つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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著者別索引コミック編1【ア〜ト】 著者別索引コミック編2【ナ〜ワ】

小説
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「ホワイトラブ」1
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供屮據璽僉璽螢譟璽轡腑鵝1, 2, 34, 5,  6, 7,  8,  9,  10,11-1213-14, 15, 16-17,  18,19
掘峺諺杪╋酋福1, 2, 3, 4, 5 6, 7, 8, 9,10,1112, 1314,15,16,17,18,19

 

セール情報

電子書籍セールのまとめ

 

メディア

『情熱大陸 #978 「科学者・落合陽一」』スーパーダイジェスト

 

Magazine Watch

鴻巣友季子「100分de名著 マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』」

國分功一郎「100分de名著 スピノザ 『エチカ』」

千葉雅也・東浩紀『実在論化する相対主義』(ゲンロンβ28,29より)

NewsPocks Magazine Autumn 2018 vol.2

NewsPicks Magazine summer 2018 vol.1

 

今月買った本 

2017年12月 2018年1月  2018年2月  2018年3月  2018年4月    2018年5月 

2018年6月   2018年7月  2018年8月  2018年9月  2018年10月  2018年11月

2018年12月   2019年1月  2019年2月

 

Book Review

703.堀江貴文『堀江貴文 VS. 鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』 NEW!

702.ヤマザキマリ『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』

701.マツキタツヤ、宇佐崎しろ『アクタージュ act-age』1-5 

700.坂口恭平『建設現場』

699.迫稔雄『バトゥーキ』1,2

698.落合洋司『ニチョウ 東京地検特捜部特別分室』

697.えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく』

696.坂口恭平『cook』

695.前田裕二『メモの魔力』

694.ヴィトゲンシュタイン『小学生のための正書法辞典』

693.落合陽一『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる人と育てる人のための教科書』

692.津田大介『情報戦争を生き抜け 武器としてのメディアリテラシー』

691.伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

690.J・ウォーリー・ヒギンズ『60年前の東京・日本』

689.落合陽一、猪瀬直樹『ニッポン 2021-2050』

688.東野圭吾『沈黙のパレード』

687.かっぴー、うめ『アイとアイザワ 1』

686.ナカムラクニオ、道前宏子『村上春樹語辞典』

685.石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検

684.小玉ユキ『青の花 器の森 1』 

683.堀江貴文『健康の結論』

682.山口つばさ『ブルーピリオド』

681.『漫画家読本vol.6 あだち充本』

680.ポール・ウェイド『プリズナートレーニング』

679.関根虎洸『遊郭に泊まる』

678.荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』

677.坂口恭平『家の中で迷子』

676.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス察

675.落合陽一『デジタルネイチャー』(前編)  

      落合陽一『デジタルネイチャー』(後編) 

674.大童澄瞳『映像研には手を出すな!3』

673.宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』

672.出水ぽすか・白井カイウ『約束のネバーランド』1〜9 

671. OCHABI Institute『伝わる絵の描き方 ロジカルデッサンの技法』 

670.土屋敦『男のチャーハン道』
669.岸政彦『はじめての沖縄』

668.荒川弘、田中芳樹『アルスラーン戦記 9』

667.高野秀行『間違う力』

666.三部けい『夢で見たあの子のために 2』

665.クロスケ『巨大仏巡礼』 

664.ロバート・キンセル、マーニー・ぺイヴァン『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』

663.東野圭吾『魔力の胎動』

662.諌山創『進撃の巨人 25』 

651.堀江貴文『堀江貴文の本はなぜすべてがベストセラーになるのか?』

650.堀江貴文・落合陽一『10年後の仕事図鑑』

649.猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』1〜4  
648.辻田真佐憲『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』 
647.中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』

646.畠山理仁『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い』

645.あだち充『MIX 12』 

474.ラルフ・ミレ―ブス『バイコヌール宇宙基地の廃墟』
473.田中圭一『Gのサムライ』
472.宮城公博『外道クライマー』 
471.山本崇一郎『からかい上手の高木さん』1〜3
470.速水健朗『東京どこに住む?住所格差と人生格差』 
469.勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』 
468.隈研吾『建築家、走る』
467.三部けい『僕だけがいない街 8』 
466.福島香織『SEALsと東アジア若者デモってなんだ!』 
465.ドリヤス工場『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』
464.松井優征・佐藤オオキ『ひらめき教室』 
463.清野とおる『増補改訂版 東京都北区赤羽 1』 
462.佐々木敦『ニッポンの文学』 
461.桜木武史『シリア 戦場からの声』 
460.平野啓一郎『マチネの終わりに』 
456.町田康『リフォームの爆発』
455.諌山創『進撃の巨人 19』
454.安田寛『バイエルの謎』 
453.松井優征『暗殺教室 19』 
452.万城目学『バベル九朔』 
451.二ノ宮知子『87CLOCKERS 8』 
450.佐々木敦『例外小説論』
449.落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』
PART2 魔法使いになる方法
448.甲斐谷忍『無敵の人 機 
447.堀江貴文責任編集『堀江貴文という生き方』
446.瀬谷ルミ子『職業は武装解除』
445.万城目学『ザ・万字固め』 
444.宮崎克×あだちつよし『怪奇まんが道』 
443.大崎善生『聖の青春』 
442.松井優征『暗殺教室 18』 
441.堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』
440.森山高至『非常識な建築業界 「どや建築」という病』 
439.森博嗣『作家の収支』
438.安田菜津記『それでも、海へ』
437.岡本亮輔『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 
436.桐木憲一『東京シャッターガール』(1〜3)
435.松浦儀実・渡辺保裕『神様がくれた背番号』(1〜3)
434.落合陽一『魔法の世紀』
433.斎藤孝『語彙力こそが教養である』
432.三部けい『僕だけがいない街 7』
431.桜木紫乃『ホテルローヤル』
430.危険地報道を考えるジャーナリストの会編『ジャーナリストはなぜ戦場」へ行くのか』
429.高野秀行・清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 
428.米澤穂信『王とサーカス』
427.岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 
426.和合亮一『詩の寺子屋』  
425.江川紹子『もか吉、ボランティア犬になる。』
424.松井優征『暗殺教室 17』 
423.米澤穂信『真実の10メートル手前』
422.一色まこと『ピアノの森 26』
421.ユリイカ 1月臨時増刊号 総特集 坂口恭平 
420.あだち充『MIX 8』
419.ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』
418.村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』 
417.東野圭吾『人魚の眠る家』
416.水木しげる『私はゲゲゲ』 
415.西尾維新『掟上今日子の備忘録』 
414.舘野仁美『エンピツ戦記』 
413.岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』 
412.増田俊也・一丸『七帝柔道記 2』 
411.ウエルベック『服従』
410.國分功一郎監修『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』
         『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』2(A-F) 
409.二ノ宮知子『七つ屋しのぶの宝石匣 2』
408.島田裕巳・中田考『世界はこのままイスラーム化するのか』
407.小林よしのり・宮台真司・東浩紀『戦争する国の道徳』 
406.伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』
405.和夏弘雨×碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 3』
404.出口治明『人生を面白くする本物の教養』 
403.保坂和志・小沢さかえ『チャーちゃん』
402.朝井リョウ『武道館』
401.森田真生『数学する身体』
400.吉本ばなな『ふなふな船橋』
      吉本ばなな『ふなふな船橋』PART2(固有名詞辞典)
399.上杉隆『悪いのは誰だ!新国立競技場』
398.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 12』
397.小橋めぐみ『恋読 本に恋した2年9ヶ月』
396.会田誠『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』
395.飲茶『14歳からの哲学入門』
394.板垣恵介『刃牙道 8』
393.星野智幸『呪文』
392.辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』
391.松井優征『暗殺教室 16』
390.坂口恭平『家族の哲学』  
389.石川美子『ロラン・バルト』 
388.羽海野チカ『3月のライオン 11』 
387.村上春樹『職業としての小説家』
386.羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』 
385.二ノ宮知子『87CLOCKERS 7』
384.古市憲寿『保育園義務教育化』 
383.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 掘 
382.又吉直樹『東京百景』
 PART2(地名辞典)
381.ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』
380.畑中章宏『『日本残酷物語』を読む』
379.村上春樹『村上さんのところ』 
PART2(人名・作品名辞典)
378.辻田真佐憲『ふしぎな君が代』
377.三部けい『僕だけがいない街 6』
376.藤沢数希『ぼくは愛を証明しようと思う。』 
375.坂口恭平『幸福な絶望』
PART2(地名索引) 
PART3(人名索引) 
   PART4 (書名索引) 
PART5 (音楽・映画索引)
坂口恭平の熊本ーそれからー NEW!
374.板垣恵介『刃牙道 6』 
373.堤未果『沈みゆく大国 アメリカ <逃げ切れ!日本の医療>』
372.五十嵐泰正・開沼博編『常磐線中心主義』
371.松井優征『暗殺教室 15』
370.伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』
369.岸政彦『断片的なものの社会学』
368.吉田修一『森は知っている』
367.甲野義紀『今までにない職業をつくる』
366.増田俊也編『肉体の鎮魂歌』
365.和夏弘雨『火葬場のない町に鐘が鳴る時』1、2
364.伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』
363.北条かや『整形した女は幸せになっているのか』
362.津田大介×西きょうじ『越境へ。』
361.又吉直樹『第二図書係補佐』
360.茂木健一郎『東京藝大物語』
359.あだち充『MIX 7』 
358.堀江貴文『あえて、仕事から外れる。逆転の仕事論』
357.吉川浩満『理不尽な進化』
356.椹木野衣『アウトサイダー・アート入門』
355.松井優征『暗殺教室 14』 
354.黒柳徹子『トットひとり』 
353.東野圭吾『ラプラスの魔女』 
352.福島香織『本当は日本が大好きな中国人』
351.田中圭一『神罰 1.1』 
350.國分功一郎『近代政治哲学』 
349.米澤穂信『満願』
348.海堂尊『スリジエセンター1991』 
347.増田俊也×一丸『七帝柔道記 1』
346.千葉雅也監修『哲子の部屋掘
345.高橋源一郎『デビュー作を書くための超「小説」教室』
344.國分功一郎監修『哲子の部屋 供  
343.荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の漫画術』
342.國分功一郎監修『哲子の部屋 機
341.柴崎友香『パノララ』
340.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 10』 
339.常岡浩介『イスラム国とは何か』
338.ヤマザキマリ『国境のない生き方』
337.水道橋博士『藝人春秋』(文春文庫版)  
336.大塚明夫『声優魂』
335.國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(1)
                   『暇と退屈の倫理学』(2)
334.鈴木みそ『ナナのリテラシー 1』 
332.又吉直樹『火花』
331.ニコ・ニコルソン『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』
330.中森明夫『寂しさの力』
329.岩田健太郎『サルバルサン戦記』
328.橋本幸士『超ひも理論をパパに習ってみた』
327.福島香織『中国複合汚染の正体』  
326.猪瀬直樹『救出 3.11気仙沼公民館に取り残された446人』
325.谷本真由美×ポール・ロブソン『添削!日本人の英語 PART2
324.坂口恭平『ズームイン、服!』
323.荒川弘×田中芳樹『アルスラーン戦記 3』
322.内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』
321.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 供
320.苫米地英人『『21世紀の資本論』の問題点』 
319.阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』
318.三部けい『僕だけがいない街 5』
317.増田俊也『VTJ前夜の中井祐樹』
316.水野敬也『夢をかなえるゾウ 3』
315.岩崎夏海『『もしドラ』はなぜ売れたのか? 
314.フランソワ・ヌーデルマン『ピアノを弾く哲学者』  
313.あだち充『MIX 6』
312.石田衣良『余命一年のスタリオン』
311.諌山創『進撃の巨人 15』 
310.アレックス・カー『ニッポン景観論』 
309.浦沢直樹・長崎尚志『MASTERキートン Reマスター』  
308.倉方俊輔・柴崎友香『大阪建築 みる・あるく・かたる』
307.坂口恭平『隅田川のエジソン』
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堀江貴文『堀江貴文 VS. 鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略                      ver.1.01

 

 

『堀江貴文 VS. 鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』(ぴあ)は、「この本は本当に面白い」と、著者自らが帯で自画自賛して話題になった一冊、堀江貴文と7人の鮨職人の対談からなっている。

 

7人の鮨職人とは、いずれも今は独立して自分の店を構えた人気店の店主、

1.渋谷「くろ崎」の黒崎一希

2.北九州・戸畑「照寿司」の渡邉貴義

3.札幌・すすき野「鮨一幸」の工藤順也

4.銀座「はっこく」の佐藤博之

5.目黒「鮨 りんだ」の河野勇太

6.麻布十番「鮨職人 秦野よしき」の秦野芳樹

7.銀座「鮨 あらい」の新井祐一

の7人(これに巻末対談の銀座「鮨青木」の青木利勝を含めれば8人)だ。

 

一体何がそんなに面白いのか?

 

まず、圧倒的な情報量だ。その中には、それぞれの鮨職人の生い立ちやすし職人をめざした動機、自分の店を持つに至るまで経歴、店のポリシーや、セールスポイントも含まれる。そして、それが7人それぞれ違っていて、鮨の世界の奥行きを感じさせる構成になっている。つまり、本書の魅力を一言で言えば、鮨ダイバーシティの世界である。
 

それを大ざっぱに分類すると、これまでどのように生きて来たかという人生と、鮨の何にこだわってきたかという思想、どうやって客を集め人気店にのしあがってきたかというノウハウの三つの要素に分類できるだろう。

 

たとえば、「くろ崎」の黒崎一希は、元ラッパー、鮨職人になる前は、年に5、6回のライブをやっていたという。

 

堀江 え、めっちゃやっているじゃないですか、バトルとかやっていたんですか?

黒崎 日本でフリースタイルバトルがはじまった頃にやっていましたから、はしりですね。今も家に機材がありますよ。音から作ったりとか。p21

 

客の目の前に握った鮨を差し出すパフォーマンスのインスタ映えが大人気で海外からもファンが訪れる「照寿司」の渡邉貴義は、高校から大学まで柔道で鍛えながらも、百メートルは十二秒台で走るスーパーアスリートだったという。

 

渡邉 ふふふ、腹筋はバキバキに割れていたし、懸垂四十回、ベンチプレス一六〇キロ、一〇〇メートルは十二秒台。なんでもマルチにできる男だったんですから!p58

 

いつでも秒殺できる力がありながら、父親が鮨を納品しているホテルだったために、殴る蹴るのいじめにも黙って耐え続けたというから、鮨職人はつらいよである。

 

高卒でいきなり「銀座久兵衛」に就職し、その後も『すし匠』で働くなど鮨職人としてエリートコースを歩んだかに見える「鮨あらい」の新井祐一も、就職直前までガングロロン毛のギャル男だった。

 

新井 鮨屋になるって決めたときに、丸坊主にしたんです。忘れもしない十二月三十一日、ピザ屋のバイトに行く前に。真ん中からバリカンを入れてガーッと。彼女は「やめて〜」って泣いていました。p173

 

自ら握る鮨に何を求めるかと言われて多くがまず答えるのは、鮨のネタとなるいい食材」だ。

 

「照寿司」の渡邉貴義は、十年間鳴かず飛ばずの間で、月に5人の客しか入らなくても、地元のよい食材を買い続けた。「鮨一幸」の工藤順也も、あるとき有名店と自分の鮨の違いは技術の差ではなく、素材の差であることを発見し、気がつくといつの間にか同じ味になっていたという。

 

堀江 なにが変わったんですか?

工藤 競り番が一番、二番に変わったんですよ。結局、素材だったんです。同じ産地のアジでも、競り番がひとつ違うことでこれほど差があるのか、と気づきました。p78

 

宇和島に生まれ、子どものころからおもちゃよりも魚が大好き、アワビやサザエ、タコを獲って育った鮨屋界のサカナクン、「鮨りんだ」の河野勇太は、うまい魚を見抜く絶対の目を持っていると豪語する。

 

河野 僕は、産地はあまり気にしません。魚の値段って産地が半分以上を占めているんですよ。例えば、巨人の四番はすごいですよね。でも、高校野球でも草野球チームにも、「こいつはすごい」って四番がいる、僕は、そんな風に産地に関係なく、すごいやつを見抜く絶対の自信があります。市場に行かない日でも、LINEで魚の写真が届いたら、「左から二番目ちょうだい」って見極めています。pp136-137

 

ネタだけでなく、シャリにもこだわりを見せるのが、「鮨職人 秦野よしき」の秦野芳樹。米は南阿蘇のコシヒカリを使っている。

 

堀江 秦野さんの中で、シャリの重要度はどれくらいですか?

秦野 いくらネタがよくても、シャリがまずかったらゼロになる。という意味では一〇〇%かな。

p160

 

店の立地など、空間への独自のこだわりを見せるのが、「くろ崎」の黒崎一希。

 

黒崎 (…)僕の場合は完全にシチュエーション重視だったんですよ。駅からは近いけど、静かな場所。お店から出た瞬間に「あれ、ここどこだっけ」という感じがいいなと思っていて。

堀江 まさに、今のお店がそうですね。うん、酔っぱらってるし「ここどこだっけ」ってなるわ。

黒崎 お店を出た瞬間に人通りや車の通りがあると、急に現実に引き戻される感じがするのが嫌なんです。それは銀座では不可能。p18

 

そんなわけで、「くろ崎」では、カウンターも、客同士が顔を合わせずに済み、板前の足元が見られるおそれのないストレートカウンターにこだわるのである。

 

ネタにシャリ、空間という三大要素に理想的なものを揃えたとしても、すぐには客がいっぱいになるとは限らない。客ゼロの日も続くことがあるだろう。

 

白身の魚は築地でもダメなのではるばる関西から仕入れたり、LINEで朝一番のよい魚を選ぶなど仕入れを工夫する、遠くの鮨店まで出かけて味の研究を行ったり、店主と知り合いになり情報を得たりする必要もある。「はっこく」の佐藤博之のように、三十貫フルコースを出すなど、よそにない新しい工夫に挑戦する必要もあるかあもしれない。そんなノウハウの数々を惜しげもなく教えてくれるのが『堀江貴文 VS.鮨職人』の大きなメリットである。

 

結局、よいネタを選んで仕入れ、シャリも鮨との相性を考え厳選、店の立地やレイアウトにも気を配った後で必要となるものは、何だろうか。

 

人間力と堀江貴文も、鮨職人も断言する。

 

堀江 まさに接客業ですね。 

新井 はい。来てくれたお客さんがニコニコして、程よい緊張感もあって、いい食事ができればね。半年もお待たせしているんですから。今は、鮨の専門学校とかあって技術は学べますけど、やっぱりコミュニケーションですよ。常に笑顔が大切。握り自体はそんなに難しいものではないですもん。

堀江 なにで差がでますか?

新井 やっぱり人間力ですよ。その人が持っている人間力。

pp185-186

 

ネタやシャリの良さに、よい立地とレイアウトがあり、笑顔で客を楽しくさせ、コミュニケーションで相手を幸せにする人間力があれば、鮨屋を流行らせるのはそれほど難しいことではないだろう。ただ、この業界で長く続けてゆくためには、ビジョンも必要だ。

 

新井 やっぱり残るのは「自分で鮨屋になりたい」みたいな明確なビジョンがある子ですよ。「夢があるなら、これからは常に自分との戦いだよ。労働時間に関係なく、俺も夢を叶えるために頑張ってここまで来た」という話をしますね。

堀江 好きじゃないと続かないですよね。pp170-171

 

都合8人の鮨職人の言葉を受けとる中で、読者のグルメとしての、そして料理人としての鮨リテラシーも急速に高まり、進化してゆくことだろう。

 

『堀江貴文 VS. 鮨職人』は、鮨職人や鮨屋を目指す人、現に鮨屋を開いて売り上げに苦労している人、鮨好きの人必見の一冊なのである。 

 Kindle版

 

関連ページ:

堀江貴文『健康の結論』 

堀江貴文『堀江貴文の本はなぜすべてがベストセラーになるのか?』

堀江貴文『多動力』

堀江貴文『面白い生き方をしたかったので仕方なくマンガを1000冊読んで考えた』

堀江貴文『99%の会社はいらない』 
堀江貴文責任編集『堀江貴文という生き方』
堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』
堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』
堀江貴文&テリヤキ編集部『ばかウマ』 

 

ヤマザキマリ『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』

JUGEMテーマ:自分が読んだ本  文中敬称略    ver.1.01

 

 

『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』(文藝春秋)は、『テルマエロマエ』の漫画家ヤマザキマリが、自らの母親のことを綴ったエッセイである。

 

ヤマザキの母リョウコは、ヴィオラ奏者でバイオリン講師、14歳のマリを一人でヨーロッパへ送り出すなど、その規格外れの言動は、エピソードに事欠かない。ヤマザキの自伝的コミック『ルミとマヤとその周辺』やエッセイ『国境のない生き方』でもいくつかのエピソードが紹介されているが、この母親の存在なくしては、現在のヤマザキマリの生き方はなかっただろうとは、本人も認めるところだ。

 

けれど、私がこうして世界のあちこちで暮らしたり行き来したりしながら、国境という箍の意識を持たない人生を送っているのは、明らかにリョウコという人間を間近に見て育ってきたその影響によるものだと思っている。

 

本書を読み出してまず気づくことは、ヤマザキ家における男性の影の薄さである。

 

リョウコの最初の夫であった指揮者は、マリを残し、結婚後わずか二年足らずで死去。

 

そして、昭和四十二年(一九六七)年四月、リョウコは長女マリ、つまり私を出産した。父親は、その後、生まれたての私とろくに暮らしもしないうちに、あっけなく他界してしまう。リョウコは生まれたばかりの娘を抱えて思いがけずシングルマザーとなり途方に暮れた。

 

次にリョウコが結婚した建築技師も、ふだんはサウジアラビア在住で、まもなく別居生活を余儀なくされたが、そのおかげで妹ができた。

 

 入籍してしばらくは同居していたが、夫が仕事でサウジアラビアに戻ってからというもの、結局、結婚とは名前ばかりの別居生活になった。日本とサウジアラビアの距離を考えるとなかなか会うこともできなければ、この先一緒に暮らせる見通しもない。

 

もっとも女手一つで、二人の娘を育てたわけではなく、しばらくの間二番目の夫の母親であるハルさんが同居していた。

 

 保育所に通っていた数年間は、リョウコといるよりハルさんと過ごす時間の方が長かったといえる。運動会やお遊戯会での父兄と園児の集合写真に、ハルさんがたくさんの若いご両親や保母さんに混じって写っているのは、私の保護者代わりだったからだ。

 

しかし、リョウコが離婚を決意した直後、赤の他人となったリョウコの世話になるのをよしとせず、ハルさんはある日ヤマザキ家から姿を消す。けれども、すでに子どもたちもなじんだ、年老いたハルさんを一人きりにするのもしのびなく、迎えに行く。

 

(…)ハルさんからのハガキに「みなさんとまた一緒に暮らしたい」と書かれた一行があるのを見たリョウコは、ハルさんが感じているであろう心細さを真っ向から受け止めて、いても立ってもいられなくなってしまったのだ。

 その後ハルさんは、再び我々家族と一緒に暮らすことになった。三年後に病気で亡くなるまで、リョウコの文化釜で何度も何度もホタテの炊き込みご飯を炊いてくれた。

 

ハルさんは、夏目漱石の『坊ちゃん』におけるキヨのような存在感があり、この節は、本書の中でもとりわけ感動的なエピソードである。

 

 亡くなる寸前に、ハルさんが病院のベッドでたった一言つぶやいた言葉は「リョウコさん、ありがとうございました」だった。母は微笑んで「こちらこそありがとうございました」と返した。

 

リョウコの存在を一言で言い表せば、「女バカボンのパパ」と言えるかもしれない。

 

顔を洗うのに、石鹸がなければ洗濯石鹸を使えばいい。これでいいのだ。

乳酸菌飲料の賞味期限が切れても、一週間や十日なら大丈夫。これでいいのだ。

山登りで飴を地面に落としても、拾って口に入れればいい。これでいいのだ。

 

印象的なエピソードは、文章だけでなく、作者自らが描く漫画でダメ押し的に強調される。

 

長期にわたって、一家の父親が不在でありながらも、生計を立てるのにあえて難しい音楽家の道を選んだリョウコ。結果、自らが父親的な存在にならざるをえない。仕事の間は、二人の娘の世話を細々とやく余裕などない。ある程度放任しながらも、腹を据えてその結果に責任を持つスタイルができあがることになる。

 

それでも、不器用な心配りに、リョウコなりの愛情を感じ、不満や不足を感じることはなかった。

 

毎日私たちのために作っておいてくれる、手作りの丸くて少し固いおにぎりと、おにぎりに添えられた留守を詫びる手紙には、下手くそな私たち姉妹の似顔絵が描かれていた。それを見るだけで、私はリョウコがいつも自分たちを気にかけてくれてる感触をしっかりと得ていたからだ。

 

ピアノやバイオリンを習わせ、マリを音楽家にしようという彼女の目論見は、画家になりたいというマリの夢のためにかなわなかったが、「フランダースの犬」を読ませ、画家の最期は悲惨と、断念させようとした。それでもやる覚悟があると本人が言うなら、それでいいのだ。

 

ときには、コンサートに娘たちを呼んで、ステージの上から観客席の娘たちに目を光らせた。それもシベリウスやショスタコーヴィチなど、子供にはハードルの高い曲である。

 

子供にはそれが至極退屈で、「もう勘弁してよ」という思いでいっぱいになる。そうすると、じっと黙って席に座っていることにも限界を感じて、お尻や足やらをモジモジ動かし始めるわけだ。二時間近い演奏をおとなしく聴いているのは、小学校低学年の私たちには本当にしんどかった。

 すると、リョウコは楽器を弾きながら、一番前に座るモジモジ状態の我々を叱咤せんばかりに鋭い目を光らせ、睨みつけてくる。当然だが、その時リョウコは指揮棒など見ていない。「ヤバイヤバイ!お母さん、指揮見てない!」と、リョウコが今にも音を外して指揮者に怒られるんじゃないかと不安を覚えた我々姉妹は、仕方なくモジモジを止めてシベリウスの交響曲に集中するしかなくなるわけだ。

 

マリが、イタリアで詩人と結婚し、離別して、孫を連れ帰ってきたときでも、

 

「孫の代まではアタシの責任だ」

 

と満面の微笑で言い放つリョウコ。そんな母親の存在によって、マリはどれほど背中を押されてきたことだろう。

 

マリが成長した後のリョウコのビジュアルは、漫画では、鬼太郎のように顔が前髪に半分隠れ、時々「カッ」と露出した右目が光るヤマンバ的なものになっているが、はじめから破天荒な存在であったわけではない。収録された数葉の写真が示すように、若い頃のリョウコは楚々とした美人であり、元々箱入り娘として育てられ、深窓の令嬢的なおとなしい性格であった。

 

 当時、彼女は美智子皇后の疎開先の学校であり、川端康成の娘と同級というお嬢様学校・湘南白百合学園に通っていた。何人かの同級生たちの証言によると、「リョウコちゃんと言えば、カーテンの陰からはしゃぐ私たちをそっと見守っている」ほど内向的だったと言うのである。

 

それが一気に変化したのは、親元を離れ、単身札幌のオーケストラにはじめての女性楽団員として入団してからのことであったのだ。

 

リョウコの性格のもう一つの面は、いつまでも童心を忘れない、若々しさ、夢見る少年少女のような心である。

 

団地では、禁じられた動物を飼うのも、娘たちよりも先にリョウコが率先する。

 

犬だけではなかった。飼うしかないと、昆虫のナナフシや、カエル、スズメのヒナを持ち帰ることもあった。

 

そして、昭和54年(一九七九)になると、北海道にチロル風の家を、自分で発案し、建てることとなる。木造の骨組み、漆喰壁、レンガと石でできた暖炉に煙突、チロル風の鎧戸。だが、その結果は、施工業者の力量不足もあって、悲惨なものだった。それでも、リョウコは泣き言は言わず三十年のローンを払いきる、これでいいのだ。

 

本書を読む中で、読者が思わず考えてしまうのは、自分自身の幼い日からの、母親の記憶である。おそらく、多くの家の母親は、リョウコほどには大胆に周囲の目を無視できず、ある程度周囲に合わせて生きてきたことであろう。その結果、頭の中はともかく実際の行動においては、世間体や国境にとらわれ、自由になりきれない生き方を、自ら選んでしまってきたことに気づくかもしれない。あるいは、子や孫を育てる時期にある読者は、ここまで割り切って、子供を自由に育てきれない自分の限界を感じるかもしれない。もちろん、同じように、自由な生き方を続けた母親を持ち、その生き方に共感する人、自らがそのような生き方や子育てを行っている人もいることだろう。

 

どちらか一方が正しいとか、間違っているとか決めることはできない。それぞれに違った人生の光と影があり、違った喜怒哀楽の世界がある。

 

『ヴィオラ母さん』は、一組の母と子の過去から現在への軌跡を通して、自分の親の生き方を相対化したり、子として、親としての自分を顧み、別の生き方もあったかもしれないと人生の多様性を空想させてくれる良書である。

 

Kindle版

 

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