つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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小説
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「ホワイトラブ」1
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掘峺諺杪╋酋福1, 2, 3, 4, 5 6, 7, 8, 9,10,1112, 1314,15,16,17,18,19


セール情報

電子書籍セールのまとめ

 

メディア

『情熱大陸 #978 「科学者・落合陽一」』スーパーダイジェスト

 

Magazine Watch

[新潮 2019 9月号 千葉雅也『デッドライン』]

鴻巣友季子「100分de名著 マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』」

國分功一郎「100分de名著 スピノザ 『エチカ』」

千葉雅也・東浩紀『実在論化する相対主義』(ゲンロンβ28,29より)

NewsPocks Magazine Autumn 2018 vol.2

NewsPicks Magazine summer 2018 vol.1

 

今月買った本 

2017年12月 2018年1月  2018年2月  2018年3月  2018年4月    2018年5月 

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2019年12月 2020年1月  2020年2月

 

Book Review

771.Tak.『書くための名前のない技術 case3 千葉雅也さん』 NEW!

770.石田英敬『現代思想の教科書 世界を考える知の地平15章』

769.J・ウォーリー・ヒギンズ『続 秘蔵カラー写真で味わう 60年前の東京・日本』

768.スティーヴン・キング『ドクター・スリープ』上、下

767.島田虎之介『ロボ・サピエンス前史』上、下

766.米澤穂信『本と鍵の季節』

765.古市憲寿『奈落』

764.中田考『13歳からの世界征服』

763.松本卓也『創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで』

762.恩田陸『祝祭と予感』

761.乙武洋匡『四肢奮迅』

760.伊藤計劃、三巷文『ハーモニー』3、4 

759.島田裕巳『なぜ京都がいちばんなのか』

758.岸政彦『街の人生』

757.宮田珠己『いい感じの石を拾いに』

756.落合陽一『2030年の世界地図帳』

755.中森明夫『青い秋』

754.坂口恭平『まとまらない人』

753.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 宗

752.伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』

751.國分功一郎『原子力時代における哲学』

750.迫稔雄『バトゥーキ 5』

749.吉田修一『犯罪小説集』

748.丸山宗利『カラー版 昆虫こわい』

747.石田衣良『絶望スクール 池袋ウエストゲートパーク将后

746.春場ねぎ『五等分の花嫁』1〜11

745.斉藤哲也『試験に出る哲学 「センター試験」で西洋思想に入門する』

744.千住真理子『ヴァイオリニスト20の哲学』

743.東野圭吾『希望の糸』

742.堀江貴文『ハッタリの流儀』

741.鍋倉夫『リボーンの棋士』1〜4

740.内藤理恵子『誰も教えてくれなかった「死」の哲学入門』

739.平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』

736.たかぎ七彦『アンゴルモア 元寇合戦記 博多編1』

735.野崎まど『HELLO WORLD』

734.本間龍『ブラックボランティア』

733.福島香織『ウイグル人に何が起こっているのか 民族迫害の起源と現在』

732.堀尾省太『ゴールデンゴールド 6』

731.飲茶『正義の教室 善く生きるための哲学入門』

730.三浦英之『牙 アフリカゾウの密猟組織を追って』

729.河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』

728.岸政彦『図書室』

727.山口つばさ『ブルーピリオド 5』

726.伊坂幸太郎『シーソーモンスター』

725.ヤマザキマリ『パスタぎらい』

724.篠原健太『彼方のアストラ』1〜5

723.藤井太洋『ハロー・ワールド』

722.千葉雅也『アメリカ紀行』

721.大童澄瞳『映像研には手を出すな! 4』

720.國分功一郎・互盛央『いつもそばには本があった。』

719.貴志祐介『エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く』

718.岩本ナオ『マロニエ王国の七人の騎士』1〜3

717.安富歩『老子の教え あるがままに生きる』

716.さやわか『名探偵コナンと平成』
715.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 次

714.森田真生『数学の贈り物』

713.浦沢直樹『あさドラ! 1』

712.小玉ユキ『青の花  器の森 2』

711.千葉雅也、二村ヒトシ、柴田英里『欲望会議 「超」ポリコレ宣言』

710.村田沙耶香『地球星人』

708.平川哲弘『ヒマワリ』1〜7

707.宮田珠己『ニッポン47都道府県 正直観光案内』

706.青木真也『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』

705.勝間和代『勝間式 超コントロール思考』

704.新川直司『さよなら私のクラマ― 8』

703.堀江貴文『堀江貴文 VS. 鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』

702.ヤマザキマリ『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』

701.マツキタツヤ、宇佐崎しろ『アクタージュ act-age』1-5 

700.坂口恭平『建設現場』

699.迫稔雄『バトゥーキ』1,2

698.落合洋司『ニチョウ 東京地検特捜部特別分室』

697.えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく』

696.坂口恭平『cook』

695.前田裕二『メモの魔力』

694.ヴィトゲンシュタイン『小学生のための正書法辞典』

693.落合陽一『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる人と育てる人のための教科書』

692.津田大介『情報戦争を生き抜け 武器としてのメディアリテラシー』

691.伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

690.J・ウォーリー・ヒギンズ『60年前の東京・日本』

689.落合陽一、猪瀬直樹『ニッポン 2021-2050』

688.東野圭吾『沈黙のパレード』

687.かっぴー、うめ『アイとアイザワ 1』

686.ナカムラクニオ、道前宏子『村上春樹語辞典』

685.石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検

684.小玉ユキ『青の花 器の森 1』 

683.堀江貴文『健康の結論』

682.山口つばさ『ブルーピリオド』

681.『漫画家読本vol.6 あだち充本』

680.ポール・ウェイド『プリズナートレーニング』

679.関根虎洸『遊郭に泊まる』

678.荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』

677.坂口恭平『家の中で迷子』

676.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス察

675.落合陽一『デジタルネイチャー』(前編)  

      落合陽一『デジタルネイチャー』(後編) 

674.大童澄瞳『映像研には手を出すな!3』

673.宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』

672.出水ぽすか・白井カイウ『約束のネバーランド』1〜9 

671. OCHABI Institute『伝わる絵の描き方 ロジカルデッサンの技法』 

670.土屋敦『男のチャーハン道』
669.岸政彦『はじめての沖縄』

668.荒川弘、田中芳樹『アルスラーン戦記 9』

667.高野秀行『間違う力』

666.三部けい『夢で見たあの子のために 2』

665.クロスケ『巨大仏巡礼』 

664.ロバート・キンセル、マーニー・ぺイヴァン『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』

663.東野圭吾『魔力の胎動』

662.諌山創『進撃の巨人 25』 

651.堀江貴文『堀江貴文の本はなぜすべてがベストセラーになるのか?』

650.堀江貴文・落合陽一『10年後の仕事図鑑』

649.猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』1〜4  
648.辻田真佐憲『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』 
647.中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』

646.畠山理仁『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い』

645.あだち充『MIX 12』 

474.ラルフ・ミレ―ブス『バイコヌール宇宙基地の廃墟』
473.田中圭一『Gのサムライ』
472.宮城公博『外道クライマー』 
471.山本崇一郎『からかい上手の高木さん』1〜3
470.速水健朗『東京どこに住む?住所格差と人生格差』 
469.勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』 
468.隈研吾『建築家、走る』
467.三部けい『僕だけがいない街 8』 
466.福島香織『SEALsと東アジア若者デモってなんだ!』 
465.ドリヤス工場『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』
464.松井優征・佐藤オオキ『ひらめき教室』 
463.清野とおる『増補改訂版 東京都北区赤羽 1』 
462.佐々木敦『ニッポンの文学』 
461.桜木武史『シリア 戦場からの声』 
460.平野啓一郎『マチネの終わりに』 
456.町田康『リフォームの爆発』
455.諌山創『進撃の巨人 19』
454.安田寛『バイエルの謎』 
453.松井優征『暗殺教室 19』 
452.万城目学『バベル九朔』 
451.二ノ宮知子『87CLOCKERS 8』 
450.佐々木敦『例外小説論』
449.落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』
PART2 魔法使いになる方法
448.甲斐谷忍『無敵の人 機 
447.堀江貴文責任編集『堀江貴文という生き方』
446.瀬谷ルミ子『職業は武装解除』
445.万城目学『ザ・万字固め』 
444.宮崎克×あだちつよし『怪奇まんが道』 
443.大崎善生『聖の青春』 
442.松井優征『暗殺教室 18』 
441.堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』
440.森山高至『非常識な建築業界 「どや建築」という病』 
439.森博嗣『作家の収支』
438.安田菜津記『それでも、海へ』
437.岡本亮輔『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 
436.桐木憲一『東京シャッターガール』(1〜3)
435.松浦儀実・渡辺保裕『神様がくれた背番号』(1〜3)
434.落合陽一『魔法の世紀』
433.斎藤孝『語彙力こそが教養である』
432.三部けい『僕だけがいない街 7』
431.桜木紫乃『ホテルローヤル』
430.危険地報道を考えるジャーナリストの会編『ジャーナリストはなぜ戦場」へ行くのか』
429.高野秀行・清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 
428.米澤穂信『王とサーカス』
427.岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 
426.和合亮一『詩の寺子屋』  
425.江川紹子『もか吉、ボランティア犬になる。』
424.松井優征『暗殺教室 17』 
423.米澤穂信『真実の10メートル手前』
422.一色まこと『ピアノの森 26』
421.ユリイカ 1月臨時増刊号 総特集 坂口恭平 
420.あだち充『MIX 8』
419.ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』
418.村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』 
417.東野圭吾『人魚の眠る家』
416.水木しげる『私はゲゲゲ』 
415.西尾維新『掟上今日子の備忘録』 
414.舘野仁美『エンピツ戦記』 
413.岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』 
412.増田俊也・一丸『七帝柔道記 2』 
411.ウエルベック『服従』
410.國分功一郎監修『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』
         『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』2(A-F) 
409.二ノ宮知子『七つ屋しのぶの宝石匣 2』
408.島田裕巳・中田考『世界はこのままイスラーム化するのか』
407.小林よしのり・宮台真司・東浩紀『戦争する国の道徳』 
406.伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』
405.和夏弘雨×碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 3』
404.出口治明『人生を面白くする本物の教養』 
403.保坂和志・小沢さかえ『チャーちゃん』
402.朝井リョウ『武道館』
401.森田真生『数学する身体』
400.吉本ばなな『ふなふな船橋』
      吉本ばなな『ふなふな船橋』PART2(固有名詞辞典)
399.上杉隆『悪いのは誰だ!新国立競技場』
398.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 12』
397.小橋めぐみ『恋読 本に恋した2年9ヶ月』
396.会田誠『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』
395.飲茶『14歳からの哲学入門』
394.板垣恵介『刃牙道 8』
393.星野智幸『呪文』
392.辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』
391.松井優征『暗殺教室 16』
390.坂口恭平『家族の哲学』  
389.石川美子『ロラン・バルト』 
388.羽海野チカ『3月のライオン 11』 
387.村上春樹『職業としての小説家』
386.羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』 
385.二ノ宮知子『87CLOCKERS 7』
384.古市憲寿『保育園義務教育化』 
383.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 掘 
382.又吉直樹『東京百景』
 PART2(地名辞典)
381.ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』
380.畑中章宏『『日本残酷物語』を読む』
379.村上春樹『村上さんのところ』 
PART2(人名・作品名辞典)
378.辻田真佐憲『ふしぎな君が代』
377.三部けい『僕だけがいない街 6』
376.藤沢数希『ぼくは愛を証明しようと思う。』 
375.坂口恭平『幸福な絶望』
PART2(地名索引) 
PART3(人名索引)
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Tak.『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略

 

 

『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』は、『アウトライン・プロセッシング入門』などの書物を著し、アウトライナーの伝道師として活躍しているTak.による千葉雅也へのインタビューを中心に構成された電子書籍である。千葉の制作の方法についてのインタビューをまとめたPART1とTakが千葉の方法をまとめたPART2からなっている。

 

千葉雅也ほど書くことの方法に関して自覚的な書き手はいない。それは、『勉強の哲学』さらにはその作成途上の資料を公にしながら構成された『メイキング・オブ・勉強の哲学』に現れてはいるが、あくまで2017〜2018年の時点のものである。『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』で語られているのは2020年時点の最新バージョン、ゆえにそれらの読者もアップデート用の差分ファイルとして本書を活用することができる。

 

千葉の書くことへのこだわりの中で、顕著なのは「思考としての文章」と「美学的な文章」とが分かれていることだ。

 

高一の時に、美術の教師に提出した課題の中で、徹底的に外観にこだわり抜き、DTPソフトを使って書き、印刷して提出し、度肝を抜いた千葉。それ以来、アウトプットの最終形態を考えることなしに、文章を書ききることはできなくなった。だが、それは書くことのハードルをいたずらに上げてしまう効果も持っている。 

 

思考の流れは内的な意識の産物であり、いわばリビドー的なものである。

これに対して、美的な意識は、超越的な意識の反省の産物であり、異なる意識操作の次元に属している。

後者を持ち続けたまま文章を書こうとすると、本来の自然な流れが途切れてしまう。

 

どうすればよいのか。

 

まずは書かれたものの体裁を気にせず、思いつくままに、書くこと、書き出す段階、シュールレアリスムの自動筆記のプロセスにも似た段階が必要だ。そのためにアウトライナーが活用される。

 

これが「書かないで書く技術」である。

 

千葉 ぼくの場合は「書く」ということに対して最初から編集意識が入っていて、最初からできあがったものを書かなきゃいけないという意識が強かったんです。それが「ちゃんと書く」ことだとぼくは思っていた。だから「書かないで書く」というのはつまり最初から完成度を求めて書くということをしないことです。めちゃくちゃでもいいからとにかく書いてしまう最初のドラフトの段階と、その後で整える段階をはっきり分けるということですね。

 

書かないで書かれたものは断片かもしれない。だが、断片は集まると作品あるいは書物になることが可能である。

 

書物や作品の「全体」という考え方も幻想だ。集めて、本にしてしまえばそれが全体となり、読者の中で一つの流れを持つ。

言語によって、すべてを相互に論理的に関連づける必要はない。この結合の法則は、映画的、音楽的なものだろう。

 

映画においては、そうしたテクニックは、エイゼンシュタインの『戦艦ポチョムキン』に代表されるように、モンタージュの手法として確立されている。

 

千葉 手法としては映画なんですよね。ショットとショットの間を説明しなくても成り立っちゃうのが映画というものですよね。二人の人間の顔を順番に並べれば向き合ってしゃべっているみたいに見える。そういう効果をうまく使うと、それなりになってしまう。かなり映像的な発想であると思います。映像編集するような発想で文章のパーツを並べちゃうというのは、自分の中でありますね。

 

Tak. 映像的。なるほどそうですね。無理に滑らかにつなごうとしない。

 

千葉 並べたらつながるんです、絶対に。すごく意外なつながりでもゴダールみたいなカッコ良さになりますから。

 

ふと思い浮かび、去ってゆくアイデアが、すべての原点にある。

 

重要なのは、そのライブ感をとどめながら記録しておくことである。

そして、思いついたアイデアやヒント、断章を一カ所に集めておくことである。

 

『アメリカ紀行』執筆に際しては、千葉雅也はあらかじめツイートした内容を整理し、Workflowyへと取り込んだ。

 

 一方にツイートのアーカイブを開いておいて、もう一方にWorkFlowyで分類項目を立てて、アーカイブの内容を子項目としてどんどんコピペしていきました。それがWorkFlowyのプロジェクト阿あの最初にあった「素材ツイート」というやつですね。

 

アウトライナーであるWorkFlowyはこのような断章のストック機能、そして構成機能を持ったものとして役に立つのである。

 

けれども、千葉雅也の場合、WorkFlowyの果たす役割は、それにとどまるものではない、これからの執筆計画、その進捗状況、編集者でのやりとり、さらには献本リストまでがそこに記入されてゆく。生活をマネジメントする、一種のスケジューラーの役割も同時に果たすのだ。かくして、生活の記録と執筆の計画が一つになる。アウトライナーのカフカ的な用法だ。

 

アウトライナーは、生活に網を張り巡らせ、そこにひっかかった獲物をそのまま保持したり、適宜料理するためのネットワークとなる。アウトライナーは、思考のクモの巣である。

 

千葉の場合、WorkFlowyだけでは十分でない。アイデアや断章が、作品を構成するレベルに育てるために、さらに別のアプリ、ScrivenerやULysseesを活用している。これによって単なるひらめきやアイデアといった断片ではなく、長い文章を構成する本格的なパーツとして再調整がなされる。生活の隅々まで網を張りめぐらせるWorkFlowyはつながりすぎる。だからいったん切断し、セグメントとして有限化する必要があるのである。

 

だが、そこで完成に至るわけではない。なぜなら、外観の統一という意味で、ScrivenerヤUlysseesは力不足であるからだ。最後の仕上げは、あくまで原稿の受け渡しが行われるフォーマットであるWordによってである。

 

千葉 最終的なデータじゃないという意識がまだダメなんですよね。提出はWordでするので。最終的なデータになってないと書けないです。

 

アウトライナーから切断されたWordの段階において、内容と外観の両面を備えた文章として、再度構成し直されることとなるのである
 

はじめにあるのは生活の中の言語の断片的生産である。だが、それらは来るべきエクリチュールの計画の中に組み込まれることで作品の種子となる。種子となった言語は、栽培用のアプリであるScrivenerやUlyseesへと移されることで、作品を構成するパーツとして成熟を見る。だが、外観を意識した作品として編集されるのはあくまでWordレベルでの再構成である。

 

この一連のプロセスは、ドゥルーズが『襞 ライプニッツとバロック』で描いたバロックと襞の図式に似ているが、私たちの時代における千葉雅也の場合には、いったん作品として完成された時点でこの言語は外部化され、さまざまな反響とともに、外部の環世界の一部を構成する。そして、フィードバックによって、それらの反響は再び内部化されるという循環回路ができあがるのである。

 

 

外と内がシームレスにひとつながりとなった図1のような曲面を考えると、WorkFlowyからUlysses/Scrivenerへ、さらにWordへと連携する製作のゾーンは曲面の内側を構成し、そこから校正を経て、本や雑誌の出版物となり、あるいはWeb媒体となって拡散するゾーンは、そのマス・メディアやWeb上の反響ともども外部のゾーンを構成する(図2)。だが、他者の感想や書評が千葉雅也のツイッターのTLへと現れ、さらにそのフィードバックとして本人のツイートが続くとき、ツイッター自体が本の部分を構成する『アメリカ紀行』のように、次の制作はすでに始まっているのである。

 

千葉雅也の方法は、コンピューターとインターネットの時代に、どれだけハードルを低くしながら、多方面での制作を効率よく並行して進行させるかという問いに対する一つの模範解答となっている。PCやWebに向かう時間が増えるほどに、私たちもまた、ここまで徹底したやり方でないとしても、これに類した自分なりの制作プロセスを、組織だった方法として練り上げてゆく必要があるのではないだろうか。

 

関連ページ:

書評 | 14:40 | comments(0) | - | - |
今月買った本(2020年2月)2月20日更新

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2月18日

 

若松英輔『考える教室 大人のための哲学入門』(NHK出版)

この日のKindle日替わりセールの対象となっていたので購入しました。作家若松英輔による哲学案内ですが、ソクラテスやデカルトだけでなく、ハンナ・アーレント『人間の条件』と吉本隆明『共同幻想論』の組み合わせが新鮮だと思いました。

 

荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 15』(少年サンデーコミックス)

北海道の農業高校を舞台とした青春ものの完結編。前の14巻は、2017年の8月でしたから2年半ぶりの新刊です。ついに八軒勇吾も、御影アキも卒業することに。だが、その前に八軒にも大学入試と苦手な父親の壁が立ちはだかります。

 

 

2月17日

 

新川直司『さよなら私のクラマ― 11』(少年マガジンコミックス)Kindle版

埼玉県の高校を舞台とした女子サッカーの世界を描く青春もの。 の覇者興蓮館を相手に善戦するも、エース曽志崎緑が退場となり、一気に得点差が広がります。巻き返しをはかりたいワラビーズ顧問深津の秘策は果たして興蓮館に通用するのか?

 

西尾維新、大暮維人『化物語 8』(少年マガジンコミックス)Kindle版

西尾維新の代表作。物語シリーズを、大暮維人がコミカライズした注目作。蛇に憑かれることとなった中学生千石撫子を救うために阿良々木暦の身体を張ったバトルの行方は。さらに、羽川翼、忍野忍との出会いが語られる後半は、物語シリーズきっての佳境です。

 

2月16日

 

町田康『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(幻冬舎単行本)Kindle版

以前から気になっていましたが、幻冬舎の電本フェス 第二弾でKindle版が手ごろな値段となっていきので購入。名うての酒豪であった芥川賞作家町田康が、自らの禁酒に至る経緯とそれからの生活変化を語ったエッセイです。四年前の年末に突如「酒をやめよう」と決意した町田康。いったい彼の身に何が起こったのか?

 

2月13日

 

岩田健太郎『「感染症パニック」を防げ! 〜リスク・コミュニケーション入門〜』(光文社新書)Kindle版

感染症が流行した時に重要なのはパニックにもならず不感症にならず、適度に恐れること。神戸大学教授岩田健太郎による感染症流行時のさまざまな立場の人間の対処方法や心構えを、感染症とリスクコミュニケーションの二つの専門家の視点からまとめた本です。炭疽菌によるバイオテロ、SARS、新型インフルエンザ、深刻な感染症への対応する経験の中から得られた教訓は貴重。今まさに読まれるべき一冊です。

 

二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣 10』Kindle版

宝石の持つオーラを見抜くことのできる質屋の娘倉田志のぶと、質草として預けられた北上顕定と宝石をめぐるラブコメテイストのミステリー。虎徹の探す晴子は本当に母親なのか、そして出生の秘密の手がかりとして顕定の探す宝石の謎も、江戸時代まで歴史を遡ることに。志のぶの大胆な行動と言い、10巻まで来ても先のまるで見えてこない『七つ屋志のぶ』です。

 

米澤穂信『秋期限定 栗きんとん事件 <小市民シリーズ>』上、下(創元推理文庫)Kindle版

高校を舞台としたミステリー<小市民シリーズ>の第三作。これで、シリーズコンプとなりました。コンビを解消した小山内ゆきと小鳩常悟朗は、それぞれ別の相手と交際を始めます。そんな折、学校周辺では連続放火事件が発生、その謎解きに乗り出したのが、小山内の交際相手の瓜野でした。はたして謎を解くのは誰か?そして、犯人は?二人の特異なキャラクターと、周囲の込み入った人間関係が、事件の謎解き以上に読ませる力作となっています。

 

 

2月12日

 

米澤穂信『巴里マカロンの謎 <小市民シリーズ>』(創元推理文庫)Kindle版

お菓子に関する謎を、推理力抜群の小山内ゆきと小鳩常悟朗のコンビが解く<小市民>シリーズの第4作。11年ぶりの新作です。作者のストーリーテリングのレベルは格段に上がり、シンプルでありながらも思わずうなりたくなるような鮮やかな四つの謎解きは見事というしかないです。その後、勢いで<小市民シリーズ>第1作の『春期限定 いちごタルㇳ事件』と第二作の『夏期限定 トロピカルパフェ事件』もKindle版で買ってしまいました。

 

2月10日

 

あだち充『MIX 16』

紙の版がコンビニの店頭に出ていたので衝動的に購入。『タッチ』から30年後の明青学園を描く高校野球コミックです。高校2年の夏、いよいよ都の予選が始まり立花投馬と走一郎の兄弟バッテリーを擁する明青はシード校に。けれども、第二戦の先発は注目の立花投馬ではなく…

 

2月8日

 

手塚治虫『W3』Kindle版

手塚治虫の不朽の名作を大人買い。地球人を生かすか滅ぼすかを判定するために送り込まれた宇宙人たちの活躍を描くSFコミック。子どものころ読んで、タイムパラドックスを使ったラストにものすごく感動、感心した覚えがあります。ストーリーの細かい部分は忘れても、ギャグの台詞は意外に覚えていてびっくりしました。

 

2月4日

 

マツキタツヤ、宇佐崎しろ『アクタージュ act-age 10』(ジャンプコミックス)Kindle版

役柄になりきることに天才的な才能を発揮する女子高生女優夜凪景を主人公とした芸能物です。舞台「羅刹女」で、人気No.1の百城千世子と対決することになった夜凪景。山野上花子が、語った自らの過去は、夜凪の心に火をつけますが、相手役の王賀美陸はあくまで自分であり続けようとします。はたして、この勝負に景は勝てるのか。

 

大場つぐみ、小畑健『プラチナエンド 12』(ジャンプコミックス)Kindle版

全世界が注視する神候補を選出するバトルの中で、偽物の神など不要とノーベル賞学者の米田教授は、自らを含め候補全員が死ぬ計画を実行しようとします。それを架橋明日たちは阻止することができるのか。いよいよクライマックスに、物語は突入します。

 

2月1日

 

Tak.『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』Kindle版

アウトライナーの伝道師たるTak.が『勉強の哲学』『アメリカ紀行』『デッドライン』などの著作を持つ哲学者千葉雅也へのインタビューで、WorkFlowyや、Ulysses、Wordの使い分けやTwitterの活用などその制作術の秘密に迫ります。十代のころから製作のビジュアルにはこだわり続けてきた千葉のエピソードなども明らかに。物を書き上げるためのヒント満載の一冊です。

 

住野よる『また、同じ夢を見ている』(双葉文庫)Kindle版

『君の膵臓を食べたい』が250万部を超えるベストセラーとなった住野よる。フタスペで、Kindle版が半額となっていたので『よるのばけもの』ともども購入しました。リストカットの女子高生、孤独な余生を楽しむ老女など、女性たちの幸せ探しをめぐる物語です。

 

住野よる『よるのばけもの』(双葉文庫)Kindle版

夜な夜な化け物に変身してしまう僕と、夜の学校で遭遇してしまったクラスメイトの矢野さつき。これはいわば、現代版「美女と野獣」の物語でしょうか。

 

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