つぶやきコミューン

立場なきラディカリズム、ツイッターと書物とアートと音楽とリアルをつなぐ幻想の共同体
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著者別索引コミック編1【ア〜ト】 著者別索引コミック編2【ナ〜ワ】

小説
LOVE STORIES (gooブログ)
「ホワイトラブ」1
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供屮據璽僉璽螢譟璽轡腑鵝1, 2, 34, 5,  6, 7,  8,  9,  10,11-1213-14, 15, 16-17,  18,19
掘峺諺杪╋酋福1, 2, 3, 4, 5 6, 7, 8, 9,10,1112, 1314,15,16,17,18,19

 

メディア

『情熱大陸 #978 「科学者・落合陽一」』スーパーダイジェスト

 

Magazine Watch

NewsPocks Magazine Autumn 2018 vol.2 NEW!

NewsPicks Magazine summer 2018 vol.1

 

今月買った本 

2017年12月 2018年1月  2018年2月  2018年3月  2018年4月    2018年5月 

2018年6月   2018年7月  2018年8月  2018年9月  2018年10月

 

Book Review

685.石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検 NEW!

684.小玉ユキ『青の花 器の森 1』 

683.堀江貴文『健康の結論』

682.山口つばさ『ブルーピリオド』

681.『漫画家読本vol.6 あだち充本』

680.ポール・ウェイド『プリズナートレーニング』

679.関根虎洸『遊郭に泊まる』

678.荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』

677.坂口恭平『家の中で迷子』

676.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス察

675.落合陽一『デジタルネイチャー』(前編)  

      落合陽一『デジタルネイチャー』(後編) 

674.大童澄瞳『映像研には手を出すな!3』

673.宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』

672.出水ぽすか・白井カイウ『約束のネバーランド』1〜9 

671. OCHABI Institute『伝わる絵の描き方 ロジカルデッサンの技法』 

670.土屋敦『男のチャーハン道』
669.岸政彦『はじめての沖縄』

668.荒川弘、田中芳樹『アルスラーン戦記 9』

667.高野秀行『間違う力』

666.三部けい『夢で見たあの子のために 2』

665.クロスケ『巨大仏巡礼』 

664.ロバート・キンセル、マーニー・ぺイヴァン『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』

663.東野圭吾『魔力の胎動』

662.諌山創『進撃の巨人 25』 

651.堀江貴文『堀江貴文の本はなぜすべてがベストセラーになるのか?』

650.堀江貴文・落合陽一『10年後の仕事図鑑』

649.猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』1〜4  
648.辻田真佐憲『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』 
647.中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』

646.畠山理仁『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い』

645.あだち充『MIX 12』 

474.ラルフ・ミレ―ブス『バイコヌール宇宙基地の廃墟』
473.田中圭一『Gのサムライ』
472.宮城公博『外道クライマー』 
471.山本崇一郎『からかい上手の高木さん』1〜3
470.速水健朗『東京どこに住む?住所格差と人生格差』 
469.勝間和代『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』 
468.隈研吾『建築家、走る』
467.三部けい『僕だけがいない街 8』 
466.福島香織『SEALsと東アジア若者デモってなんだ!』 
465.ドリヤス工場『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』
464.松井優征・佐藤オオキ『ひらめき教室』 
463.清野とおる『増補改訂版 東京都北区赤羽 1』 
462.佐々木敦『ニッポンの文学』 
461.桜木武史『シリア 戦場からの声』 
460.平野啓一郎『マチネの終わりに』 
456.町田康『リフォームの爆発』
455.諌山創『進撃の巨人 19』
454.安田寛『バイエルの謎』 
453.松井優征『暗殺教室 19』 
452.万城目学『バベル九朔』 
451.二ノ宮知子『87CLOCKERS 8』 
450.佐々木敦『例外小説論』
449.落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』
PART2 魔法使いになる方法
448.甲斐谷忍『無敵の人 機 
447.堀江貴文責任編集『堀江貴文という生き方』
446.瀬谷ルミ子『職業は武装解除』
445.万城目学『ザ・万字固め』 
444.宮崎克×あだちつよし『怪奇まんが道』 
443.大崎善生『聖の青春』 
442.松井優征『暗殺教室 18』 
441.堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』
440.森山高至『非常識な建築業界 「どや建築」という病』 
439.森博嗣『作家の収支』
438.安田菜津記『それでも、海へ』
437.岡本亮輔『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 
436.桐木憲一『東京シャッターガール』(1〜3)
435.松浦儀実・渡辺保裕『神様がくれた背番号』(1〜3)
434.落合陽一『魔法の世紀』
433.斎藤孝『語彙力こそが教養である』
432.三部けい『僕だけがいない街 7』
431.桜木紫乃『ホテルローヤル』
430.危険地報道を考えるジャーナリストの会編『ジャーナリストはなぜ戦場」へ行くのか』
429.高野秀行・清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 
428.米澤穂信『王とサーカス』
427.岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 
426.和合亮一『詩の寺子屋』  
425.江川紹子『もか吉、ボランティア犬になる。』
424.松井優征『暗殺教室 17』 
423.米澤穂信『真実の10メートル手前』
422.一色まこと『ピアノの森 26』
421.ユリイカ 1月臨時増刊号 総特集 坂口恭平 
420.あだち充『MIX 8』
419.ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』
418.村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』 
417.東野圭吾『人魚の眠る家』
416.水木しげる『私はゲゲゲ』 
415.西尾維新『掟上今日子の備忘録』 
414.舘野仁美『エンピツ戦記』 
413.岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』 
412.増田俊也・一丸『七帝柔道記 2』 
411.ウエルベック『服従』
410.國分功一郎監修『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』
         『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』2(A-F) 
409.二ノ宮知子『七つ屋しのぶの宝石匣 2』
408.島田裕巳・中田考『世界はこのままイスラーム化するのか』
407.小林よしのり・宮台真司・東浩紀『戦争する国の道徳』 
406.伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』
405.和夏弘雨×碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 3』
404.出口治明『人生を面白くする本物の教養』 
403.保坂和志・小沢さかえ『チャーちゃん』
402.朝井リョウ『武道館』
401.森田真生『数学する身体』
400.吉本ばなな『ふなふな船橋』
      吉本ばなな『ふなふな船橋』PART2(固有名詞辞典)
399.上杉隆『悪いのは誰だ!新国立競技場』
398.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 12』
397.小橋めぐみ『恋読 本に恋した2年9ヶ月』
396.会田誠『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』
395.飲茶『14歳からの哲学入門』
394.板垣恵介『刃牙道 8』
393.星野智幸『呪文』
392.辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』
391.松井優征『暗殺教室 16』
390.坂口恭平『家族の哲学』  
389.石川美子『ロラン・バルト』 
388.羽海野チカ『3月のライオン 11』 
387.村上春樹『職業としての小説家』
386.羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』 
385.二ノ宮知子『87CLOCKERS 7』
384.古市憲寿『保育園義務教育化』 
383.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 掘 
382.又吉直樹『東京百景』
 PART2(地名辞典)
381.ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』
380.畑中章宏『『日本残酷物語』を読む』
379.村上春樹『村上さんのところ』 
PART2(人名・作品名辞典)
378.辻田真佐憲『ふしぎな君が代』
377.三部けい『僕だけがいない街 6』
376.藤沢数希『ぼくは愛を証明しようと思う。』 
375.坂口恭平『幸福な絶望』
PART2(地名索引) 
PART3(人名索引) 
   PART4 (書名索引) 
PART5 (音楽・映画索引)
坂口恭平の熊本ーそれからー NEW!
374.板垣恵介『刃牙道 6』 
373.堤未果『沈みゆく大国 アメリカ <逃げ切れ!日本の医療>』
372.五十嵐泰正・開沼博編『常磐線中心主義』
371.松井優征『暗殺教室 15』
370.伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』
369.岸政彦『断片的なものの社会学』
368.吉田修一『森は知っている』
367.甲野義紀『今までにない職業をつくる』
366.増田俊也編『肉体の鎮魂歌』
365.和夏弘雨『火葬場のない町に鐘が鳴る時』1、2
364.伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』
363.北条かや『整形した女は幸せになっているのか』
362.津田大介×西きょうじ『越境へ。』
361.又吉直樹『第二図書係補佐』
360.茂木健一郎『東京藝大物語』
359.あだち充『MIX 7』 
358.堀江貴文『あえて、仕事から外れる。逆転の仕事論』
357.吉川浩満『理不尽な進化』
356.椹木野衣『アウトサイダー・アート入門』
355.松井優征『暗殺教室 14』 
354.黒柳徹子『トットひとり』 
353.東野圭吾『ラプラスの魔女』 
352.福島香織『本当は日本が大好きな中国人』
351.田中圭一『神罰 1.1』 
350.國分功一郎『近代政治哲学』 
349.米澤穂信『満願』
348.海堂尊『スリジエセンター1991』 
347.増田俊也×一丸『七帝柔道記 1』
346.千葉雅也監修『哲子の部屋掘
345.高橋源一郎『デビュー作を書くための超「小説」教室』
344.國分功一郎監修『哲子の部屋 供  
343.荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の漫画術』
342.國分功一郎監修『哲子の部屋 機
341.柴崎友香『パノララ』
340.北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 10』 
339.常岡浩介『イスラム国とは何か』
338.ヤマザキマリ『国境のない生き方』
337.水道橋博士『藝人春秋』(文春文庫版)  
336.大塚明夫『声優魂』
335.國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(1)
                   『暇と退屈の倫理学』(2)
334.鈴木みそ『ナナのリテラシー 1』 
332.又吉直樹『火花』
331.ニコ・ニコルソン『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』
330.中森明夫『寂しさの力』
329.岩田健太郎『サルバルサン戦記』
328.橋本幸士『超ひも理論をパパに習ってみた』
327.福島香織『中国複合汚染の正体』  
326.猪瀬直樹『救出 3.11気仙沼公民館に取り残された446人』
325.谷本真由美×ポール・ロブソン『添削!日本人の英語 PART2
324.坂口恭平『ズームイン、服!』
323.荒川弘×田中芳樹『アルスラーン戦記 3』
322.内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』
321.ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス 供
320.苫米地英人『『21世紀の資本論』の問題点』 
319.阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』
318.三部けい『僕だけがいない街 5』
317.増田俊也『VTJ前夜の中井祐樹』
316.水野敬也『夢をかなえるゾウ 3』
315.岩崎夏海『『もしドラ』はなぜ売れたのか? 
314.フランソワ・ヌーデルマン『ピアノを弾く哲学者』  
313.あだち充『MIX 6』
312.石田衣良『余命一年のスタリオン』
311.諌山創『進撃の巨人 15』 
310.アレックス・カー『ニッポン景観論』 
309.浦沢直樹・長崎尚志『MASTERキートン Reマスター』  
308.倉方俊輔・柴崎友香『大阪建築 みる・あるく・かたる』
307.坂口恭平『隅田川のエジソン』 
306.貞本義行『新世紀エヴァンゲリオン 14』  
305.堀江貴文&テリヤキ編集部『ばかウマ』 
304.板垣恵介『刃牙道 3』
303.岩田健太郎『「感染症パニック」を防げ!』
302.二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣 1』 
301.辨野義巳『大便通』
300.船曳健夫『旅する知』 
299.柄谷行人『遊動論 柳田国男と山人』 
298.増田俊也・原田久仁信『KIMURA 4』 

295.唐橋ユミ『わたしの空気のつくりかた』

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石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検

JUGEMテーマ:自分が読んだ本 文中敬称略

 

 

石田衣良『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク将検(文藝春秋)は池袋ウエストゲートパークシリーズの第十四作目にあたる。「泥だらけの星」「鏡のむこうのストラングラー」「幽霊ペントハウス」「七つの試練」の四つの作品が収録されている。

 

池袋西口公園は、再開発され、野外音楽堂が建設される。この「池袋ウエストゲートパーク」シリーズも、いよいよ終了かと思いきや、池袋一のトラブルシューター真島誠は相変わらずの平常運転だ。

 

 ウエストゲートパークでは円形の広場の改装工事が始まっていた。なんでも六重のリングを空に浮かべ、コンサートができるような野外のステージにするらしい。ガキのころから見慣れた噴水もとり壊すそうだ。

 ホームタウン育ちのおれにはちょっと残念だが、東京が変わるのはしかたなかった。明治元年から百五十年、この街が変わらない年などなかったのだから。(「鏡の向こうのストラングラー」p98)

 

「泥だらけの星」は、悪徳プロダクションの罠にかかって、女性スキャンダルをネタに強請られている若手俳優の話だ。だが、いったん相手の条件を呑むと、どんどんと要求はエスカレートして、骨までしゃぶられる。だから事務所の方針として相手の要求を呑むことはNG、そこでGボーイのキングこと安藤崇経由でマコトに依頼が舞い込んだわけだ。悪徳プロダクションの裏には、ヤクザの影がちらつき一筋縄ではいけない。誠はそれをどう解決するか。

 

「鏡のむこうのストラングラー」は出会いカフェに出没し、死なない程度に何度も女性の首を絞める犯人をあぶりだす仕事だ。

 

「幽霊ペントハウス」は、新婚夫婦のマンションで、夜な夜な定時になると鳴り響く奇妙な音の正体をつきとめることを依頼される。どうやらその敷地は神社で、祟りも噂される因縁の土地だった。マコトは畑違いのゴーストバスターの仕事を果たすことができるのか。

 

そして「七つの試練」は、ネットの掲示板で流行るデスゲームの被害者たちからの依頼だ。課題を実行し、それを自撮りしてアップしいいねの数を競い合う。最初はラーメン完食のような他愛のないものだが、しだいに万引きのような犯罪へとエスカレートし、最後に来るのは…その結果何人も負傷者出たわけだ。しかし首謀者である管理人の正体も、所在も、軍開発のソフトウェアに守られてわからない。マコトはどうするのか?

 

いずれも、一見解決不可能のように見える課題に対する解決策を、四苦八苦しながらもなんとか見つけ、タカシ配下のGボーイらの手助けを借りながら、警察権力とは別の決着をつけるところに、このシリーズの醍醐味がある。この14集では、ゼロワンなど懐かしいメンバーも登場する。

 

「池袋ウエストゲートパーク」シリーズは、その年代特有のトレンドを、事件として取り上げている。時代が変わるとすたれてしまうような現象や言葉を回避する賢明な作家もある一方で、石田衣良はあえてそのリスクを正面から引き受ける。そうすることで、このシリーズは、時代の空気をそのままストーリー化したクロニクルとなり、読者のさまざまな思い出と結びつく。それが「池袋ウエストゲートパーク」の大きな魅力ともなっているのである。

 

関連ページ:

 

NewsPicks Magazine Autumn 2018 vol.2 [ニューエリートの必読書]

JUGEMテーマ:自分が読んだ本

 

 

幻冬舎より発行の『NewsPicks Magazine Autumn 2018 vol.2』は、「ニューエリートの必読書500」と題し、各界の著名人や専門家がセレクトした必読書の特集がメインとなっている。

 

創刊号のあまりの充実ぶりに、vol.2以降の息切れを心配したが、単に国内だけでなく、アメリカ圏を中心に世界をカバーする挑戦的なスタイルはいささかも失われていない。

 

NewsPicksというと、意識高い系のサロン的な世界で、自己啓発書が中心と思いがちである。基本的にノージャンルである前田裕二の項こそそうした読者へのサービス的な部分もあるが、『孫子』『韓非子』『論語』など中国の古典が並んでいるのが特に目を引く。

 

前田の性善説と性悪説の咀嚼の仕方が優れている。

 

―ー韓非子的ソリューションというのは、性悪説に基づいてルールを強化することですか。

 厳密に言うと、性悪説というよりは、性弱説ですね。

 性悪説を最初に唱えた荀子も、人間が本質的に悪なのではなくて、環境によって悪に善にも変わってしまう、つまり弱い生き物なんだと考えていたのだと思います。

 性善説は性悪説は両立し得ないのですが、僕は、性善説と性弱説は両立すると思っています。つまり、「人は善く弱い」と捉えているのです。p14

 

他の著者に関しては、ハイブロウな教養人対象のチョイスであり、特に文学の項を譚とした佐渡島庸平がNewsPicksの読者層に触れた部分が興味深い。

 

 NewsPicksの読者は、すぐわかるものを読みたがる。読むと仕事のやる気が出る本も好きですよね。でもそのやる気はたぶん一日で消えてしまう。要するにテンションを上げる本なんです。テンションを上げるだけなら音楽を聴いた方がいい。p85

 

そう述べた上で、語り得ぬものを物語の形式で語ろうとする小説の意義を伝えようとするのである。

 

テクノロジーの分野を落合陽一が、統計学の分野を『統計学は最強の学問である』の西内啓が、経営の分野を楠木健が、英語の分野を同時通訳として定評のある関谷英里子が、アートの分野を『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の山口周が、そしてSFの分野をHONZ代表の成毛眞が執筆し、それぞれの視点からなぜそれらの本が選ばれたかが語られる。

 

たとえば、近著『デジタル・ネイチャー』でも援用されるノーバ―ト・ウィーナーの『サイバネティックス』に関して、落合は

 

 なぜ現代においても、こんなに古い本を読む価値があるかというと、ウィーナーのように思考をまとめようとする哲学のスタイル自体が面白いからです。時代を超えた価値があるのです。p32

 

と語っている。

 

西内啓は、統計学の入門書として、アラン・ダブニーとグレディ・クラインの『この世で一番おもしろい統計学』をあげながら、

 

統計学の一番のキモは、目の前のデータを集計したり平均を取ったりすることではなく、データの背後に潜む仕組みや法則を推測すること。多くのビジネスパーソンがわかっていないこの点を、マンガ(日本人好みの絵柄ではないが)と図解を使ってわかりやすく解説する。p56

 

とその長所を強調する。

 

楠木健は、小倉昌男の『経営学』と馬場マコトと土屋洋の『江副浩正』を並べてあげながら、両者の比較の面白さに言及している。

 

何が面白いかというと、彼の人生は途中まで、ものすごく小倉さんと似ている。本当にロジカルに全体を俯瞰して、それまでの業界の思い込みにとらわれることなく、まったく新しいビジネスを組み立てた。

 ところが、ご存じのように江副さんは人生の後半でトチ狂ってしまう。リクルート事件はその氷山の一角で、本来のイノベーターとしての輝きを失い、割と筋が悪いことをどんどんやるようになるんです。p64

 

こうした江副の評価の仕方は信頼できるものであろう。

 

「日本経済史」担当の横山和輝は、伊藤修の『日本の経済』を簡潔にまとめながらこう評価している。

 

『日本の経済』は経済学の視点で20世紀から21世紀の日本経済を俯瞰した本です。マクロ経済学の枠組みを押さえたうえで、戦後の昭和を中心に、明治から平成に至る日本経済の歴史と現状の両方を一気に学べます。p70

 

これだけの位置づけをされた本が、ハンディな中公新書に含まれるとわかると思わず読んでみたくならないだろうか。

 

関谷英里子はNancy Duanteの『slide:ology』を

 

効果的なプレゼンとスライドの作り方を指南した本。「文字が多くて読み切れない」など陥りがちなミスを排し、世界標準のプレゼン技術を身につけたい人にお薦め。p73

 

としているが、日本中のビジネスパーソンに読ませたい本だとわかる。

 

そして、成毛眞はシリコンバレーの起業家たちが好んで読むSFを読むことの価値を次のようにまとめている。

 

 恋愛小説は半径50cmぐらいの日常を描いているけれど、SFは半径5万劼阿蕕い寮こΔ鯢舛い討い襦そういう宇宙規模の物語を読んでいると、大きく考える力が養われる。それは大人になってから、発想力の差として表れます。p89

 

成毛のSFの選択は、『幼年期の終わり』『アルジャーノンに花束を』のように、古典的なものが多いが、グレッグ・イーガンの『順列都市』とオースン・スコット・ガードの『エンダ―のゲーム』を挙げているのが興味深い。

 

海外に関しても、ビル・ゲイツの120冊すべてがリストアップされる他、マーク・ザッカ―バーグウォーレン・パフェットバラク・オバマラリー・ペイジティム・クックイーロン・マスクジェフ・ベゾスピーター・ティールスティーブ・ジョブズとスーパースター揃いである。


海外篇に関しては分野による縛りがない分、それぞれの個性が顕著に現れていて、隣り合った人物の選書の違いから、発想の違いそのものがくっきりと浮かび上がるのである。

 

マーク・ザッカ―バーグの選んだ本には、モイゼス・ナイム『権力の終焉』ダニン・アセモグルとジェイムズ・ロビンソンの『国家はなぜ衰退するのか』があるのはいかにもリバタリアンだし、イーロン・マスクの選書にはトールキンの『指輪物語』や、アイザック・アシモフの『ファウンデーション――銀河帝国衰亡史』が含まれるのはいかにも夢見る少年である。

 

それに対して、ジェフ・ベスのリストに『ビジョナリーカンパニー』『イノベーションのジレンマ』『ブラック・スワン』『日の名残り』などオーソドックスなラインナップが並んでいる。

 

そしてビル・ゲイツの120冊に至っては、ジャンルや好みを超越したオールラウンダーのイメージがある。そのゲイツとバフェットが揃って絶賛している本と言われると、ジョン・ブルックスの『人と企業はどこで間違えるのか?成功と失敗の本質を探る「10の物語」』も思わず手に取ってみたくなる。

 

とは言え、500冊の読んでないものを片端から読もうとするのは賢明でないだろう。その半ばは洋書であるし、入手にとんでもないお金や時間がかかり、厚めの本が多いため相当のスペースを食い、相当な重さになる。

 

だから、解説を流し読みする中で、自分のアンテナにひっかかったものをピックアップしてゆくのが第一のやり方だ。

 

もう一つのやり方は今興味ある分野に重点を置いて、その中でも興味をひく二、三冊をピックアップして読んでゆくやり方だ。そこで興味が深まれば、その分野の他の本に手を伸ばしてもよいし、ここで触れられていない別の本に向かってもよい。

 

さらに、海外篇に限らず、英語の原書のブックガイドが充実しているのが、本書の特徴だ。

 

落合陽一が薦めるJohn Maedaの『THE LAW OF SINPLICITY』は読むと考えが整理され、アイデアが次々に浮かびそうだし、西内啓が薦めるKaren Glanz、Barbara K.RimerK.Viswanathの『Health Behavior』は「健康のために人々の生活習慣をいかに変えるかを科学的に論じた医療者向けの本」というだけに、役に立つ知識満載の観がある。Walter Isaacsonの『Leonardo da Vinci』なんていかにも、ヤマザキマリがそのうち漫画化しそうではないか?

 

それに加えて、全米トップ10大学の課題図書ベスト10は、プラトンの『国家』、アリストテレスの『倫理学』、『政治学』、ホッブスの『リヴァイアサン』、マキャベリの『君主論』などきわめてオーソドックスな古典が並び、こうした本も捨てたものでないなと思い直す。

 

その他の特集記事「ニューエリートの思考法」は基本的に仕事法の紹介、「ニューエリートの習慣」は学習法の紹介で、本文の内容とも関連しているものが多い。たとえば千葉雅也「社会人が変身する勉強術」は、そのままこの雑誌で紹介された本の消化の仕方に応用できるものだろう。

 

  学問を学ぶときは、まずその分野の良質な入門書を見つけて読み、次はその入門書で紹介されている、より本格的な本を読んでいくのが正攻法です。

  その専門領域で、信頼されている本を読むことが大事です。いうなれば、「ソフトな権威主義」ですね(笑)。

  翻って、突然成功したような、よくわからない人の体験談などは、勉強になりません。ぽっと出の人に限って、自分の体験に頼り切って「これが絶対法則だ」とか言いきったりします。とても信頼できるものではない。p170

 

『News Picks Magazine Autumn 2018 vol.2』は、見直すたびに新しい発見があり、次の読書行動に駆り立て、個人の読書の境界線を大きく変えてしまう可能性を持つ最強の読書雑誌である。

 

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