つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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著者別索引コミック編1【ア〜ト】 著者別索引コミック編2【ナ〜ワ】

小説
LOVE STORIES (gooブログ)
「ホワイトラブ」1
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供屮據璽僉璽螢譟璽轡腑鵝1, 2, 34, 5,  6, 7,  8,  9,  10,11-1213-14, 15, 16-17,  18,19
掘峺諺杪╋酋福1, 2, 3, 4, 5 6, 7, 8, 9,10,1112, 1314,15,16,17,18,19

 

セール情報

電子書籍セールのまとめ

 

メディア

『情熱大陸 #978 「科学者・落合陽一」』スーパーダイジェスト

 

Magazine Watch

鴻巣友季子「100分de名著 マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』」

國分功一郎「100分de名著 スピノザ 『エチカ』」

千葉雅也・東浩紀『実在論化する相対主義』(ゲンロンβ28,29より)

NewsPocks Magazine Autumn 2018 vol.2

NewsPicks Magazine summer 2018 vol.1

 

今月買った本 

2017年12月 2018年1月  2018年2月  2018年3月  2018年4月    2018年5月 

2018年6月   2018年7月  2018年8月  2018年9月  2018年10月  2018年11月

2018年12月   2019年1月  2019年2月  2019年3月  2019年4月    2019年5月

2019年6月   2019年7月

 

Book Review

730.三浦英之『牙 アフリカゾウの密猟組織を追って』 NEW!

729.河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』

728.岸政彦『図書室』

727.山口つばさ『ブルーピリオド 5』

726.伊坂幸太郎『シーソーモンスター』

725.ヤマザキマリ『パスタぎらい』

724.篠原健太『彼方のアストラ』1〜5

723.藤井太洋『ハロー・ワールド』

722.千葉雅也『アメリカ紀行』

721.大童澄瞳『映像研には手を出すな! 4』

720.國分功一郎・互盛央『いつもそばには本があった。』

719.貴志祐介『エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く』

718.岩本ナオ『マロニエ王国の七人の騎士』1〜3

717.安富歩『老子の教え あるがままに生きる』

716.さやわか『名探偵コナンと平成』
715.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 次

714.森田真生『数学の贈り物』

713.浦沢直樹『あさドラ! 1』

712.小玉ユキ『青の花  器の森 2』

711.千葉雅也、二村ヒトシ、柴田英里『欲望会議 「超」ポリコレ宣言』

710.村田沙耶香『地球星人』

708.平川哲弘『ヒマワリ』1〜7

707.宮田珠己『ニッポン47都道府県 正直観光案内』

706.青木真也『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』

705.勝間和代『勝間式 超コントロール思考』

704.新川直司『さよなら私のクラマ― 8』

703.堀江貴文『堀江貴文 VS. 鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』

702.ヤマザキマリ『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』

701.マツキタツヤ、宇佐崎しろ『アクタージュ act-age』1-5 

700.坂口恭平『建設現場』

699.迫稔雄『バトゥーキ』1,2

698.落合洋司『ニチョウ 東京地検特捜部特別分室』

697.えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく』

696.坂口恭平『cook』

695.前田裕二『メモの魔力』

694.ヴィトゲンシュタイン『小学生のための正書法辞典』

693.落合陽一『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる人と育てる人のための教科書』

692.津田大介『情報戦争を生き抜け 武器としてのメディアリテラシー』

691.伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

690.J・ウォーリー・ヒギンズ『60年前の東京・日本』

689.落合陽一、猪瀬直樹『ニッポン 2021-2050』

688.東野圭吾『沈黙のパレード』

687.かっぴー、うめ『アイとアイザワ 1』

686.ナカムラクニオ、道前宏子『村上春樹語辞典』

685.石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検

684.小玉ユキ『青の花 器の森 1』 

683.堀江貴文『健康の結論』

682.山口つばさ『ブルーピリオド』

681.『漫画家読本vol.6 あだち充本』

680.ポール・ウェイド『プリズナートレーニング』

679.関根虎洸『遊郭に泊まる』

678.荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』

677.坂口恭平『家の中で迷子』

676.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス察

675.落合陽一『デジタルネイチャー』(前編)  

      落合陽一『デジタルネイチャー』(後編) 

674.大童澄瞳『映像研には手を出すな!3』

673.宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』

672.出水ぽすか・白井カイウ『約束のネバーランド』1〜9 

671. OCHABI Institute『伝わる絵の描き方 ロジカルデッサンの技法』 

670.土屋敦『男のチャーハン道』
669.岸政彦『はじめての沖縄』

668.荒川弘、田中芳樹『アルスラーン戦記 9』

667.高野秀行『間違う力』

666.三部けい『夢で見たあの子のために 2』

665.クロスケ『巨大仏巡礼』 

664.ロバート・キンセル、マーニー・ぺイヴァン『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』

663.東野圭吾『魔力の胎動』

662.諌山創『進撃の巨人 25』 

651.堀江貴文『堀江貴文の本はなぜすべてがベストセラーになるのか?』

650.堀江貴文・落合陽一『10年後の仕事図鑑』

649.猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』1〜4  
648.辻田真佐憲『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』 
647.中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』

646.畠山理仁『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い』

645.あだち充『MIX 12』 

474.ラルフ・ミレ―ブス『バイコヌール宇宙基地の廃墟』
473.田中圭一『Gのサムライ』
472.宮城公博『外道クライマー』 
471.山本崇一郎『からかい上手の高木さん』1〜3
470.速水健朗『東京どこに住む?住所格差と人生格差』 
469.勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』 
468.隈研吾『建築家、走る』
467.三部けい『僕だけがいない街 8』 
466.福島香織『SEALsと東アジア若者デモってなんだ!』 
465.ドリヤス工場『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』
464.松井優征・佐藤オオキ『ひらめき教室』 
463.清野とおる『増補改訂版 東京都北区赤羽 1』 
462.佐々木敦『ニッポンの文学』 
461.桜木武史『シリア 戦場からの声』 
460.平野啓一郎『マチネの終わりに』 
456.町田康『リフォームの爆発』
455.諌山創『進撃の巨人 19』
454.安田寛『バイエルの謎』 
453.松井優征『暗殺教室 19』 
452.万城目学『バベル九朔』 
451.二ノ宮知子『87CLOCKERS 8』 
450.佐々木敦『例外小説論』
449.落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』
PART2 魔法使いになる方法
448.甲斐谷忍『無敵の人 機 
447.堀江貴文責任編集『堀江貴文という生き方』
446.瀬谷ルミ子『職業は武装解除』
445.万城目学『ザ・万字固め』 
444.宮崎克×あだちつよし『怪奇まんが道』 
443.大崎善生『聖の青春』 
442.松井優征『暗殺教室 18』 
441.堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』
440.森山高至『非常識な建築業界 「どや建築」という病』 
439.森博嗣『作家の収支』
438.安田菜津記『それでも、海へ』
437.岡本亮輔『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 
436.桐木憲一『東京シャッターガール』(1〜3)
435.松浦儀実・渡辺保裕『神様がくれた背番号』(1〜3)
434.落合陽一『魔法の世紀』
433.斎藤孝『語彙力こそが教養である』
432.三部けい『僕だけがいない街 7』
431.桜木紫乃『ホテルローヤル』
430.危険地報道を考えるジャーナリストの会編『ジャーナリストはなぜ戦場」へ行くのか』
429.高野秀行・清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 
428.米澤穂信『王とサーカス』
427.岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 
426.和合亮一『詩の寺子屋』  
425.江川紹子『もか吉、ボランティア犬になる。』
424.松井優征『暗殺教室 17』 
423.米澤穂信『真実の10メートル手前』
422.一色まこと『ピアノの森 26』
421.ユリイカ 1月臨時増刊号 総特集 坂口恭平 
420.あだち充『MIX 8』
419.ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』
418.村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』 
417.東野圭吾『人魚の眠る家』
416.水木しげる『私はゲゲゲ』 
415.西尾維新『掟上今日子の備忘録』 
414.舘野仁美『エンピツ戦記』 
413.岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』 
412.増田俊也・一丸『七帝柔道記 2』 
411.ウエルベック『服従』
410.國分功一郎監修『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』
         『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』2(A-F) 
409.二ノ宮知子『七つ屋しのぶの宝石匣 2』
408.島田裕巳・中田考『世界はこのままイスラーム化するのか』
407.小林よしのり・宮台真司・東浩紀『戦争する国の道徳』 
406.伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』
405.和夏弘雨×碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 3』
404.出口治明『人生を面白くする本物の教養』 
403.保坂和志・小沢さかえ『チャーちゃん』
402.朝井リョウ『武道館』
401.森田真生『数学する身体』
400.吉本ばなな『ふなふな船橋』
      吉本ばなな『ふなふな船橋』PART2(固有名詞辞典)
399.上杉隆『悪いのは誰だ!新国立競技場』
398.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 12』
397.小橋めぐみ『恋読 本に恋した2年9ヶ月』
396.会田誠『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』
395.飲茶『14歳からの哲学入門』
394.板垣恵介『刃牙道 8』
393.星野智幸『呪文』
392.辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』
391.松井優征『暗殺教室 16』
390.坂口恭平『家族の哲学』  
389.石川美子『ロラン・バルト』 
388.羽海野チカ『3月のライオン 11』 
387.村上春樹『職業としての小説家』
386.羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』 
385.二ノ宮知子『87CLOCKERS 7』
384.古市憲寿『保育園義務教育化』 
383.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 掘 
382.又吉直樹『東京百景』
 PART2(地名辞典)
381.ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』
380.畑中章宏『『日本残酷物語』を読む』
379.村上春樹『村上さんのところ』 
PART2(人名・作品名辞典)
378.辻田真佐憲『ふしぎな君が代』
377.三部けい『僕だけがいない街 6』
376.藤沢数希『ぼくは愛を証明しようと思う。』 
375.坂口恭平『幸福な絶望』
PART2(地名索引) 
PART3(人名索引) 
   PART4 (書名索引) 
PART5 (音楽・映画索引)
坂口恭平の熊本ーそれからー NEW!
374.板垣恵介『刃牙道 6』 
373.堤未果『沈みゆく大国 アメリカ <逃げ切れ!日本の医療>』
372.五十嵐泰正・開沼博編『常磐線中心主義』
371.松井優征『暗殺教室 15』
370.伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』
369.岸政彦『断片的なものの社会学』
368.吉田修一『森は知っている』
367.甲野義紀『今までにない職業をつくる』
366.増田俊也編『肉体の鎮魂歌』
365.和夏弘雨『火葬場のない町に鐘が鳴る時』1、2
364.伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』
363.北条かや『整形した女は幸せになっているのか』
362.津田大介×西きょうじ『越境へ。』
361.又吉直樹『第二図書係補佐』
360.茂木健一郎『東京藝大物語』
359.あだち充『MIX 7』 
358.堀江貴文『あえて、仕事から外れる。逆転の仕事論』
357.吉川浩満『理不尽な進化』
356.椹木野衣『アウトサイダー・アート入門』
355.松井優征『暗殺教室 14』 
354.黒柳徹子『トットひとり』 
353.東野圭吾『ラプラスの魔女』 
352.福島香織『本当は日本が大好きな中国人』
351.田中圭一『神罰 1.1』 
350.國分功一郎『近代政治哲学』 
349.米澤穂信『満願』
348.海堂尊『スリジエセンター1991』 
347.増田俊也×一丸『七帝柔道記 1』
346.千葉雅也監修『哲子の部屋掘
345.高橋源一郎『デビュー作を書くための超「小説」教室』
344.國分功一郎監修『哲子の部屋 供  
343.荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の漫画術』
342.國分功一郎監修『哲子の部屋 機
341.柴崎友香『パノララ』
340.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 10』 
339.常岡浩介『イスラム国とは何か』
338.ヤマザキマリ『国境のない生き方』
337.水道橋博士『藝人春秋』(文春文庫版)  
336.大塚明夫『声優魂』
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三浦英之『牙 アフリカゾウの密猟組織を追って』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略

 

 

アフリカというと、サバンナを走るライオンやゾウの姿が思い浮かぶ。密猟組織などは、一部にすぎず、多くのエリアでは、国家や国際機関の監視の元、野生動物が保護されている、そんなイメージを抱いてきた。

 

しかし、近年そうしたイメージはしだいに崩壊しつつある。主な原因は、中国の富裕層の増加による象牙の価格の高騰。その結果、国家の役人まで汚染が広がり、密猟組織がほぼ野放しにされている。このままでゆけば、十数年後には、アフリカゾウは絶滅するであろうと危惧されている。そうした密猟、密売の取引の実態に迫ったのが、三浦英之『牙 アフリカゾウの密猟組織を追って』(小学館)である。

 

(…)この大陸では今、安価なカラシニコフ銃や毒入りのカボチャ、ゾウの通り道に張り巡らされた粗末なワイヤーの罠によって、一日一〇〇頭前後の野生ゾウたちが密猟者たちの手によって殺されているのだ。p14

  犯罪組織は一キログラム二〇〇〇ドル(約二〇万円)で闇取引される象牙を狙ってアフリカゾウの群れを皆殺しにし、急速な経済成長を遂げている中国へと密輸して膨大な利益を稼ぎ出している。その過程にはアフリカ諸国の政治家や役人や野生保護団体の職員までもが密接に関与し、利益の一部はテロリストの手にわたって無辜の市民を虐殺するための活動資金として使われている。pp14-15


かつてゾウたちが自由にかけ回る野生の王国であったはずのモザンビーク北部にも、ゾウの姿はすでになかった。そこで事情通の人物にコンタクトをとると、ゾウが生きていることを秘密にするよう約束することを求められる。テレビ放映によって、ゾウが根こそぎにされた前歴があったからである。

 

見せられたゾウの遺骸の写真は、残酷で悲惨なものだ。密猟者たちは、ゾウが生きているうちに、顔をえぐり取るようにして、象牙を持ち去るのである。

 

「密猟者たちはゾウに銃弾を撃ち込んで動けなくした後、ゾウがまだ生きているうちにチェーンソーで顔面を削り取っていくんだ」

「生きているうちに?」

「そうだ、生きているうちにだ」p31

 

ゾウの密猟そして象牙の密売の実態に迫ろうと、著者は取材を開始する。だが、象牙の密売と関わる国際的な犯罪組織は、本人や家族に危害を加えることもいとわない。著者の家族は南アフリカのヨハネスブルク在住であるため、苦肉の策として、ケニアのマサイマラ国立公園を端緒に、東アフリカでの調査を開始するのである。

 

とはいえ、関係者の口は堅く、容易に割れそうもない。しだいに、キーパーソンに近づいてゆくものの、固い壁に阻まれる。

 

だが、マサイ族の出身でレオンという強力なパートナーの助力を得て、獄中の大物へのインタビューが可能となる。

 

一人インタビューを行うたびに、さらなる大物の名前が出てくる。だが、情報提供者に身の危険が迫るなど、容易に近づくことはできない。

 

「取材協力者が死んだ」と彼は言い、その死亡したという取材協力者の名前を私に告げた。我々が数週間前に取材を申し込んでいた密猟者の名前だった。

「殺されたんだ」

「殺された?」

「間違いない」とレオンは言った。「たぶん――呪いだ」

p93

 

象牙の密猟・密売の核心に、著者はどこまで迫ることができるだろうか。影の大物、「象牙女王」の正体とは?ミステリー小説さながらのスリリングな展開に読者は手に汗握ることだろう。

 

象牙の密猟や密売の背景にあるのが、国際的な象牙の相場の高騰であり、その最大の消費先となっているのが、中国、そして日本の印鑑市場である。

 

ワシントン条約締結以前の古い象牙のみ扱うをするという口実で、日本では象牙の取引が認められた。だが、実際には、古い象牙と新たに密輸入された象牙を区別することはできない。その結果大量の不法な象牙がネット上で取引されることとなり、国際的な非難の対象となったのである。

 

 EIAが独自に「ヤフー・オークション」における象牙の取引実績を調査したところ、二〇一二年から二〇一四年のわずか三年間だけで合計八〇三本(重量合計約四トン)の全形象牙が落札されていることがわかった。切断された象牙の落札を加えると、落札件数は約一万六五〇〇件。総重量は約一二トンにも及び、これとは別に約五万五〇〇〇本もの象牙印章が同時期に落札されていた。EIAの調査によって二一世紀の現代においても、日本では象牙がインターネットで売られまくっていることが全世界に暴露されたのだ。p187 *環境調査エージェンシー

 

しかし、今や時代は変わりつつある。最大の象牙輸入国である中国が、方針を変え始めたらしいのである。

 

 二〇一六年の年明け、香港特別行政区のトップである梁振英がその年の施政方針演説の中で、香港における象牙取引を全面的に禁止することを表明したのである。

 これには世界中の環境保護団体の関係者が驚いた。

 香港は長らく世界最大の違法象牙の密輸入港だった。もしその密輸の入り口を封じることができれば、中国本土における象牙市場は確実に縮小に向かう。p184

 

その結果、印材のためあくまで象牙の輸入を続けようとする日本の存在こそが、象牙の密猟、アフリカゾウの滅亡の最大の元凶となりつつある。その比率、消費されてきた象牙の絶対量は、読者の想像をはるかに超えるものがある。

 

(…)日本が戦後の高度経済成長期を迎えると、象牙は「幸運を呼び込む印材」として人気を集め、一九八四年には約四七四トンもの象牙が日本に荷揚げされるなど、日本は世界の象牙の約四割を消費する「象牙消費大国」へと暗躍してゆく。それは同時に、アフリカで当時生息していた野生ゾウの半分に匹敵する約七二万頭ものアフリカゾウが日本人の印鑑のために命を奪われたことを意味していた。p57

 

そこまで、アフリカゾウを滅亡させてまで、象牙の印鑑にこだわる必要があるだろうか。極論すれば、日本が象牙の輸入を禁止してしまえば、象牙の価格は暴落し、アフリカゾウの密猟も下火となり、ゾウの滅亡は回避されるかもしれない。それほどまでに、日本とゾウの密猟との関わりは深いのである。さらに、象牙の密輸入で稼いだお金はテロリストの活動資金の四割を占めるとさえ言われる。象牙の消費は、アフリカゾウの生命のみならず、人間の生命すらも奪っているという事実より目を背けてはならない。

 

象牙の密輸入とゾウの絶滅危惧の問題は、はるか海の彼方の問題などではなく、今、日本人が最大の当事者としての態度決定を迫られている喫緊の問題なのである。ケニアで、野生動物の保護にあたる獣医師の滝田明日香は言う。

 

「だから貧困が密猟の根底にあるということは事実なのだけれど、でも、中国人なり日本人なりが象牙を買おうと思わなくなれば、それは石ころ同然になるってわけよ?つまり誰も違法行為を犯してまで、ゾウを殺して象牙を奪おうなんて考えなくなるわけ。問題の解決方法は実はとっても簡単なんです。『象牙を買わない』。それだけなの。(…)」p62

河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略

 

 

少子高齢化で、人口減少を続ける日本。その近い未来、日本の47都道府県や、各市町村の人口はどのように推移してゆくのか、そして人々はどの自治体で生まれ、どこへと移住することになるのか、そのとき何が問題となるのか、こうした疑問の数々に対して、正面から答えるのが、河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』(講談社現代新書)である。

 

40年後には9千万人を下回り、100年後には半減するとされる日本の人口だが、実は2042年を境界とした二段階で進行する。 

 

 第1段階は2042年までだ。この時期は若者が減る一方で高齢者数は増え続ける。すなわち、これからの四半世紀、われわれは高齢者対策に追われることになる。

 そして、2043年以降が第2段階だ。高齢者も減り、若い世代はもっと減っていく時代だ。高齢者も若者も減るのだから、この頃から人口が急減する。しかも総人口の4割近くを高齢者が占めるようになるため、社会の担い手が不足して日常生活がいろいろな形で麻痺してくることだろう。p5

 

そのため、人口の変動も全国一律ではない。つまり、ある時点まで人口が増加し続け、その後人口減少に転じる自治体と、ひたすら人口が減少する一方の自治体とに分かれるのである。

 

 2045年時点の人口が最も少なくなるのは、鳥取県の44万8529人である。高知県も49万8460人で、50万人割れとなる。60万人を下回る県も3つに上る(島根県52万8988人、徳島県53万5370人、山梨県59万8935人)。現在の高松市の人口が42万人ほどだから、鳥取県は全県で一県庁所在地ほどの規模に縮小するということだ。

 一方、人口集中が続く東京都は2030年にピークアウトするものの、2045年は1360万余を維持する。

p7

 

一般には、都市部に人口が集中するため、大都市圏の人口が増加し、地方の市町村が減少すると考えられがちだが、実は大都市圏も安泰ではない。東京だけが、地方が若年者を送り出す別の国と考えるべきで、三大都市圏では関西圏もすでに人口は減少へと転じているのである。2045年でもほぼ現状を維持する東京圏と比べると天と地ほどの差があるのだ。

 

 これに対して、大阪市、堺市、京都市、神戸市という4つの政令指定都市を抱える関西圏はというと、大阪府が17.0%も減少する。これを人口規模に置き換えるならば、約884万人から734万人へ、150万人も減る見込みだ。京都府と兵庫県が18.1%減、奈良県は26.8%減の水準に縮む。p48

 

大阪市では、周辺の自治体から人口を集めても、東京圏への人口流出がすでに顕著なのである。名古屋の場合にも、同様の傾向があるが、将来的にはリニア新幹線の開業で、ストロー現象による人口減少に加速がかかるであろうと著者は予測する。

 

さらに札幌、仙台、広島、福岡といった政令指定都市の現状と将来が語られる。いずれも、周辺の市町村から人口を集めながらも、東京圏へと人口を吸い上げられる一極集中の構造が明らかにされる。

 

こうして浮かび上がってくるのは、人口を維持できるか、減少するかによって、大きく二分される国の姿である。

 

 社人研の「日本の地域別将来推計人口」によれば、減少率が最も大きい都道府県は41.2%減となる秋田県だ。今後25年ほどで現在の6割ほどの社会になるということだ。

 その一方で、東京オリンピック・パラリンピック以降も増え続けるのが、東京都と沖縄県である。しかしながら両都県とも2030年中には減少に転じ、以後は全都道府県が人口減少社会に突入する。

 ただ、このタイムラグは、同時代でありながら、都道府県によって異なる社会の姿を出現させる。この時代を生きる人々は、あたかも2つの国が日本列島の上に存在するかのように感じることだろう。p117

 

道府県の中には、存続があやういものもあるが、市町村に関して見てゆくと、一層深刻な状況が、各自治体ごとのデータにより明らかになる。都市としてのさまざまな機能が維持できなくなる自治体も多数出てくる。

 

 下落率が最大となるのは奈良県川上村で、なんと79.4%減となる。北海道歌志内市の77.3%減、群馬県南牧村の77.0%減がこれに続く。これら以外にも下落率が7割以上という自治体は少なくない。川上村の場合、2015年の1313人から30年後の2045年には270人になるのだという。

 本当にここまで減ったらならば、”自治体消滅”という言葉がいよいよ現実味を帯びてこよう。かつて炭鉱で栄えた歌志内市は全国で最も人口が少ない市だが、2045年には813人しか残らない。14歳以下の人口はわずか21人になると予想されており、こちらも危急存亡のときを迎えるだろう。p118

 

人口の変動は、景気や賃金、失業率など、主として経済的な要因によって変動する。したがって、本書で示された数字がそのまま確定するわけではないが、少子高齢化のトレンドや東京への一極集中の構造は不可避であり、このままでゆけば2,30年後には十中八九ここに書かれた通りの未来が日本列島上に実現していることとなるだろう。

 

著者は平成という時代を、予測されていたこのようなトレンドに歯止めをかけることなく、「少子化を傍観した時代」と位置づけている。人口減少時代を迎えながらも地方機能を維持し続けるにはどうしたらよいのか、著者は最後の第3部 それぞれの「王国」の作りかたで、エリアマネジメントの重視や、都道府県を基礎自治体とすること、「ドット型国家」への転換など、さまざまな提言を行っている。

 

誰もが自分が住んでいる地域の未来を真剣に考えざるをえない時代がまもなくやってくる。そして、その大きな変化は私たちの就業や居住の場所までも大きく左右することだろう。そのために、国や各地方自治体ができることは何か。社会全体が、現状を真剣に見すえ、次に来るべき社会のあり方を考え、創り上げてゆくべき時代へと突入するのである。

 

そういう意味で、『未来の地図帳』は21世紀日本列島で生活し続ける人の、必読書の一つと言うことができるだろう。

 

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