも二の足を踏むのでした。最後をしめくくるのは、超リアルな年の差カップルの現実、はたして愛は年齢差を乗り越えられるか?
というわけで、一粒で二度おいしく、テレビとも一味も二味も違う『逃げるは恥だが役に立つ』最終巻。お楽しみに。